自由とは
『ねえ、カナ。自由ってなんなのかな?』
学校帰りにふたりで寄る、馴染みの喫茶店。
ミホはいつも、私にいろんな疑問を投げかけてくれる。
世界の不思議、映画や恋愛、そして心のこと。
今日もちょっぴり難問みたい。けどそれが最高に嬉しい瞬間でもあるの。
『自由?何でも好きなようにできることじゃないの?』
私は、どうしてそんなこと聞くの?とはほとんど聞かない。だって、前置きなんていらないこの会話が大好きだから。わかっているから。
『うん。でもそう考えるとさー。ほとんどの人間は自由じゃないってことにならない? 学校とか、仕事とか、自由にならないことがいっぱいあるでしょ』
『まあ、そうだよね。決められたことの中の自由っていうのかな。自由に絵を描いていいよって言われても、紙とか道具とかは決まってる感じだよね』
『そうそう。決められた範囲内での自由。それが私たちの自由ってことになるのかな?』
『まあ、そうだけど。ミホが言ってるのは行動の自由のことだよね。心の自由はどうなの?』
『うん。心の自由なら無制限って言いたいけど・・・これはダメ、あれはダメって、大人は親切なアドバイスをくれるでしょ。だから、どうしたらいいのかなって思うわけ』
ミホはとくに困ってる風でもなく、笑いながらそう言うから、もう答えは出てるんだってわかった。
『はは。それはさ。あくまでアドバイスだよ。ミホは想いたいことを自由に想ったらいいんじゃない? 私は、心の自由こそが人の自由の醍醐味だと思うよ』
『やっぱ、そうだよね。カナ、ありがとう。自由とは心で世界を創造できること。これ、誰の言葉だったかな』
『誰の言葉?』
『これね。私の言葉』
ミホは舌を出しながら、笑顔でそう答えた。
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