ふりかえり高校数学1 はじめに・式
はじめに
これからいくらか投稿するこの記事は,これから大学で数学を扱うには高校の内容を忘れてしまったという仲間うちで行った勉強会の内容である.そのため,内容は最低限であって何か則っているわけではないし,高校生や社会人の参考になるかどうかというのも全くわからないことを最初に断っておく.
文頭で % 記号を用いている段落はちょっとしたつぶやきだと思ってほしい.
Chapter 1 式
1.1 整式
数,文字およびその積であらわされる式を単項式という.また,単項式の和や差で表される式を多項式という.これらをまとめて整式とよぶことがある.
例:$${1}$$,$${x}$$,$${y}$$ は単項式.$${1 + x}$$,$${1 - x + y}$$ は多項式.
% 整式は高校教育での用語らしく,大学以降の一般的な数学ではあまり使われないらしい.
ここで,多項式をなす各単項式をその多項式の項といい,単項式は項が1つだけの多項式ともいえる.
% 普段から気をつけるほどではないだろうが,文献によっては多項式を単項式ではないものとするものもあるらしい.少なくとも高校範囲では関係ないだろう.
数と文字の積である単項式において,その数を係数といい掛け合わされている文字の総数を次数という.また,多項式における次数はその全ての項のうち最も次数の高いものと等しい.
例:$${x^3 + 4x^2 - 5}$$ をなす最も次数の高い項は $${x^3}$$ であり,これは3次の単項式であるから,この多項式は3次式である.
% 多項式の次数は後述する簡約化された状態で決める.
1.2 分配法則
数 $${a}$$,$${b}$$,$${c}$$ について
$$
\begin{array}{}
a(b + c) &=& ab + ac,\\
(a + b)c &=& ac + bc
\end{array}
$$
が成り立つ.これを分配法則という.なお,数だけでなく整式を含んでも成り立ち,例えば $${a = d + e}$$ などとすれば拡張することができて広く成り立つことがわかる.
% 高校では複素数まで扱うが,断らない限り数とは実数の範囲である.
分配法則をもちいれば,同じ次数の同じ文字をもつ同類項をまとめることができる.
$$
\begin{array}{}
3x^2 + 2x - 5 - 7x + x ^2 - 1 &=& (3 + 1)x^2 + (2 - 7)x + (-5 - 1)\\
&=& 4x^2 - 5x - 6
\end{array}
$$
このように多項式の同類項をすべてまとめた式にすることを簡約化という.
1.3 展開
整式の積を1つの整式にすることを展開という.
教科書などでは公式が用意されているが,展開は分配法則そのものであるから,展開するときには分配法則をもちいるだけでよい.
$$
\begin{array}{}
例:3x^2 (x^2 + 2x - 4) &=& 3x^4 + 6x^3 - 12x^2,\\
(x + 1)(x - 3) &=& (x + 1)x - (x + 1)3\\ &=& x(x - 3) + (x - 3)\\ &=& x^2 -2x -3
\end{array}
$$
% 展開の公式は次節で扱う因数分解のために用意されているようなものである.
1.4 因数分解
1つの整式を1次以上の整式の積で表すことを因数分解という.このとき,積をなす各式を因数という.
因数分解は整式における素因数分解のようなものだ.ある数を素数の約数の積で表す.元の数を整式だとすれば,この約数が因数と対応する.
ここまでで,因数分解に見える操作を行ったところがある.分配法則における多項式の簡約化の例で,各項に対する操作は因数分解の例になりえると思われる.
$$
3x^2 + 2x - 5 - 7x + x ^2 - 1 = (3 + 1)x^2 + (2 - 7)x + (-5 - 1)
$$
どういうことかというと,$${3x^2 + x^2}$$ という1つの整式を $${3 + 1}$$ と $${x^2}$$ との整式の積にしている部分が因数分解に見えるということだ.ただし,$${3 + 1}$$ は1次以上ではないし,一部に注目した話であって式は因数分解されていない.
なお,因数分解も分配法則によって成り立つ.ただし,展開のように順に処理できるわけではなく,むしろ逆であり,どのように因数を決めれば展開したときに等しいかを考える必要がある.
簡単な因数分解として,2数の和や差の積に因数分解できる整式が扱われる.その際に助けとなる以下の式が公式としてあげられる.
$$
\begin{array}{}
a^2 \pm 2ab + b^2 &=& (a \pm b)^2 & (複号同順)\\
a ^2 - b^2 &=& (a + b)(a - b)\\
x^2 + (a + b)x + ab &=& (x + a)(x +b)
\end{array}
$$
% 複号とは $${\pm}$$ と $${\mp}$$ のことだが,これを使えば文字は変わらず符号の入れ替えだけで書ける式をまとめて表せて便利である.しかし,今回のように2か所で用いたときには,符号のとり方のせいで考えうる式が4本存在してしまう.こういった符号のとり方を明確にするために,すべてにおいて成り立つとき,すなわち符号のとり方が任意であれば複号任意といい,今回のように同じ行の符号で対応させるときには複号同順という.
思考の助けとして,例えば $${x^2 + (a + b)x + ab}$$ であれば,足した結果が $${a + b}$$ であり,掛けた結果が $${ab}$$ であるような2数 $${a}$$,$${b}$$ を探すと使いやすいだろう.
基本的に和よりも積を考えると何かと便利である.例えば,$${ac = 3}$$ なる2数 $${a}$$,$${c}$$ の組は $${(a, c) = (1, 3)}$$,$${(3, 1)}$$ しかないが,$${a + c = 3}$$ なる2数 $${a}$$,$${c}$$ の組は無数にあるように,積における条件はわかりやすい.
もちろん,公式のような簡単な因数分解ばかりではないが,このようにある項の係数や文字の次数に注目することで因数分解の助けになる.
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