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私の生活とSF

 と、言っても、たいしてSF小説読んでないんですけどね。

 こんちは、こんばんは、おはようございます。一般人に毛が生えた程度のSF好きマンです。小生、映画とか本とかそこそこ好きな人類でして、レンタルショップとか本屋とか、かならずSFのコーナーは物色する程度です。雑多なジャンルの中からわざわざSFを選ぶというか、そこにしか興味がわかないのですが、これもまたなかなか「私、SF好きです」みたいな人にかち合ったことがなくて。まぁかく言う私もきっかけがなければ一生かかわらないジャンルだったとは思います。
 で、そこで今回、まぁできればこの沼に引きずり込みたい。ということで、少しでもSFの入り口というか、こういう観点をもってSFって楽しいですよね、っていうのをつらつらと書いていきたいと思います。

SFってなぁに?

 そもそも、SFとは何ぞやってはなし。はいはいSienceFictionでしょ、とか。いやいやSienceFantasyだろ、とか。定義の仕方は実は色々とあります。STARWARSみたいな超科学的なアイテムとかデバイスとかが登場するようなのを後者みたいに呼んだりします。僕も一時期はこの草分けを意識して「いやいや、それはSFじゃあないでしょ」みたいな厄介勢してましたが、今の認識はこれです。

すこし、ふしぎ

 ドラえもんで有名な、藤子・F・不二雄先生がおっしゃられた言葉。日常の中に溶け込んだ非日常が原義ですが、SFなんてこんなものだろうと。それこそSTARWARSなんてのは、スピーダーとかブラスターとか、現代科学じゃ不意可能な代物が出てきますが、それはそれであの世界の日常ではある。有名どころなら、他にはBackToTheFuture、もしもタイムマシンがあって30年前の世界に飛ばされたらってお話。普段の変わらない日常に、あるひとつぜん「タイムマシン」という非日常を投げ込んだらどうなるか。直近の話題作ならTENNET、対象物を時間軸に対して逆行させる能力があったらどんなことができるか。こった世界観とか、ゴリゴリの科学考証とか、そういうのを楽しむのも醍醐味っちゃ醍醐味ですけど、肝要なのは不思議を楽しむこと。この物語の不思議はどこにあるのか、その不思議は世界にどんな影響を与えるのか。エントロピーがあーだとか、パラドックスがどーのを考えるのはいったん置いといて、まずは「不思議なポッケ」があったらどんなことができるのか、の空想を楽しむ。SFってのはそういうとこらから始まるのです。思考をスタートさせたら、あとは科学的な障壁が現れるので、それをエントロピーがどーのこーの言いだして整合性を付けていく。まずは、不思議を見つけて、不思議を楽しむ。その心こそがSFの要だと、私は考えています。

 っていうことがあるんでね、私は時折歩き方が変な男をするのです。繁華街とか、オフィス街に、直進は普通に歩いてるのに、横に行くときは一瞬カニ歩きする男がいるんです。普段何気なく斜めに歩くじゃないですか。あれじゃなくて直進と横平行移動で道を行く男。100人中1人くらいは「なんだアレ」って不思議がると思うんです。その瞬間。不思議が生まれた瞬間から、その人の脳内には、カニ歩き男の真実をおった物語が空想されるはずで、それこそがSFの物語なんです。自分は世の中に不思議っぽい何かを提供することで、みんなに空想をして欲しい。みなさんも、怪異カニ歩き男でも、超絶スキップ歩き階段下り男でも、凄惨駐車場就寝男でも、「なんだアレ」と不思議を感じた瞬間、SFの扉が開かれていることをお忘れないようにお願いします。

僕がSFにはまったワケ

 そんなこんなで、クッソミーハーだけどSF好きって言っちゃう私ですけど、じゃあお前はなんでSFなんてものに触れ始めたのさって話。なんでだっけ...それこそはまってきたものがものなんで、背中をポンと押されればあれよあれよと沼の底だったんですけど、きっかけは並行世界を含んだ宇宙論だったのかなぁ。

 CHRONO・CROSSってゲームがあるんですけど、ゲームシステム的に並行世界がキーになっていて、物語的には私が盲信しているパンスヘルミア説とか、人格の入れ替わりとか、マイクロブラックホールを用いたワームホールとか、そんなエッセンスが混じってるんで、それを理解しようと踏み込んだのが入りですかね。Fate/EXTAR C.C.C.では観測宇宙と記録宇宙の話もありますし、人間原理や宇宙の認識については涼宮ハルヒの憂鬱でも触れますし。物語の考察を進めるうえで科学的要因にぶち当たったので、そっから切り込んでいった感じですかね。そこから、この議論はこっちの作品でもされてるから、みたいなノリで他作品に踏み込んでいった。パンスヘルミアの話があったから2001年宇宙の旅に踏み込むし、記憶と人格の話があれば、攻殻機動隊に飛んだり、攻殻にふれればブレードランナーには触れずにはいられないし、そっから原作小説に移ってトータル・リコールにとんでまた記憶の話に触れ、マイノリティ・リポートからタイムパラドックス的な話に移り、じゃBack To The Furtureは抑えないとで時間旅行モノに踏み込み、宇宙論に行き当たったりとか。

 そこからちょくちょくSFかじり虫になった次第ですね。そんな私が目から鱗な作品。それがこちら

ドラえもん のび太と銀河超特急
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B019GPDFI8/ref=atv_dp_share_cu_r
 ここに来てのドラえもん。私がVHSが擦り切れるほど見たドラ映画ですね。チューブ入りスパゲティは早く商品化されて欲しいのですがまだですか。と、私が一番思い入れのあるドラ映画ってだけなのですが、なんでわざわざSFの話でこれを持ち上げたかって話。この話、22世紀で手に入れた銀河超特急のチケットで旅に出る話で、裏山から走り出す宇宙を駆ける鉄の悍馬はさながら「銀河鉄道の夜」のようですが、これちょっと不思議なんですよね。ドラえもんが未来で手に入れたチケットなので、当然これは未来の汽車なんですが、停車したのはのび太のいる20世紀の裏山。乗客はみんな未来の人で、まぁ目的地も宇宙の果ての果てにあるテーマパークなんですが、時間移動の描写がないんですよね。おまけに、宇宙に出た社内と地球は「どこでもドア」でつながっている。どこでもドアはあくまで空間をつなげるツールなので、時間方向の移動はできないはず。どうやって未来の鉄道が、のび太のいる20世紀に足を運べるのでしょうか。

 この銀河超特急、文字通り宇宙空間を駆けるんですけど、だとするとこういうことが考えられますよね。宇宙空間は時間方向にも広がっている。宇宙って不思議とロマンが詰まってまして、我々が観測できる宇宙の情報は過去の情報であり、遠くの情報ほど宇宙創成の時代に遡っていくんです。ゆえに宇宙の一番端といわれるところには、宇宙開闢時の情報が詰まっているといわれるんですよね。で、じゃあ宇宙の広がりは三次元的なだけなのかって話。私たちは三次元空間の存在だから4次元以上の事は認識できない。紙の上に書いた線では、立体っぽい形は描けるけど、絶対に立体にはならないよううに、僕たちが生み出すもの、観測するもので4次元っぽいものはあるけど、それはあくまで4次元の影であって存在そのものではない。だから我々が宇宙は3次元のカタチをしている。正しくは、3次元にしか見えない、のです。でも、この銀河超特急は、作中ではシームレスで、22世紀と20世紀を、宇宙というものを通して行き来する、つまり宇宙は4次元的にも広がっているものであり、22世紀の技術ではその宇宙を4次元方向に移動することが可能である。ここからは時間移動の形態と宇宙のカタチについての議論が始まるのですが、まさかドラえもんの、なんてことはない銀河鉄道パロディが、ここまで深く議論できるとは思わなかったんですよね。

 この宇宙が高次元につながってるって話、インター・ステラーにつながるんですよね。これはネタバレなんですけど、宇宙の彼方までいった挙句、帰る手段がなくなった主人公は、ブラックホールをワームホールにしちまおうってことで突っ込んでいったんです。それで、突っ込んでたどり着いた先が高次元空間であって、過去、自分の娘が遭遇した怪奇現象は、その高次元を通して干渉してきた主人公の仕業だったって話なんです。ブラックホールみたいな超重力で空間をゆがめて穴を作れば、その穴を通って時間方向に積み重なった事象平面を時間軸に移動できるって話あたりが関連するんですけど、さらにこの話は涼宮ハルヒシリーズに出てくる未来人のタイムトラベルもたぶんそんな感じだったりして。ドラえもんからさらに多彩な作品に展開できるのも面白いところで、よーくアンテナを張り巡らせれば、案外SFの入り口なんてものは凄く近くにあって、あとはそれに気が付けるかどうかの話。だからみんな、SFに興味があるなら是非ともドラえもんを見て欲しい。さらっと表面なでるだけでは終わらず、真剣にドラえもんを見てくれ。きっと不思議と発見に満ち溢れてるから、なにとぞ、なにとぞ...

オヌヌメヌメヌメ

 ドラえもん、ドラえもんは見てくれたかな?じゃあ次はなに見る?なに見る?
 はい。人に自慢できるほどそんな作品数踏んでないんですけどね。だからこそライトなところでこれは見て欲しいなってものをいくつかご紹介を。たぶん有名どころなんで知ってる方は知ってると思いますが、ご容赦を。

フィリップ・K・ディック著 マイノリティ・リポート

https://www.amazon.co.jp/dp/4150118639/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_.WJWFb457J7ZA ブレード・ランナーの原作、アンドロイドは電気羊の夢を見るのか、や二度も映画化されたトータル・リコールで有名なフィリップ・K・ディック氏の短編、これも映画化されているのですが、私は原作小説推しですね。 話は簡単。時はちょっと未来の話(?)人類は「プリコグ」と呼ばれる未来予測装置を手に入れ、犯罪の未来予測をもとに、事前に犯罪者を逮捕するシステムを作り、犯罪発生率をほとんど0%にすることができるようになったんです。その捜査官である主人公が、ある日、大統領だかどっかの政治家を殺害するという未来予測結果が提示されます。無論、主人公にはそんは計画も動機もない。絶対にありえないはずの未来予測の謎を探るべく、プリコグのもとを訪ねるのですが... という未来予測を用いた時間モノなのですが、短編でサクッと読めるのに、世界線の改変というテーマを基にしたお話です。世界線の議論だとシュタゲ(未履修です)や廻るピングドラム、それこそクロノ・トリガーなど有名どころはいっぱいありますね。そのなかでもこのマイノリティ・リポートは未来改変の危険性とか、観測することで確定される宇宙とか。結構私の性癖に刺さるんですよ。未来のことがわかったらいいのにな、なんて気安く思ったり、それこそドラえもんは未来を知った者の世界変革と言っても過言ではないのですが、それが本当に良いことなのか。そもそも未来を観測するとはどういうことなのか。SFの鉄板である時間モノですが、移動するばっかりが話ではないという点において、少し変わっているので是非とも。ちなみにこの本、短編集なんで、他の作品も読めるんでお得ですよ。

日本SF作家クラブ編 SF JACK

https://www.amazon.co.jp/dp/B01E4T74BU/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_JLKWFb5YTWFNX こちらも文庫本で短編集、日本人SF作家のアンソロジーです。小生は冲方丁先生のシュピーゲルシリーズが好きだったので、お、先生書いとるやんけ、ということで手に取りました。SFって色んなジャンルがあって、冲方先生みたいなゴリゴリのサイバーパンクもあれば、陰陽師で有名な夢枕獏先生みたいなSFホラーってジャンルもありましてね。海外SFは有名な作品が多いんですけど、ぶっちゃけ読みづらいんすわ。やけに登場人物大多いし、カタカナ名覚えられなくて読んでる最中に「誰?」ってなるんですよ。その辺圧倒的にに日本のSFの方が読みやすいので、SFってお堅いんでしょ?ってイメージがあればお試しあれ。本当にジャンルの幅が広いので、お気に入りの作品を探してみてください。 特に、私のお気に入りは今手元にないんであってるか不安ですけど、山本弘著、リアリストたち、です。今よりもVR技術が発達した世界、ほとんどの人間が生活のすべてをVR界で済ませるようになり、仕事はもちろん、食事も、セックスも、VRで実現できる世界。それでもAIの方は発達していなく、人口の維持のために、代理出産を用いた計画的な出生率の維持がされてます。そんなバーチャル世界に生きる人間に対し、現実での生を重視する人がリアリストと呼ばれるわけです。先上げたように、人口維持のために、このリアリスト方から人類は産まれて、バーチャルに生きるようになるのです。 この作品の何が凄い。食事まで再現可能なほど高度なバーチャル技術。よくディストピア世界では味もそっけもない食事が出ますが、それと同じ食事が出ても、こっちの世界は確か神経かどっかに電気信号送って味覚を誤認させるんですよね。単純に凄くね。便利じゃね。人とのコミュニケーションもVR上なので、アバターを使って自分好みの格好になれる。圧倒的にバーチャルに没入しつつも、その土壌はリアルにある。とにかく、主人公がリアルを否定するんですよね。自分がリアリストから生まれたという事実でさえ認められない徹底ぶり。昨今、というか今現在進行形でVtuberにはまってる私。もともとバーチャルという存在へのあこがれ(正しくは肉体からの解脱なのですが)があった中に一石を投じた作品ですね。バーチャルとリアルのかかわりはどうあるべきなのか。これは一つのありうる未来への警鐘で、問題的でもある。読んだ当時はしばらく先の話かと思いましたが、Vtuberの登場や、昨今の流行病による隔絶された社会が、これの実現に着実に進んでいるようで少し怖いです。Vtuberにはまっている方がや、VRに興味のあるかた、ちょっと読んでみてください。

谷川流 著 涼宮ハルヒの憂鬱

https://www.amazon.co.jp/dp/4041067731/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_91KWFb6MN16QR 平成を生きた人類なら、聞いたことはある作品。はい、今日の話はこのためにありました。まずは新刊発表めでてぇな!収録作2/3は既出かよ!と思ったけど、残りの完全新作が長編でページの8割占めていて大満足な私です。 と、まぁ聞いたことのない人はいないでしょうが、実際に読んだって人は実は少ないんじゃない?って思う私です。なんせサブカルクソムカデ女こと月ノ美兎が実は未視聴だったという。アニメはみんな知ってるけど、原作までちゃんと読んでる人ってどんだけいるのかなって。ラノベだからって高をくくってる奴がいたらもっぺんアニメを見返してこい、一期だ。一期を見ろ。二期じゃだめだ。二期は一期を見た後に見るんだ。もっと言うなら原作を読んでから見るんだ。いいか、一期を見るんだ。ちなみに一期はたぶんどこにも配信していない。二期は一期の内容に笹の葉ラプソディ、エンドレスエイト、溜息編を合わせて時間軸に並べ替えただけだから。だからBD-BOXを買うかレンタルしろ。それが無理なら、ちゃんと原作を読め。 というのも、00年代萌えアニメ代表格なこの作品、カテゴリはSFです。そんななんちゃってでしょ?って思った方、ご安心ください、ゴリゴリのSFです。03年度スニーカー文庫大賞作品は伊達じゃありません。記事中で二回ほどさらっと挙げましたが、人間原理を用いた宇宙観や時間移動の方法など、きちんとした理が通ってます。美少女のガワを被ったSF作品です。最新刊の直感ではミステリに傾倒してますが、作中でてくるメタフィクショナルな推理面、じつはこの世界って誰かに作られてるんじゃね?という見方をするSF感に通ずるところがあります。そのほか、4巻消失編以降、未来人にまつわる時間移動についての話も多く登場したり、ループものの中でも、ではループしていた間の時間や存在はどこに消えたのか、を考えさせられるアニメでは問題作となったエンドレスエイト、などなど。アニメはさくっと楽しめるけど、やっぱ原作なんだよ。アニメの再現度合いも凄いし、細かい描写も凄いけど、やっぱ小説なんだよ。展開が一部異なったりしますが、やっぱ小説なんよ。 というわけで、原作読むならまずは一巻から。この作品の一番大切なところは、「世界の面白さに当事者自身が気が付いてない」ってところ。世界はつまらないと嘆くヒロインが、実は神様みたいな力の持ち主で、その力を巡って色んな組織から宇宙人、未来人、超能力者のエージェントが送られ、一般人の健全な男子高校生を巻き込み面白おかしい事件が起きているながら、当事者は一切気が付かない。この世界は案外悪いものじゃないのに、それにお前は気が付けないでいるだけだ。まぁそんなヘンテコ事件がなくても世界は楽しかったりするのですが、面白い世界に気が付けてないのは自分自身なんだぞって。最初の方に上げたかとは思いますが、SFは、すこしふしぎに注目すること。その不思議に気付けるかどうかで世界の面白さは変わってくる。まさにソレなんです。僕のSF世界の広がり、ドラえもんをあんなにしゃべったのは隠れ蓑で、真のはじまりはこちらです。ドラえもんに気づけたのは、世界の不思議をくまなく探す気でいたからです。みなさんも読みましょう。そして探しましょう。この世界に隠れた不思議や冒険への入り口、面白いもの愉快なもの。ある晴れた日、あるは任意の意、数学的にはそれはどこかの特定された日ではなく、いつだっていい日。世界は、あなたをまってますよ。

おわりに

 この文、タイトルに生活が入っているのはそういうこと。不思議を探すSFの姿勢は、私にとって面白いを探求する生活そのものなんです。それを教えてくれた作品、今でも「このままでいいのか」って悩んだとき、道がわからなくなったとき、自分の思いを思い起こすためのバイブルとなっています。スニーカー文庫版は実家に置いてきたけどね。
 とまぁ、SFという世界は遠くに見えて、実は近くにあるものだよって話でした。最新刊が出たこのタイミングしかねぇって気持ちでしたね。語りだしたらそれこそ夜を明かしそうなので、今日はこの辺で。

 僕から言いたいことはただ一つ。知った気でいる作品、ちゃんと読んだら面白いかもよ。それでは、何があっても一期をみろ。時間軸バラバラにした構成と、神がかった次回予告がある一期を見るんだ。それではまた次回。過激にファイヤー!!

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