2023年描いた絵を総括する
前提として
生まれて数十年、絵というものを描いたことがない人間でした。
いや描いたことがない、とまでいうと少し大げさかも。幼稚園児の頃はお絵かきの時間があったのでクレヨンやクーピーで何かしら描いてはいただろうし、小学校から高校にかけても美術科目は存在していたので単位をとるためには描いていたと思います、多分。
けれど自ら好んで絵を描く、という行為をしたことが一切ないまま、それなりの年数の人生を歩んでました。
二次創作での同人活動をしている身でもあり、活動期間ももはやウン何年目ではあるのですが、今まで出した本は小説本のみであり、表紙なども絵描きの友人たちに外注するかなんかいい感じのフリー写真をうまく加工したりとまあ「描かなくてもいい環境」をおのずと作っていたので、特に困りもしていなかったのもあります。
特に周りの絵描きの友人はとにかく絵が上手い人が多かったのでイラストや漫画を作る、というものをどこか「なんかすっごく技術と才能がある人がするもの」と無意識に思っていたかもしれません。
あとこれが一番の原因ではあるのだけれど、私自身が「絵を描く」という行為に対して苦手意識が異常に強かったので避けていたのが大きいですね。これに関しては後述します。
お絵かきを始める切っ掛けになったもの
そんな私ではあるのですが、機転となる機会がありました。
今の時期はどこもかしこもブラックフライデーセール中。
それは去年の今頃も例外ではなく、ブラックフライデーセールのAmazonで買い物をするため、私は値下げするであろうと見張っていたものをポイポイカートに入れてました。
そんな中、ふと「あなたへのおすすめ」欄にWacomの板タブが1000円引きになって表示されているじゃないですか。
描かない人間には今一番いらないものじゃね? と思いつつも、ふと思うところがありました。
なぜなら私は「絵を描くという行為を避ける」ことはしていたけれど、「絵を描けるようになることへの憧れはある」はあったので。
つまり、
「絵を描くのは死ぬほど苦手意識があるが、それはそれとして描けるようになるのはやぶさかではない」
というわけです。
それと前述していた「絵を描くのが非常に苦手」の原因に、一生懸命作ったものを人に笑われたことがある、という経験が自分の中に強く残っていまして。多分ですがそこで羞恥というものを知ってしまったんですよね。なので人前で絵を描くこと=恥をかくこと、みたいな刷り込みがあったんです。
でも反面、こうも思っていて。
これは字書きなら誰しも持っているものだと思うんですが、どうでしょう?
「自分の頭の中に広がる物語の世界観を直接的なビジュアルで見たい」
という欲求です。
字と絵、両方で自分の作った世界観を見せられたら楽しいだろうな~、などとふと考えてしまったんですよね。
板タブが安かった、ただそれだけで。
そしてちょうど、その頃よく作業通話していたお相手Sさんが絵描きだったこともあって、世間話的に相談をしてみたのでした。
私「板タブが安くなっているから、これを機にお絵かきしてみようかと思うんだけど」
Sさん「いいんじゃない? 希望してくれたら赤ペンするよ」
お分かりの通り、Sさんのこの一言が背中を押してくれました。
じゃあなんとかなるやろ、だめならだめでいいんだし、みたいな。
そんなわけで注文して3日後に見事Wacomの板タブがうちにやってきました。
事前準備
さて、板タブがやってきて、まず最初にしたことです。
クリスタに登録
デュアル画面にする
・クリスタに登録
PCで描くのでまずお絵かきソフトは必須になりますよね。というわけでいちばん有名だしTipsも多いだろうと思いクリスタくんに登録しました。
とりあえず続くかわからなかったので月額制で。コースはEXに。
PROでもよかったのだけれど、EXにした理由は後々漫画を描くかもと思ったら先に使い方を覚えておいたほうが二度手間にならないな、と判断したためでした。
・デュアル画面にする
デュアル画面にしたのは資料見ながら絵を描く、をしたかったので。
ありがたいことに今はトレスや模写ができるポーズ集が電子で買える時代だからそうなると一画面では足りないよね、となり、夕飯はおでんにするのに買い忘れていた大根を買うようなきやすさでさくっとモニターを購入しました。
まあこれは映ればいいや、というカジュアルな気持ちだったのもありメルカリでAmarkの中古モニタを3000円で購入。送料込みで5000円いかないくらいだったかな? まあ、現在もきれいに映っているのでお値段のわりと良かったかもしれません。
12月~1月のお絵描き
さて。準備は整ったことだし、と意気揚々と板タブをPCに取り付けクリスタを起動します。
板タブが来るまでにクリスタの機能をさらっと確認していたのですが、なんと機能の一つに3D人形があるとのこと。
こりゃ人体を描くのに便利だぞ。最初はこれでトレス練習して、慣れてきたら好きな構図を作って参考に描いていけばいいじゃん! などと甘い考えのあの頃の自分の頬を平手打ちしたいですね。
まず、初めてのクリスタ+板タブ+3Dモデルトレスで描いた絵がこちら。
言いたいことは色々あるのですが、まずなぜ初めてのお絵描きでこんな難易度の高いポーズを描いたんでしょうね。
理由は簡単で、3Dモデルのポーズの一番目がこれなのです。まだクリスタと出会って間もない私は、彼が与えるものを甘んじて享受するしかなかった、そんな付き合いたてのカップルの失敗談みたいな例です。
続いてこちら。これも3Dモデルトレス。
多分ですが、もはやクリスタの3D動かすのが楽しくなってしまい、本来の目的を忘れてしまっていますね。絵の練習するために3Dを出してるんだぞ。
それでもまあ、この時点で指だけはどうにか頑張って描こうとしてることは認めましょう。多分この頃から下手なりに手を描くのが好きだったのかもしれない。
さて、もしかして自分ひとりでもなんとかできるのでは? という思い上がり最後の作品はこちら。
もう……ね!?
そろそろしんどくなってきた。これ左目描けないから部分コピーして左右反転させてますね。小賢しい技を覚えるな。
そんなこんなで買って2日で、板タブを購入した際に赤ペンするよと言ってくれたSさんに泣きついたのでした。
そこで更に仕入れたものとか。
デッサン人形
クリスタの機能を熟知する
・デッサン人形
これはSさんからも、後に別の友人からも助言を受けたんですが、3Dモデルのトレスは線が硬くなるのでやめたほうがいい、とのこと。あくまでもアタリやポーズ確認に使用するにとどめたほうがよい、ということでした。
かわりに、と提案してくれたのが立体のデッサン人形。
私が購入したのはこちら。
本当は東亜重工の合成人間フィギュアが欲しかったんですが売り切れだったので手に入らず。
実際、今になって分かるのですが画面上の3Dに比べて、実際に立体的であるデッサン人形くんのほうが、人の体は平面ではなく立体である、ということがわかりやすかった。言葉にすると当たり前なんですけどね、案外気づかないんですよ描いていると。立体を平面に乗せる場合、奥行きがあり厚みがあり……みたいなことを知ったり考えるにはちょうどよかったです。
・クリスタの機能を熟知する
これはSさんでなく長年来の悪友からの助言だったんですが、せっかくデジタルで描いてるんだから使えるものは使っておけ!とのお言葉が。
そうなのです。デジタルなんだから機能をフル活用しなければ。
というわけで当時抱えていた悩みは、大体設定で解決しました。
手ブレが酷い
→とりあえず使用しているペンの手ブレ補正を100にする。慣れてくるまではこれ。それでも線が汚い
→ベクターレイヤーを使う。消しゴムのかけやすさや線修正で歪みを直せるので。あと拡大しても線が荒れない。
とにかく板タブに慣れることからやり直しました。
よくアナログ練習で◯をいっぱい描くみたいなのあると思うんですけど、当時は迷走していたので私も例に漏れずやってみたり。
今思えばアナログならともかく線を修正できるデジタルでは、この練習はあんまり意味がないんじゃないかな……私見ですが。
Sさんの赤ペンですが、大体1月末くらいまで見てもらっていたかな?
当時の赤ペン画像は全部残してあって、今調べたら40枚以上はありました。本当にありがたい限り。さすがにご本人に許可なく載せるわけにはいかないのとその大半がここに載せられないものばかりなので見せられるのはごくごく一部のビフォーアフターだけですが。
このときは目の仕組みと構造についての助言を受けた記録が残ってます。
ようやく見ても動悸がしないレベルになってきた。
あとはこれとか。
これは人体と等身のバランスについての説明を受けたときかな。
このあたりになってくるとちゃんと人なのが分かるので少し息切れも収まってきました。よかった。
Sさんからの赤ペンと助言を今になって思い返すと、とにかく人体や顔の構造のお話が多かった印象です。
人には皮膚があり筋肉があり骨があり関節があり……、と今なら意識できるのですが、当時は、え? え? という感じで、まず言われるままに修正→見目がすぐさま良くなるので、とにかくこう描けばいいと一旦理解する→後ほどゆっくり自分の中で咀嚼して本当に理解する、という流れが常だったので、本当に出来の悪い生徒だったと思います……根気よく付き合ってくれてありがとう。
流石に彼女の助言や赤ペンは載せられませんが、その後購入した本がほぼSさんが言っていた事だったので紹介します。
彼女のお話は今までの経験や勉強して得た知識だと思うので、あらためで、感謝を申し上げたいところ。
2~5月のお絵かき
3月4月はお絵描きしていないんですよね。
というのも、とある版権ジャンルにハマってしまい、同人小説の原稿が忙しかったから。
結局原稿が終わるまで絵の練習はおあずけでした。
ただ脱稿次第、またお絵描きに没頭する日々に戻りまして。
これはちょっと自分でも意外でした。てっきり3ヶ月位で飽きるんじゃないかな、と思っていたので。
なんなら板タブを手に入れた3日後には挫折していると母と妹に賭けをされてましたし。
もともとTRPG(主にCoCばかりですが)で遊ぶのが好きだったのですが、絵を描くようになる前は、毎回立ち絵を用意するのに苦労しておりまして。
大体ピクルーさんで作っては、時々一緒に回る友人が好意で体を描き足してくれたりしていたんですが、この頃には自分で用意できるようになったのが嬉しくて、調子に乗ってここには載せられないようなうちよそ絵を量産していました(お相手さん本当にありがとう)。
それが功を奏したかはわかりませんが、ポーズや構図を考えるのが楽しくなり始めた頃です。
ただ難しい構図ばかり描きたがって、本来の目的だったはずの人体のバランスをおろそかにしがちではありました。
それと私はイラスト初心者にはちょっと珍しい?顔より体を描く方が好きな人間でしたので、この頃の顔の描き方は今見るとだいぶ雑だな、と思います。
6~8月のお絵描き
この頃は背景や小物を描いた人物の一枚絵を描くのにハマっていました。
あとは相変わらずTRPGの立ち絵を描いたり。
上記以外に、ハマった版権ジャンルの絵をほぼ毎日描いていたのでその絵はたくさんあるのですが、流石にここに載せるのはなあ、と思い省いています。
イラストに関して特筆することといえば、色トレスとグラデーションマップを覚えたことでしょうか。塗り方もちょっとずつ、影を入れたりハイライトを入れたりするようになり始めています。
あと雑だった顔の描き方が、この頃からちょっとずつ丁寧に描くという意識が出来始めました。
9月~11月のお絵描き
本来は11月の同人イベントに参加予定だったのですがやむにやまれず家族の事情により欠席せねばならず、9月の同人イベントが今年のイベント納めに。原稿がないことをいいことにここぞとばかりにTRPGの予定を詰め込んだり、毎日のように立ち絵やここには載せられないようなうちよそ絵を描いていました(学ばない人間)。
現時点で最新の絵がこの「かいぶつたちとマホラカルト」の立ち絵です。
記事を書きながら見返してみて思ったのは、最初の頃に比べたらちゃんと人に見えるようになったな……という気持ちです。
あと絵を描くのが苦手だった当初に比べて、絵を見せることへの抵抗感が減りました。
この苦手意識が減ったというだけでも、今年一番の成長では? と思っています。嬉しいな。
クリスタの機能も初期に比べたら使えるものが増えましたし、最初の頃にやっていた手ブレ補正100は今は大体5~10位になっています。
イラストの描き方としては9月頃から顔、特に目の描き方が少し変わっています。
もともとレトロコミックや古い少女漫画で育った人間だったので、そういう顔の描き方に憧れ始めるという余裕が出てきました。
現在参考にしているイラスト集など
スーツで働く男性の参考に。イラスト集としても素敵です。
TRPGの武器を描くときに参考にしています。
現在は"ニューレトロ"というんですね。色味、塗り方の参考に。
もともと大好きだったイラストレーターさん。どのページの女の子も素敵で、こういう絵を描けるようになりたいです。
女の子探索者を描くときにめかしこんで描きたくてお洋服や装飾品の参考にしています。そうでなくてもマイページマイページ美しくて目が嬉しい。
2023年お絵かき1年目のまとめ
11/30時点で1年で描いたファイルは152ファイルでした。
大体2~3日に1枚のペースですかね。仕事して原稿して、となるとこれくらいが限界量かもしれないけれど。
自分の備忘録として書いたまとめですが、もしだれかの目にふれて、ここまでもともとのお絵描きセンスがやべーやつでもできるんだから、自分もお絵かきしてみようかな、と思ってもらえたら幸いです。
とりあえず、今年に関してはネアンデルタール人が人間の赤ん坊になるくらいの進化は出来た気がしています。
始めたばかりなので伸びしろしかなかったというのも強かったかと。
来年に向けての抱負
今より上達したいです。特に色塗り。ようやくグリザイユもどきを理解してきたので、来年は厚塗りが出来るようになれたらいいなと思っています。
あと人体の細部の描き方が甘いのでもう少し丁寧に描く、を心がけていきたいです。指先から足の爪先まで丁寧で綺麗に描かれているものはやはり美しいので。
以上、おわり。
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