見出し画像

M.R.LABO業務紹介:戦略立案-2

プロモーション戦略の立案

 マーケティング活動全般の中で、”戦略立案”というワードが使われる頻度が最も高いのは「プロモーション戦略」だと思います。ここでいう「プロモーション」とは、広報や広告宣伝から販売活動に至るまでの広い意味であり、販促活動を意味する「セールスプロモーション=SP」とは区別されなければなりません。
 その昔、ある程度の規模の企業では「広報部」「広告宣伝部」「販売促進部」「販売部(営業部)」などと部署が分かれており、例えば新製品を投入する際には、それぞれの部署がそれぞれの分野の中でのみ動くという時代がありました。ただ、当然そういった動き方では、全体としての統一が図れず、効率も良くありません。そこで、それらをまとめて「プロモーション活動」という大きな括りで捉え、その中で各部署間の緊密な連携を図っていくというスタイルになっていったというわけです。

さらに進化した「マネージャ制度」

 このプロモーション戦略という考え方を、もっと強力に押し進めようという手段の一つに「プロダクトマネージャ制度」があります。プロダクト=商品・製品ごとに責任者(=マネージャ)を立てて、その人のイニシアティブのもとにプロモーションの全てを行っていくシステムで、ヨコ割りの各部署に対して、タテに1本筋を通すことが目的です。
 また、このシステムはブランディングにおいても機能させることができます。大切なブランドをしっかり管理するために、「ブランドマネージャ」を立ててマネジメントしていこうというもので、プロダクト展開にブランドという視点が加わることで、顧客との間に強固なコミュニケーション環境を構築できるというわけです。
 ブランディングに関しては、noteの別記事『ブランド・リノベーション』のシリーズを参照いただきたいと思いますが、「ブランドマネージャ」の場合、どうしてもある程度、全社的・長期的な展開を考えていかなければならず、その点が「プロダクトマネージャ」とは大きな違いになってきます。

「ライフサイクル」を考えることが大切

 プロダクト=商品・製品には、必ず寿命というものがあります。もちろんそれらは、数日という短いものもあれば、何十年と続くものもありますが、長短に関わらず商品・製品寿命のことを総じて「プロダクト・ライフサイクル」と呼びます。
 通常、新商品・新製品を世に出す場合、プロモーション戦略的には”スタートダッシュ”を狙います。商品・製品の認知度を一気に高めて、売り上げを上昇気流に乗せようと目論んで行われるというわけです。もちろん、最初からそれほどアクティブに動かず、ゆっくりとした売上上昇を狙うケースもあります。ですが、企業としては普通、新商品・新製品の開発にそれなりの先行投資をしているわけですから、この先「当たるか当たらないか」はわからないとしても、とにかく先行投資分は確保したいと考えて、初期生産分だけでも売り切ろうと考えるわけです。
 スタートダッシュをして、認知拡大~売上拡大にともかくも成功すればよいのですが、通常そこに至るまでに“キャズム”と呼ばれる障壁が現れます。 
 キャズムとは「溝」や「隔たり」という意味ですが、新プロダクトを世に送り出す(ローンチする)と、まずは少数の”新しモノ好きの人たち”が飛びつき、買ったり、場合によっては情報拡散してくれたりしますが、要はその後が問題です。消費者の大半を占める”普通の人たち”が、どう反応してくれるか?ということなのです。その時点で、”新しモノ好きの人たち”(彼らのことをイノベーターやアーリーアダプターと呼びます)の情報を参考にして、”普通の人たち”がどんどん買い出してくれればよいのですが、そうならなければ、そのプロダクトは「溝」に落ちて、もがき苦しむだけの存在になってしまうというわけです。

プロモーション戦略立案のキモ

 したがって、プロモーション戦略を立てる場合、まずは”新しモノ好きの人たち”からの共感をどう得るのかということが、最初の課題となります。そうするとすぐに「じゃ、SNSのインフルエンサーを使えばいいじゃん」という発想になりがちですが、そこは安易に考えず、あらかじめ設定したターゲットにキチンと届くようなコミュニケーション・ツールを選択することが大切です。
 プロモーション戦略を立てるにあたり、もちろんネット活用は考慮されるべきですが、「それだけでは無い」ということも頭に入れておいてください。信用できる口コミだけで徐々に広まった商品が、そのまま長いライフサイクルを保って売れ続けているというケースは、珍しくないのです。
 あと、もう1点。ライフサイクルという視点から考えることの重要さは、プロダクトがある程度売れた後「どうするか?」ということを、想定しておくことでもあります。専門用語では、商品・製品が”陳腐化する”といいますが、売れるピークを迎えた後に、飽きられ始める状態のことを指します。
 繰り返しますが、局面局面の戦い方をどうするかという「戦術」に対し、「戦略」はプロダクトの”一生を見通す”という長いスパンで考える必要があります。そのためには、プロダクトの特性とともに、ターゲットやマーケットの状況をどう捉えるかということがカギとなります。
 ですから、駆け出しのマーケターと呼ばれる人たちが、小手先の手法で出来ることではないということを、同時に理解していただければと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?