「人間はいかに丸くとも、どこかに角がなければならぬ」

渋沢栄一

 一介の農民から身を立て日本経済の礎を築いた偉人、渋沢栄一。みずほ銀行、東京電力、JR、帝国ホテルにキリンビールなどなど、ありとあらゆる分野の企業500社以上を立ち上げた現代日本の経済の基礎を築いた人です。しかし、その一方で、倒幕派の攘夷志士のはずが徳川家の家臣になったり、明治維新後は敵方だったはずの明治新政府の大物官僚にと次々と「謎の転身」を遂げるなど、当時から変化の激しかった人物でもありました。
 それでは「日本資本主義の父・渋沢栄一」はどのような思想の持ち主だったのでしょうか。渋沢は経営者として、「利益を追求すること自体は当然のこと」であると考えていました。同時に、「公益のためになるように仕事をしなければならない」とも考えていたそうです。この自分と他社の利益を調和させようとする考えを「道徳経済合一説」といいます。
 要は「金儲けをすることと、世の中に尽くすことを両立させなさい」というわけです。こうした考え方は、その後に我が国の企業に広く浸透していき、現在では多くの企業が企業理念に「社会やお客様と共に」といったキャッチフレーズを掲げるようになりました。この一見矛盾する2つの理念の融合と、ここに掲げた「丸と角」を対比させた言葉には、共通するものがあると思うのは私だけでしょうか。

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