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スマッシュブラザーズの思い出(後編)

~前編のおさらい~
・好きな子が家に来るのでワクワクする僕。
・裏目的が当日のハプニングで達成できなくなる事態。
・男子1名、女子3名、自宅という厳しい環境。
・捻り出したセリフは「スマブラしようぜ。」


「スマブラしようぜ。」
僕は恐る恐る発言し、反応を待ちました。ヨシコは問題ない。ヨシコはカービィが好きだ。スマブラにはカービィがいる。
トモコは心配だ。そもそもツヨシがいない事で大きな落胆を味わっている。その上で特に興味もないゲームを提案されてもテンションは上がらないだろう。しかもスマブラは初心者向けの対戦ゲームとはいえ、ゲームをしたことがない人には、難しいだろう。
マミは知らん。

「えー!これって、今流行ってるやつ?すごい!こんなの持ってるんだー!」

発言したのはマミでした。64を持っている事、そしてスマブラを持っている事をやたら褒められる。「やり方わからんから、一回見せてよ!」僕は誘導され、一人モードを始める事になりました。

これが、中々の地獄なのが想像つくだろうか?僕は一人でゲームをさせられ、ヨシコはトモコを盛り上げるためゲームどころではない。トモコは興味がなさそうにゲーム画面を見ている。マミは既に写ルンですで写真を撮り始めている。テレビでは、「PKファイヤー!PKサンダー!」とネスが無邪気にふっ飛ばしまくっていました。

自分で言うのもなんですが、当時、僕のネスに勝てる者は周りにいなく、スマブラ最強の名を恣にしていました。MOTHER2がゲームで一番好きな事もあり、ネスが隠しキャラで登場したときは発狂し、そのままネスばっかり使い続けました。チーム戦で1vs3(CPUレベルMAX)を毎日繰り返していると、どこかのタイミングでネスが覚醒し、イメージ通りの動きができるようになりました。僕はこのタイミングの事を友人に、「マジカントから帰還した。」と言い続けていましたが、分かってくれる友人はいませんでした。
なのでその時もかなりのネス捌きをお披露目していたはずですが、そこはやはり童貞。女の子はそんなものを「かっこいい」とは思わないのです。

ストーリーモードをクリアし、少し全員でスマブラをしましたが、盛り上がらずに終了。「僕の部屋の窓から見える山は、いつかの夏休みのある朝、目が覚めると上半分がなくなっていた。」とか、「夏に電気つけっぱなし、窓開けっ放しで放置したら部屋が昆虫博物館になった。その時めっちゃでっかい蛾がいて、モスラの呼んだ。」とか、渾身のエピソードトークをかましましたが、前者は意味不明、後者は気持ち悪いで反応なし。(どちらも事実。)

そのままダラダラと何もない時間を1時間過ごし、3人は帰りました。
僕とヨシコには何の進展もなく、若干不機嫌なトモコと何やらテンションの高いマミに翻弄された一日となりました。
今思い返すと、ヨシコポイントをゲットするには、全力でトモコの機嫌を回復するように努める事だったのでしょう。
後日、ヨシコから「トモコが不機嫌でごめんね。」と言われた事がむちゃくちゃ悔しかったのと、マミが「写真現像したからあげる。」と受け取った中に数枚、僕のゲーム中の横顔写真がありちょっと気持ち悪かった事を覚えています。

初代スマッシュブラザーズを見ると、女性に対して無力だった自分を思い出すのでした。


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