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カメラを買ったあなたがやるべき、たったひとつのエクササイズ

カメラを買ったあなたがいます。

たぶん、綺麗な写真が撮りたいとか、毎日の記録を残したいとか、そういう理由で買ったんだろうと思います。

カメラを買ったあなたは有名なフォトスポットに行くかもしれませんが、おそらく「何を撮りたいんだかわからない写真」とか、「誰かのインスタにあった写真の焼き増し(あるいは劣化コピー)」のようなものをぶら下げて、その目で見た感動をイマイチ写真に残せないまま帰ります。

最初はみんなそうなんです。

上手く撮れない理由は
「カメラのことをよく知らない」とか
「目の前のことをよく見てない」とか
色々あります。

カメラのことなんかは説明書を読めばわかるので、
あなたが今すぐやるべきことは「目の前のことをよく見る」ためのエクササイズです。


「よく撮る」ということは「よく見る」ということ

「よい写真」には「よい視点」が欠かせないものです。
なぜなら、写真は「見る」ことから始まるからです。

「見る」力を鍛えるために、
「1つのリンゴを100通りの見方で見る」というエクササイズがあります。

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べつにリンゴでなくてもいいんです。
机の上にあるやつを、消しゴムでもなんでも、適当にひとつ選びましょう。

なんとなく途方のない課題にも思えますが、やってみると簡単なものです。

はじめはよく分からないから、ぐるっと8方向から見てみます、ほとんど違いはわからないけど、微妙に表情が異なることがわかるでしょう。

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次に真上から、真下から、と眺めてみると、まるっきり違う部分が見えてきますね。
これで8+2=10通り。

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さっきの8方向を、上下に45°の角度から見てみると、側面と天地のあいだが見えて、10+16の26通り。

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離れたところから見てみましょう。
5歩後ろに下がれるならその1歩ずつで+5の31通り。
それぞれの距離で左右に3歩ずつ動けるなら?31+6×5で61通り、グッと増えましたね。ばんざい。

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リンゴのディテールにフォーカスしてみましょう。
カメラを0.5cm近づけるごとに表情が変わってきます。それこそ距離と角度の組み合わせは膨大にあるので、あらゆるバリエーションが生まれるでしょうが、20枚くらいで飽きたとしても61+20=81通り。ゴールが見えてきたぞ。

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さて、アングルと距離だけのバリエーションで81通りも見方がありますね。

そうこうしていると楽しくなってきて、今度は背景とリンゴの関係性が見えてきます。
机の上にあったリンゴを窓際に持ってくるとどうだろうとか、別のものと並べたらどうだろうとか。

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なんならリンゴを真っ二つにしたっていいわけです。
考えつく限りのシチュエーションを考えてみましょう。

ひとつのシチュエーションで、さっきやったようなアングルと距離のバリエーションを10通りやってみたとして、ふたつのシチュエーションを用意できれば?
81+20=101通り。
おめでとう!課題クリアです。

これだけあれこれやっていると、
「カメラやレンズの設定でもバリエーションが作れるのではないか?」
と薄々気づいてきますから、ここでカメラの説明書を開いてみましょう。

詳しい説明は他の記事がたくさんありますから省略しますが、リンゴをぶん投げたりしない限りは、ここで有効なのは「絞り値」のバリエーション、「焦点距離」のバリエーションでしょう。

絞りを開けたり絞ったりすると背景のボケ方が変わることに気付きますね。f2.8〜22のレンズだとして、少なくとも7段分、7つのバリエーションが追加で考えられます。

多くの場合、初めて買うカメラにはズームレンズが付いていますから、そのズームの具合によってもバリエーションがあるわけです。

加えて「光の向き」や「光の質」といった大きな要因も、写真の仕上がりをガラッと変えてくれます。が、それはもう少し写真に慣れてからのお話ですね。

これらのバリエーションは要素の掛け算で増えていくので、一つ一つの組み合わせを試していけば1000通りの撮り方をすることだってそう難しくはないでしょう。

「撮る」楽しさは「見る」楽しさだ

このエクササイズを終えたあなたは、「ものをよく見る」ということの楽しさをすでに知っていることでしょう。

「見る」楽しさを知っていれば、必ずしも絶景のフォトスポットに行かずとも、楽しく写真を撮れることが分かります。

あるいは、どんなフォトスポットに行ったとしても、「あなただけの視点」で「あなただけの感動」を撮ることだってできるわけです。

「よりよく見ること」

これこそが、楽しく、よい写真を撮る秘訣なのです。

実際のところ、このやり方で1000通りのリンゴを撮ったとしてもその差異は微妙なものですし、「よい写真」は数枚あるかないか……といった感じなのですが、ここで重要なのは「意識的に、かつ多角的に見る」ということです。

カメラを買ったあなたがやるべき、たったひとつのエクササイズ。
ぜひお試しあれ。

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