≠utopia
秋の思い出ほどとても鮮明
春は余裕がなくて
夏は暑すぎて
冬は寒すぎるから
つまり秋は空気が澄んでいるから
よく思い出せるのかもしれない
かつて帰り道で有線のイヤフォンが鳴らしたあれこれが、
泣き出しそうな今日のぼくを優しく突き放す
また今年も、
遠慮もなく澄んだトワイライトに出会えた
生きて帰ってきたよと上り坂に報告する
太ももに溜まる乳酸が背番号のない日々を蒸し返すから少しだけ汗をかいてしまったのだけれど、
この細い身体が切る風は心地良くも厳しい
あの頃と変わらずぼくはひとりで通り抜ける
何も変わらないし、何もかも変わった
忘れたくないことは忘れないでいようと
それだけで十分なのかもしれない
バカまじめに涙が出るのは
未来が眩しすぎるからだと信じたい気持ちを
もうすぐ終わるトワイライトに預けて、下り坂
また、何度でも輝いて生きていたいから
また、蘇らせるから