「M-1の金属バット」がもう見れない

今年のM-1の決勝進出組が決まりましたね。

2年連続の真空ジェシカとロングコートダディ、返り咲きのウエストランドとさや香、そして初決勝のダイヤモンド、ヨネダ2000、男性ブランコ、キュウ、カベポスターといったメンツ。とにかくネタに並々ならぬ拘りを持ってる職人コンビが揃った印象です。(ウエストランドを除く)

かなり通好みの技巧派が揃った印象

爆笑問題ファンの自分としては、タイタン勢が2組あがっているのがアツい。特にキュウにはあの大舞台でがっつり爪痕を残して欲しい。ウエストランドは優勝しようが最下位になろうが面白いから大丈夫でしょう。
あとはずっと面白いカベポスターがどんなネタをしてくれるのか楽しみ。

さてと、決勝進出組を讃えたい気持ちは山々なのですが、今回は少しだけ傍に置かせてください。

タイトルにも書きましたが、金属バットについて少しだけ書きたいと思います。
ネチネチとした未練を書くつもりはありません。

僕が金属バットの存在を知ったきっかけがM-1でした。
2016年だか17年だかの予選動画で「漁師の知り合い」のネタを見て、とんでもない衝撃を受けたのを覚えてます。仏頂面の坊主とネズミ顔のロン毛という強烈なルックスにドギツイ関西弁、そしてそのインパクトを凌駕する漫才の巧さ。

その昔、若かりしダウンタウンの漫才を横山やすしさんが「チンピラの立ち話」と批判したという逸話が残っていますが、金属バットが正にそれなんじゃないか。下町のチンピラふたりがただ突っ立って喋っている。それが抜群に面白い。

「彼らは絶対に決勝でハネる!」と確信しました。
多分、お笑いファンの殆どが思っていたと思います。

結果的に彼らが決勝に行くことはありませんでしたが、毎年の予選動画や敗者復活戦などで注目を集めた金属は急速に知名度を上げ、今ではライブのチケットが取れないぐらいの人気を博すことになります。正直、決勝に行く前に売れてしまったことによって決勝が遠のいた可能性も否めないと思っていますが。

お笑いファンの嫌な部分が出てきそうなので、この辺にしておきましょう。ここらでタイトルへ。

「M-1の金属バット」がもう見れない。

このことを共有したくて、夜中にキーボードを叩いています。

世の漫才師にとってM-1が特別な大会であるように、お笑いファンにとってもM-1は特別な大会です。
新人だろうが売れっ子だろうが関係なく「面白い漫才」が正義となる大会において、手を抜く芸人はおそらくいません。全漫才師の真の本気ネタが見れるのはM-1ぐらいでしょう。お笑いファンもそれを楽しみにしている筈です。

そして、個人的にその差を一番感じられたのが金属バットでした。

そりゃ当たり前だろうとは思いますが、ネタパレなどに出てる金属のネタとM-1の予選で見る金属のネタはだいぶ違います。多分、ライブの金属とも違う。
ラフな出で立ちはそのまま、言葉のキレや会話のテンポが段違いに仕上がっている、完全なる競技用の漫才、バッチバチにチューンナップされた漫才を披露している感じ。

普段からどんなメディアでもふざけ続けてる金属バットの静かな闘志が唯一、垣間見れるのがM-1の漫才だったと僕は感じていました。

それがもう見れない。

金属が決勝に行けなかったことより、そっちの方が今はずしりときています。もちろん、決勝でせり上がる御両人も見たかったけれど。

まあ金属バットが面白いことには変わりないので、今後はM-1という枷を外して自由になった金属がどんなネタをやってくれるのかを楽しみにライブに通いたいと思います。

サポートされればほぼ間違いなく喜ぶ男です。