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2021年4月の記事一覧

【物語】彗星のカケラ①

 流れ星のようだと、その時は思っていた。  でも今になって思い返してみると、あの子は流星というより、彗星という方が正しかったように思う。  あの子は待っていると言って、僕は必ず行くよと言った。  それは誓いにも似た願いだった。  もうすぐ、その悲願が達成される。 「ストライク、バッターアウトっ!」  審判がうだるような暑さを振り払うように右腕を天に突き出し、声を張り上げた。  あと一人だ、と僕の胸は今更になって高鳴る。ここまで決して楽ではなかった夏を戦い抜いてきた