一人芝居「うぶ声」が終わりまして。

吸い込む空気が
当たり前なんてことなくて。


歩く道のデコボコを足裏で感じることが
当たり前なんてことなくて。


幸せなことや悲しいことをを感じることが
当たり前ではなくて。


当たり前じゃない世界の中で。
さも当たり前かのように生きていて。


それが傲慢だと気付くのは
決して簡単ではないけれど。

普通の日常が特別な日々だということは
決して忘れてはいけなくて。


今回の「うぶ声」を通じて、
そんなことを再び考えるようになりました。


一人芝居「うぶ声」。
全公演が終わりました。



(ここから先はお話のネタバレがあります。
女性版の公演を見る方は、お気をつけくださいませ)



まずは。

お越しいただいたこと。
来たくても来れなくて、
それでも背中を押してくれたこと。


僕の拙い文章では伝えられないくらいの、
感謝の気持ちを伝えさせてください。

心から。
心からありがとうございました。




僕が演じたのは「画家」役でした。

重い病気を宣告をされた画家の役でした。


ただ、それだけでは終わらずに
物語が進み、病気は吹き飛び、
画家は生きて、笑顔で前を見て歩んでいく役。


最初台本をいただいた時、
とても悩みました。


命を題材にする作品は
やはり、とても難しくて。


とても、とても難しくて。


それでも他の役とは変わらず
僕にできることは
役者として、その人の人生に寄り添い
その人の気持ちで本の世界の中で
生き続けることで。


最初の本読みの時。


台本の1ページを読み終わる前に
脚本・演出のぐりむさんが

「一回、ストップしよう」
「まにちゃん、きっとこの人は、言葉が詰まったり、すらすらとは言葉が出てこない人なのかも」

との一言がありました。


本読みを聞いて、そんな画家が
ぐりむさんには見えたのだと思います。


その一言から、
画家の言葉や、画家の行動から
役を創り上げていきました。


「どうしてそうなのか」。


その理由を聞くのではなく
この役を演じる上では
僕自身が、その理由を探していくことに
大きな意味があるのだと思いました。



だから、何度も何度も本を読んで。



どうして言葉は詰まってしまうのか。
どうして上手く話せない時があるのか。


人は、どのように病気と向き合うのか。


図書館にこもり徹底的に調べて。
色んな映像資料を探して調べて。
知人から話を聞いて。

何度も何度も頭の中で整理をしては
言葉にして、動いて、何度も試して。


他者との関わり方において
自身に重なる部分を探して
画家の気持ちを少しずつ紐解いて。


中途半端には演じたくないから。
きちんと画家の人生を歩める様に。


自身が持つ最大限の想像力をもって、
そして、ぐりむさんとの話し合いを重ね、
彼の人となりを、彼の人生を
創りあげていきました。


いま、病気と闘っている方々、
言葉や声と向き合っている方々、
色んな壁にぶつかっている方々、
そんな方々の存在を強く感じながら。



届くかはわからないけれど、
届いた時に、少しでも、誰かの力になるように。

烏滸がましいとは分かっているけれど。
少しでも、力になりたいから。

本当に小さな力かも知れないけれど、
それでも、届けたいから。

その為に出来る事は。
いま出来る事は、
やっぱり全力で演じることだから。

僕なりの画家で「うぶ声」を
演じさせていただきました。


観ていただいて、
色々な感想が生まれたかと思います。


演じることが怖くなった時もありました。


正直、とてもとても怖かったです。


それでも。

僕は出逢った画家の彼が
「それが僕だ」と言ってくれるような
そんな画家を自信を持ってお届けすることが
役を背負う上での覚悟だと感じていました。


本番でお客さんが入った空間となり、
その中でまた生まれるものが多くあって。

画家は、きちんとこの世界に存在出来たと。
公演を終えて、そう感じています。


一人芝居でしたが、
つぶたべりーさんが、ずっと後ろから
ギターを弾きながら唄を歌ってくれて、
画家の世界を何倍も大きくしてくれて。

一人芝居と言いながらも、
音、照明、飾られた絵画、衣装、
そして同じ空間に存在してくれた方々、
皆んなで完成した「うぶ声」でした。


だからこそ言わせてください。


一緒に世界にいてくれて、
画家の人生の一部を観てくださって、
本当に、ありがとうございました。


「うぶ声」。
しっかりと向き合い、
演じさせていただきました。


僕の中で、
彼は一緒に歩んでいくのだ思います。

観てくださった人の心の中にも
そっといさせてくれたら。

とても幸せなことにございます。



この作品と出逢わせてくれた
えのもとぐりむさん。

ありがとうございました。

ご一緒させていただいた時間は
紛れもなく幸せな時間でした。


これからも、
誰かの人生と共に
役者人生を歩んで参ります。


と。

長くなりましたかね。

冬がゆっくりと近づいて来て、
少しずつ寒くなってきました。


昨年とは違う冬。
きっと、来年とも違う冬。


今年限りの冬を
じっくりと楽しみたいものです。


ただ、楽しみすぎて
風邪は引かないように。


気をつけてお過ごしくださいませ。


それでは。
またいつかの夜に。


追伸。
お祝い札、ブロマイドやチェキ、台本、
そして、画家の描いた絵を、
ご購入いただき、応援いただき、
誠に有難うございました。

お持ちのものが宝物になるように、
引き続き、精進致します。

沢山想いを詰めておきました。
こっそり持ち歩いたり
お部屋にそっと飾っていただけますと
嬉しくございます。



そして。
いつもTwitterやInstagramで応援してくれている皆様。

来たくても来れなくて、
それでも気持ちを届けてくださる皆様。

本当に、本当に、ありがとう。

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