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【未解決問題】3次平方数魔方陣は存在するか

※コメントでご指摘いただきまして、平方数の表示を得た辺りからの議論は完全に誤りでした。
戒めとして公開したまま残しておきますが、この証明は正しくないので引用等なさらないようにお気をつけください。

〜本日のお品書き〜


ごきげんよう。計算ミスや論理の飛躍があればすぐに教えて欲しいです。見つけた方には土下寝して感謝します。
追記:早速タイトルを魔法陣と書き間違えていました。笑える

0.先付

魔方陣:正方形をN×Nのマスに分割し、マスの中にそれぞれ数字を配置したとき、縦/横/対角線上のマスを足した和が等しくなる組み合わせをN次魔方陣(N×N魔方陣)とよぶ。
※N次魔方陣の場合、1~N^2までの自然数を1つずつ使うという縛りを課したものが一般的で、今回はその縛りを取り払ったものを扱います。

平方数魔方陣:魔方陣に用いられる数字が全て平方数になるというミラクルな魔方陣。4×4以上では普通にみつかるんだそうな
以上を踏まえてこのページで示すこと→

「非自明な(相異なる自然数を用いた)3次平方数魔方陣は存在しない」

〜説明を省いて勝手に用いること〜
魔方陣は全てのマスに同じ数字をかけたり足したりしても成り立ったままである

1.一般の場合の3次魔方陣について調べてみる

以降出てくるアルファベットや記号は別段の取り決めがない限り整数として考える。

こんにちは

一列の和をSとおく。
このとき、魔方陣の定義から
斜めの和4つ
(a+e+i)+(c+e+g)+(d+e+f)+(b+e+h)=4S
縦の和3つ
(a+d+g)+(b+e+h)+(c+f+i)=3S
両辺引き算して
3e=S...①となる。
①と図の位置関係からa+i=2e,c+g=2eである。それぞれ変形すると
a-e=e-i,c-e=e-gとなるので、それぞれの列は等差数列になっていることが分かる(等差中項というやつ)

zは使わないです

この事実を基にe-i=x,e-g=yとおいておくと、e,x,yの三文字を用いて魔方陣を表すことが出来る...ので
表したものがこちらでござい↓↓↓

後の議論でも役に立ってくれるので、以降この形式をEXY表示と名前を付けて呼ぶことにする

先程整数に限定したが、この表示はこの世に存在するありとあらゆる3次魔方陣で成り立つ。たとえ負の数でもオイラーの定数γでも複素数でも。果たしてそうまでして魔方陣を作りたい人間がいるのかは置いておいて、これがかなり強力な条件として機能してくれる。
例えばeを素数とすれば、本質的に異なる(他の魔方陣の定数倍や回転でない)魔方陣が無限に存在することを容易に示せる。更に余談を挟むと、これで魔方陣のもつ対称性が綺麗に可視化できた。例えばx,yを入れ替えると左と右をひっくり返したことになる。

2.平方数で考えてみる

ここからは全ての文字が平方数となる場合を考える。(ややこしいが先程出てきたa~iは二乗に変換して使う)
先程つくったEXY表示から、

足し算同士が対応しています

f^2+h^2=2a^2
b^2+d^2=2i^2
が導かれる。
実はこれらの式は既に整数解の表示が得られていて、
q,rを用いて
a^2=(q^2+r^2)^2
h^2=(q^2+2qr-r^2)^2
f^2=(r^2+2qr-q^2)^2

m,nを用いて
i^2=(m^2+n^2)^2
b^2=(m^2+2mn-n^2)^2
d^2=(n^2+2mn-m^2)^2

という組で表せる。(正しくはそれぞれに定数倍をかけたものを考慮すべきだが、あとの操作で消えるのと見づらくなるだけなので省略する)
※以下のURLを参照のこと。ここでは巨人の肩の上に乗ることにして、解の組についての結果だけを引用する。
ヤフー知恵袋 で見つけた解説

Math Stack Exchange で見つけた解説

Quora で見つけた解説

検算はWolframの提供でお送りいたします。

して、これと魔方陣が満たすべき条件に従って、以下のグロい見た目の数式の組が得られる。

集合体苦手な方、ごめんなさい

※先程のEXY表示から導かれる(b^2+f^2=2g^2)、(d^2+h^2=2c^2)、(a^2+i^2=2e^2)も用いた

①の3e=Sより、
1列の和は中央の数の3倍であってほしいので、左端の部分をタテに足し合わせ、中央を3倍したもので引き算してみる。
ここでまたもや半泣きでWolfram先生に計算をお願いしよう。

-2m^3n+2mn^3+(3q^4)/2-2q^3r+3q^2r^2-(3q^2)/2+2qr^3+(3r^4)/2-(3r^2)/2=0...②
ありがとうWolfram大先生。
ついでに
(a^2+i^2)-(d^2+f^2)=2e^2-2e^2=0
となってほしいのでこれも大先生のお手隙の際に計算していただく。

-4m^3n+4mn^3-4q^3r+4qr^3=0...③
ありがとうウォルフ師匠。あいしてす
ここで、おもむろに②を2倍してみる。

-4m^3n+4mn^3+3q^4-4q^3r+6q^2r^2-3q^2+4qr^3+3r^4-3r^2=0

気合いで並び替えると

(-4m^3n+4mn^3)+(-4q^3r+4qr^3)+6q^2r^2-3q^2++3r^4+3q^4-3r^2=0

③よりカッコの中身がいなくなって、

6q^2r^2-3q^2+3r^4+3q^4-3r^2=0

おもむろにこの式を3で割りつつ移項すると(q^4+2q^2r^2+r^4)=(q^2+r^2)

...…おや……!?ディオファントス方程式の 様子が……!
いくら私でもこの式を因数分解するくらいの権利はあるはずなので、そうする。

(q^2+r^2)(q^2+r^2-1)=0

やば!

私のノートのメモより

この式の意味するところは

q^2+r^2=0 or q^2+r^2=1

のいずれかが成り立つということで、それはすなわち
a^2=0 or a^2=1
を意味している。ところがどっこい今h^2+f^2=2a^2が成り立っている前提で話を進めてきたので、h^2とf^2も1......
あとは適宜代入していけば
自明な魔方陣、(1,1,1,1,1,1,1,1,1)(0,0,0,0,0,0,0,0,0)以外に解は存在しないことが示せる。

※ちなみに最初の一般解で定数倍も考慮した場合、Aをゼロでない定数として
A^2(q^2+r^2)(q^2+r^2-1)=0
が導かれ、A^2≠0なので結局同じ結論になる。(はず)

3.感想

ここまで読んだ方、お疲れ様でした。
この問題を知ったのは以下の動画のサムネイル

ド文系でも楽しい【ゆっくり数学の雑学】様

からで、単純に数えて約5ヶ月間ずっとこの魔方陣とにらめっこし続けたことになります。
高級な数学は使っていないけれど、少しエレファントな説明になってしまったという所感。特に途中のWolframに頼んだ過程は自力で計算する気が起きないですね。
とはいえ仮にこの問題の解決が整数論の重要な考察に寄与するとか、あるいは工業分野で実用性があるとかであればもっと早く解かれていたでしょうから、単純に問題の発展性がなく何百年も真面目に興味を示す数学者がいなかったという結論になりそうです。あるいはこの説明に深刻な欠陥が見つかるかも
一応三角関数や合同数のお話に繋げられないこともないのですが、なにかしら反響があったら付け足すことにします。

…では最後にこの魔方陣の性質を解析する過程で作ったイイ感じの魔方陣を載っけておしまいです。作り方はひみつ

なんでや!

またね

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