雪とか猿とか金魚とか人とか(短歌5首&解題)
昨日までごめんねばかり繰り返し反省していた髪留めの猿
祝福を抱えて街を歩いてた 投げ出す場所を探していたんだ
「ひと掠(かす)りの傷を下さい」ライナスはブランケットに包まれている
あなたはまた金魚になって往来を笑う桜並木の下で
粉雪がふるふる硝子に鼻つけた紋白蝶の化生(けしょう)のきみは
[解題にもならないような解題]
昨日までごめんねばかり繰り返し反省していた髪留めの猿
大学時代に作ったお気に入りの歌その2。短歌を始めて1年くらいの作。22歳の頃の私は自分の文章の硬さに嫌気が差しており、短歌修行がそのまま文章修行に繋がったらいいなと思ってました。そんななかでも、柔らかいことばで短歌を作れた! やった! ってなったときの歌なのでよく覚えてます。髪留めに猿を使う人みたことないけど、そんなひとが頭を下げて謝罪してたら、本当に謝罪する気あるのか!って言ってしまいますね、私は。
祝福を抱えて街を歩いてた 投げ出す場所を探していたんだ
最近されてないですね、祝福。社会人になってしまうと、卒業式みたいなおめでとうと言われがちな節目の行事から遠ざかっていきますね。ところで今度読書会の友人の結婚式があるので、たくさん祝福してあげようと思います。
「ひと掠りの傷を下さい」ライナスはブランケットに包まれている
ライナスとは「ピーナッツ(スヌーピー)」に登場する男の子。いつもブランケットを持っていて、ブランケットが手元から離れてしまうと禁断症状が出てしまうという典型的なブランケット症候群の子です。私はときどきライナスになりたいなって思います。ライナスそのものになりたいというよりは、あのブランケットに触りたい。きっと世界でいちばん触り心地が良くて、安心するんだろうなって思います。
あなたはまた金魚になって往来を笑う桜並木の下で
金魚って飼ったことありますでしょうか。私はありません。
先日、スーパーに行ったら週末の外出自粛の影響で棚ががらんがらんでした。子供のために食パンを買いに来た私、なんでかお腹の底から笑いがこみあげてきて、お店を出たら笑ってしまいました。なにがそんなに面白かったのか思い出せませんが、自然と笑いました。
粉雪がふるふる硝子に鼻つけた紋白蝶の化生のきみは
今朝、息子といっしょに窓の外の雪を眺めていたらできた歌です。化生。仏教のことばをときどき詩歌につかいたくなります。鼻を窓ガラスにつけて息をすると、蝶々みたいな形に曇ります。ずっとそうやってたら、鼻の感覚がなくなってきましたけど、雪がきれいでしばらくそうしてました。息子は今日も元気です。
猿とか金魚とか紋白蝶とかライナスとか。
生き物ばっかの短歌5首でしたね。散文のほうで忙しくしてたわりには良いペースで詠めててよかったです。なんか感想とかあったら教えてやってください。喜びます。また5首たまったらやります。
生きるぞ~~~~~~~~~!!!!☺☺☺☺
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