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イタリア珍道中 ドタバタのローマ編

こんにちわ。

Mr. K です。

コロナ禍で旅行も中々行けないですね。旅行が好きな方は、この時期どのように楽しんでいますか。妄想力が豊富な私は、テレビの映像を見て脳内旅行を楽しんでいます。過去の旅を振り返ることもしばしば。今回は突如思い付き、バッタバタの弾丸日帰りローマの旅をお届けします。


思わぬチャンス

私はイタリアのソムリエ資格を持っています。2ヶ月弱イタリアに滞在し、ワインの勉強をして資格取得しました。勤めていた会社を休職した為、貴重な機会を逃すまいとイタリアでやりたいことリストを作成しました。

その中の一つがサッカー観戦でした。私はASローマというチームのファンです。通称ロマニスタと言います。出発前にどの試合を観戦するか、事前に調べていました。毎週末、試合が開催されるのですごく迷いますが、やはりフットボールファンとしては強豪との試合を見たいものです。その中で私が注目した試合はローマvsナポリ。これは日本のプロ野球で言うと巨人対阪神。イタリア国内屈指のライバル対決で、サポーター同士がとても熱い(えげつない)ことで有名です。ちなみにこの試合日は2019年11月2日です。

とは言え、ソムリエの授業のスケジュールわからない状態であることと、かなりハードな授業と聞いていたため、勉強に集中すべきだと考えていました。そして10月31日、初日の授業が始まりました。この日は木曜日。スケジュールを確認すると11月1日からいきなり3連休です。どうやらこの日はイタリアの祝日、そして試合は中日の11月2日、このときローマへの日帰り弾丸ツアーを決意しました。

想定を遥かに超えるトラブル

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その決意の翌日、早速オンラインチケットを購入。試合開始は午後3時。ローマのレジェンド、フランチェスコトッティのユニフォームを用意し、ここでイメージトレーニング。あらゆるトラブルを想定しておきます。スリ対策なども抜かりはありません。様々な妄想を膨らませ、ニヤつきながら早めに就寝。

私が滞在していたのは、モンテカティーニという小さな町。フィレンツェから電車で30~40分ほどのところです。フィレンツェでローマ行きの特急に乗り換えるプランです。イタリアでは当たり前の遅延を想定して、所要時間3時間半~4時間(時間通りなら2時間半ほどで着きます。)で着くだろうと計算していました。ローマの街を少し歩こうとも考えていたため朝8時には家を出発していました。

昼には着くと想定しいざ最寄駅へ。しかし歩いている途中、異変に気づきます。突如、私の前に暁の衣をまとったうちはイタチと干柿鬼鮫が現れました!(NARUTOを読んでない方、分かりずらくてすいません)その先には腕にログポースを持つナミの姿が。駅に近づけば近づくほど、エドワードエルリックやクリリン、炭治郎、ベジータ、セーラームーンなど異世界に来てしまったのかと思うぐらいアニメコスプレをした人々が歩いていました。

どうやら隣町でアニメコスプレイベントがあるみたいです。隣町へは皆さん電車で向かうみたいです。そう、駅はパンク状態。券売機は大渋滞。電車は大遅延。イベント自体はフィレンツェとは反対方向の街ですが、線路が1車線という田舎路線の為とてつもない遅延が発生していました。

駅で思わぬ立ち往生をしてしまいましたが、日本人として異国の地で日本のアニメキャラクターをたくさん見られてうれしい気持ちになりました。1時間の立ち往生の末、ようやく電車に乗ることが出来ました。

イタリア流ホスピタリティー

やっと乗れた電車ですが、1車線ということもあり遅れに遅れローマに着いたのは午後1時過ぎでした。日本なら新幹線で東京と大阪を往復できるぐらい時間がかかりました。まっすぐスタジアムに向かえば何も問題ありませんでした。しかし私にはどうしても欲しいものが。それは、ASローマのキャップです。これを日本で買うと8000円ほどかかるのですが、現地だと25ユーロほどで買えます。どうしても、これをかぶって応援に行きたかったのです。

ローマ市内のポポロ広場近くに公式チームストアがあります。普通に歩いたら駅から40分ほどかかります。そこからスタジアムまで更に40分ほど。もちろん走ります。キックオフは3時なので間に合うと思うかもしれませんが、スタジアムについてからのセキュリティーチェックや複雑なスタジアムの導線で恐らく席には中々たどり着けないと予想していました。帽子を購入し私はタクシー使おうと決めました。

帽子を購入した時刻、2時。その後、ポポロ広場前の大通りでタクシーを探します。駅前ではあんなに押し売りされるタクシーなのに、観光地の中心では全然つかまりません。やっと捕まえたタクシーですが、運転手さんの風貌がチョイワル系。いや、チョイではない。ワルです。完全に。

坊主でサングラス、腕にはタトゥーというマフィアにも見える運転手さん。英語は通じる方でした。一安心して行き先を伝えると、こんな会話が始まりました。

運転手「君はどこから来たんだ?」

私「日本だよ。」

運転手「オー!ナカタ!アリガトウゴザイマス」

運転手さんもどうやらローマのファン。すぐに打ち解けることが出来ました。そして幹線道路は混んでいるから裏道を行くと説明されました。そんな中、ふと外を見ると過ぎていく景色が異様に速い。恐る恐る速度メーターを見ると、90km。一般道です。しかも裏道なので信号ないような狭い道路です。そんな状況で運転手さん片手運転で、身振り手振りでスタジアムの入り方を丁寧に説明してくれます。

スタジアムの入り方を丁寧に教えてくれ、キックオフに間に合うよう猛スピードで送り届けてくれた親切な運転手さん。交通違反は良くないですが、イタリア流の熱いホスピタリティーを感じることが出来ました。

太陽のダービー

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という割に太陽出てません。この日の天気は雨でした。
先ほどのタクシー運転手さんのおかげで、無事キックオフに間に合いました。しかしローマのスタディオ・オリンピコの内部は複雑で、入り口から客席にたどり着くまで20分以上かかってしまいました。それでも試合前の応援歌には間に合ったので、あの強面タクシー運転手に感謝してもしきれません。

さあ、やっとの思いでたどり着いたスタジアム。やはりライバル対決なだけあって、観客の盛り上がりも最高潮に達しています。ローマvsナポリは太陽のダービーと呼ばれていて、イタリア国内で有名なライバル関係です。当然、地鳴りのようなブーイングや汚いヤジは飛び交います。

そんな中、特にブーイングを集める選手がいました。ナポリ所属のディフェンダー、マノラス選手です。彼はその前のシーズンまでローマに所属していました。ローマで世界レベルに成長したギリシャ人選手です。しかし彼自身は残留を希望していましたが、ローマのチーム財政悪化の為ナポリに売られてしまいました。そんな彼に私はブーイングを送ることが出来ませんでした。

試合は意外にもローマが主導権を握る展開。ここ数年はローマの衰退とナポリの成長で、ローマは完全に格下です。この試合も少し負けを覚悟していました。結果は2-1でローマの勝利。激しい試合でしたが、強豪ナポリの猛攻を守り切りました。満足感に浸りながらスタジアムを後にします。しかし、更なるトラブルが待ち受けているのをこの時の私はまだ知らない。

出られないスタジアム

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サッカー観戦の良いところは試合時間が決まっていて、その後の予定が組みやすいところです。そのため、帰りの特急電車の指定席を事前に買っていました。試合終了は午後5時ごろ、7時過ぎの電車であれば余裕で乗れるだろう。そう思い7時半ごろの電車のチケットを購入していました。我ながら素晴らしい計画性と自画自賛していました。

試合が終了し余韻に浸りつつ、席を立ちスタジアムの出口へ向かいます。私が出口に向かうということは、その他数万人の観客も出口に向かいます。当然出口は渋滞です。その列が思いの外進まない。えっ進んでる?と疑いたくなる瞬間もありました。ゆっくり人の波に呑まれて30分。スタジアムからは出られましたが、その周りの公園を抜けるのにさらに30分かかりました。

ローマのテルミニ駅までは、私の歩いたら1時間少々。これはちょっと電車の時間ギリギリだなと悟り、事前にチケットを購入したのを後悔しました。テルミニ駅方向に歩きつつ、バスや路面電車を使うかなど考えました。そういうスポーツ観戦したことある方はわかると思いますが、こういう公共交通は試合終了後とんでもないことになります。乗るだけでかなりの時間がかかります。どうするかと考え、ここでもタクシーを捕まえることにしました。

また体感するとんでもないホスピタリティ

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しかしこの状況、人がごった返しているスタジアム周りです。通るタクシー全部乗車中です。タクシーなんて捕まりません。ただ今までの人生、運だけは強かった私、どうしようかと思っていると目の前で降車中のタクシーがいるではありませんか!なんてラッキーなんでしょう!こんなことを考えつつタクシーにすぐ乗車。

今回の運転手さんは、先ほどとは違い寡黙なかたでした。行き先を伝え、車窓から街並みを眺めていました。しかし、全く景色が変わらない。激しい渋滞で全然進みません。これはタクシーでも間に合わないかもしれないと少し覚悟しました。ただイタリアのタクシー運転手は只者ではありません。

車はおもむろに小道へ。抜け道を使うようです。運転が荒いのは、もはやご愛敬です。しかし、どの道も渋滞していて一筋縄ではいきません。大通りもダメ、抜け道もダメ。完全に積んだこの状況。この後、この運転手さん衝撃的な道を進みます。

交差点で普通に信号待ちをし、左折をしました。路面電車も走っている道路です。私は単なる左折と思っていました。車は真ん中の車線に入りました。私は何も気にせず車窓から景色を眺めていました。すると少し高くなっている所に人々が立っている光景がすぐ目の前に。明らかに路面電車の駅です。違和感を覚え辺りを見てみると、明らかに路面電車専用の道路です。

路面電車は一般道を走ります。基本的には車と同じ道を走りますが、駅の近くなど道によっては専用レーンがあります。先ほどの交差点で入ったのは、路面電車専用レーンだったのです。そんな道路を車が走っているはずもなく、渋滞をどんどんすり抜けていきます。しかし、もしも電車が来たらと思うとハラハラしてなりません。

しかし、イタリアのタクシー運転手は目的のために何でもするんだと感心しました。そうこうしているとローマテルミニ駅に到着。素晴らしい運転だったと運転手さんを称え、タクシーを後にしました。想定よりもかなり早く駅に着いたため、電車内で食べる夕食を買う余裕が生まれました。

そして無事に電車に乗りモンテカティーニの街へ帰りました。

終わりに

ドタバタな1日でしたがいかがでしたか?
様々なハプニングがありましたが、とても充実していました。こういう旅は日々の生活に活力をあたえてくれますね。この旅のおかげでソムリエの勉強も頑張ることが出来ました。早くコロナ終息し、また安心して旅行ができる日々が来ることを願っています。

ちなみに、ミラノ編とヴェネツィア編もありますのでご期待ください。


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