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散文帳

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深夜や出先でぽちぽち書いた、次男右のSS。
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ピーナツバターのサンドイッチ

ピーナツバターのサンドイッチ

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いちばん早く目覚めたつもりだった朝。時計の短針はまだ下から一つ前のメモリを越えたばかりだというのに、僕の布団の隣はがらんとしていた。鼻の頭が冷たいなと思いながら、そっと襖を開ける。黒光りする床の先。階下からは密やかな話し声と、香ばしい匂いが漂ってきていた。
覚悟を決めて布団から出たはずなのに、足が竦む。末弟と2つ上の兄が何やら出かける準備をしていたのを、僕は目敏く見つけていたのだ

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