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【5-5-0】

昔は守備時には少なくとも2〜3人は攻撃の選手を前線に残していた。今ではFWまで自陣のペナルティーエリア付近まで引いて戻り、ゴール前を固める。5人が横並びになり、2列を作る様な守備ブロックを最近ではよく見る。シメオネ政権のアトレティコ・マドリードがその生みの親かどうかは不明だが。

現代では攻撃時はDFも敵陣の深いエリアまで押し込む。攻撃側はGK以外は全ての選手がアタッキングサードに侵入する事も珍しくない。

昔は中盤でゲームを組み立てるなんて表現が当たり前だったが、いつの間にか現代では中盤は攻守が入れ替わった時に素通りするただの通過点でしかなくなってしまった。まるでバスケットボールの様なサッカーだ。それだけ現代のサッカーはよりフィジカルなゲームになり、選手達は広いフィールドを何往復もするほど走る様になった。一説によると、現代のサッカー選手は昔の選手の3倍走るらしい。



今は所有する時代じゃない。家も、車も、音楽や映画もストリーミング、本も電子書籍、あらゆる物がサブスクリプション化し、物を持つ事でかかる維持費や税金、収納場所など所有している故に発生するコストやデメリットもあるからだ。

ボールを持たないサッカーも近年出現した現象だ。昔はボールポゼッションこそが物を言う時代だったが、今ではボールを持っていれば必ずしも有利というわけではない。持っているというよりも持たされている場合がある。サッカーはミスのゲーム。近年は相手にボールを持たせておいて、プレッシャーをかけてミスをさせて奪ってカウンターがよく目立つ。徹底したチーム戦術と激増した選手の運動量による進化だ。

過去10年ぐらい前から心停止や心臓発作を起こすアスリートが増えている。サッカーやマラソンなどの長距離や持久走系の運動選手に多い傾向があるらしい。そしてスポーツ以外の一般社会でもよりハードに働く事が求められる為、過労死という言葉も最近ではすっかり浸透した。世の中をより良くしようと人類は進化を遂げて来た筈なのに、技術が進歩して便利になっている筈なのに、前より生活が楽になるどころかいつにも増して生き残る為にここまでシビアな戦いが求められるのは一体何故なのだろうか。

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