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現を表す/2020/11/28

おはようからおやすみまでNHKにお世話になった一日でした。 


NHK杯2日目。


女子FS。森の妖精、三原舞依ちゃん。素晴らしかった。「フィギュアスケートっていいな」という素朴な、でも何よりも大事な感情を思い起こさせる演技。それはきっと誰よりも本人がスケートを愛し楽しんでいるから。同じ時を同じ感情を共有してみんなを一つにすることそれがフィギュアスケートの素晴らしさ。世界平和。LOVE&PEACE。きっとどの選手も持っているであろうどこまでも純粋でまっすぐなスケートへの思い、それを突き詰めたらこんなに美しくなるのだなあ。第2G河辺愛菜さん。3Aおりた!彼女の演技は凄い。身体による音楽へのアプローチ、そこにしっかりと意志を感じる。あんまり年齢とか容姿とかについて言及しないようにしているんだけど(とか言いつつ昨日は髙橋大輔さんのことをおっさんおっさん言ってしまいました。申し訳ありませんでした)、彼女ばかりは本当に16歳???シニアデビュー???って言いたくなっちゃうよ。一方、横井ゆは菜さんの『トムとジェリー』にはシニアの選手がコメディーを滑ることの難しさを感じた。「かわいい」だけではダメだから。何かのキャッチコピーみたいだな。ゆは菜ちゃんならもっと振り切ってできるんじゃないかと期待してしまう。ラスト3S+3Tのリカバリーはさすがでした!松生理乃さん昨日に続き凄かった。継ぎ目のないスケートの中に曲の変化に合わせてきちんと緩急をつけているうえ、最後までスピードが落ちなかった。あと振り付けがいい。ChSqが凝ってたのでジュニアのプログラムだということを完全に忘れていた。今思い出した。3位表彰台おめでとうございます。同門の山下真瑚さん。『A Thousand Years』、彼女の柔らかい雰囲気を生かしつつ、落ち着きのあるいいプログラムだと思った。4Sナイスチャレンジ!そしてついに!ついに!!!ワカバヒグチが!!3A!!!おりましたよ!!!これだけでおめでとうと言いたい。ちょこちょこ抜けあったけど本人もガッツポーズしてて笑った。今の新葉さんすごくいいな。周りを気にせずやりたいことをできている充実感。東日本の時に気持ちが演技に出やすい選手だと書いたのはやっぱり間違ってないと思う。樋口新葉の演技は彼女の現在地をそのまま映し出す。唯一無二の魅力だよ。ラスボス・カオリサカモト!いやあ圧倒的でしたね。彼女の演技は技術の結晶なのでわりと言語化しやすくはあるんだけど、『マトリックス』は脳髄を直接ぶっ刺すようなプログラムだな。考える前に脳汁が出てる。あの音ハメ2A+3T+2Tからラストまでのさいっこ~~~~~の疾走感、興奮しない人間がいるか???いない。クワド入れたいみたいだけど、かおちゃんなら今の構成でも十分戦える気がする……。フリー153点出てるんだよ??まあやりたいようにやるのが一番だけど、焦りや重荷になってしまうようなら今持っているものを磨き上げるのもありだと思うんだ。ド素人が勝手なことを言うな。すみませんでした。優勝おめでとうございました。

FD。りかえいマイケルブーブレメドレー。なんでブーブレってこんな人気なんだろう。女性のダンサーっぷりが際立つ演技だった。RDとはがらっと変わって強そうだった。リカコ様。かなだい。ちょっと上手すぎて引いてしまった。いや、リフトは「頑張れ!!」と思いながら見たし、ツイズルのミスもあったけれど……。昨日のRDは終始ドキドキしながら見ていたけど、今日は全てを忘れて見惚れてしまう瞬間が何度もあった。特にChStとDiSt。DiStとD1SKって似てない?今ジャッジスコア見たらこの2つはかなり評価されていました。よっしゃ的外れなこと言ってなかったぞ。別にてめえが良いと思えばそれは良いし何も間違ってない間違った感受性などないと信じてるけど、こんな詳しいですよオーラ出しといて的外れだったら恥ずかしいじゃん。話がずれた。哉中ちゃんが上手いのはもとより、緊張やら何やらで一瞬忘れかけてたけどダイスケタカハシってスケートもダンスもしぬっっっっっほど上手いんだった……と思い出した。2人の世界がこれからどんどん濃くなっていくと思うと楽しみでしかない。どうか末永く続けられますように!!!最終滑走チームKOKO。やっぱアイスダンサーってすげ~~~~~ことしてんだな~としみじみ思った。世界で戦うには技術に不安なんてないのが大前提、そのうえでいかにレベルを取りこぼさず、どれだけ美しくできるかの勝負になってるんだから。『ある愛の詩』、名プログラムですね。ハッピーな回想シーンと悲しいシーン、しっかり演じ分けながらも一つの物語になっている。素晴らしい作品。優勝おめでとうございます。

男子FS。三浦佳生くんの熱いファイターっぷりと佐藤駿くんの研ぎ澄まされた集中力が印象的だった。かおくんが最後の力を振り絞って戦うさまも、駿くんの張り詰めた緊張感も、意図したものではないかもしれないけれど、それぞれのプログラムのテーマにぴったり重なっていた。私はそういう瞬間が好き。"演技"ではない生の感情が音楽に重なる瞬間が。だから私は新葉さんのスケートが好きなのかもしれないな……。三宅星南くん、衣装加点+800000点。今日は彼の日ではなかったけれど、『幻想即興曲』はかなり好きかも。王道衣装だけれど表現はそこまで王道ではない気がする。陰を感じる耽美な表現。いつの日か星南くんに完全闇堕ちダークサイドみたいはプログラムを滑ってほしいなあと思った。抽象的すぎる。ロミジュリの夢は叶ったから……。第2G木科雄登くん『Rhapsody in Blue』、パフォーマンスとして悪くなかったのではないかと思う。特にステップ!優雅で華やかで、薔薇が舞っていた。私の目には確かに見えた。無論、フィルターがかかっている。わかっている。岡山三銃士には思い入れがある。それぞれに個性があって魅力的で好きなんだ……。もう3人とも岡山は離れてしまったけれど。だいたいただのファンなんてフィルターかけてなんぼですよ。肩入れして贔屓しまくった方が楽しいもん。ただやりすぎるともはや「フィギュアスケートが好きな人」ではなくなってしまうから注意が必要。そしてレペゼン岡山倉敷、田中刑事さん。彼もパフォーマンスとしては決して悪くなかったというかよかったと思う。ていうか刑事さんってこんなに上手かったっけ???なんかすごい上手くない????私の目が節穴だっただけ?????おそらくここまでジュニアやシニアデビューの若い世代の演技が続いていたこともあって異常に上手く見えたのだと思う。でもやっぱマジで上手くなったと思うんだよな。うまく言葉にできないが……。「大人の演技」ってこういうことなのかもしれないなと思った。シニアデビューの選手なんかがよく「大人っぽい演技を」と言うけれど、そもそも「大人っぽい」を目指す時点で大人ではないのだから。背伸びしたり、色んなジャンルに挑戦することことを否定している訳ではない。「大人っぽい演技」は結果であって目的ではないのだと言いたい。難しいな。違うんだ、私は刑事さんの演技が好きだと言いたかっただけ。はい。ルーカスくん、Twitterで「公務員ジェームズボンド」と言われていて笑った。的確だ。こんな風に一言でスパッと言語化できるセンス憧れるな~~~。友野くん!『ムーラン・ルージュ』、本当にラブ。愛。友野一希が滑るプログラムって全部名作になっちゃう。一昨日のnoteに書いた通り、ジャンプのミスはあれど今日も最高のエンターテイメントを全力でお届けしてくれました。StSqとChSq。最高of最高。スケートファンの間には「振り付け師にお歳暮送りたい」と言う文化があるが(何その文化?)、私は振り付け師であるミーシャ・ジーさんのファンとして友野くんにお歳暮を送りたいです。逆に。伝われ。ミーシャのファンなら絶対わかってくれるはず!ChSqの加点は+2.10でしたね。ちなみにかおちゃんは+2.30。満点+2.50をとる日も遠くないのでは。ちなみにGOE11段階の新採点になってからChSq満点を獲得したことがあるのはネイサン・チェンさんただ一人です。誰が二人目になるのかワクワク。ラスト、鍵山優真くん、圧巻、異次元、未来人。スケート上手すぎ、ジャンプの質高すぎ、音ガンガン取りつつ展開に合わせて緩急もつけててな~~~んにも言うことない。まごうことなきチャンピオン。おめでとう。

さて、テレビの実況を聞いていてどうしても気になるのは「表現力」という言葉。あまりにも曖昧だから。例えば、優真くんの演技と友野くんの演技、両方とも「表現力が高い」の一言で済ませてしまうのはかなり強引ではないかと思う。そもそも「表現」って何なんだ?

[名](スル)心理的、感情的、精神的などの内面的なものを、外面的、感性的形象として客観化すること。また、その客観的形象としての、表情・身振り・言語・記号・造形物など。

フィギュアスケートにおいては表現する対象として内面的なものに加え「音楽」が加わる。ここでいう「音楽」とは耳で聞こえる音そのもののこと。

私は、個人的には、「スケーティングスキルなどの技術力」「音楽の表現力」「内面的なものの表現力」はそれぞれ独立しているのではないかと考えている。そしてこの並び順は採点での評価されやすさとなっている。しかし、一般的に「表現力」と聞いて想像するのは「演技力」、あるいは「踊りのうまさ」であり、この並びの逆なのではないだろうか。だから、「演技構成点では表現力が評価される」という説明は誤解を生みかねないし、採点のわかりにくさに拍車をかけてしまう。まあだからといって5項目詳細に説明なんてしたら別の意味でわかりにくいと思うけど。わからなくていいんだよ。宮本賢二さんも「何も考えずに見て楽しんでください」的なこと言ってたしね!でも私は考えんでいいことを考えるのが好きなんだ!ごめんね!先ほどの例について補足しておくと、優真くんも友野くんも世界のトップレベルで戦うスケーターで全ステータス振り切れてるのは大前提として、優真くんの場合は「技術力」と「音楽の表現力」がカンストしてて、友野くんは「音楽の表現力」と「内面的なものの表現力」がめちゃくちゃ高いのではないかと思っている。どっちも好きです。

表現力といえば。

R-指定さんがゆすり屋・池谷修役でご出演されたドラマ、『閻魔堂沙羅の推理奇譚』を見ました。Rさんは表現力爆高ラッパーだと常々思っていたのですが、お芝居での表現もめちゃめちゃ良かったです。予想以上に演技が上手くて何の違和感もなく見入ってしまった。一方、今までに見たことのない表情に声にドキドキもして、ふしぎな気もちになった(すぎやまみお・5ねんせい)。酒と薬と金がめちゃくちゃ似合っててウケたな。そこは似合うなよ。

※この感想は自制心により生成されています。頭のネジストッパー全部外してバカになりたいな。なれたら楽しいだろうな。でもこんなこじらせ人間じゃなかったら今好きなものも好きになれていなかったよ。私を正しくさせてくれるものと間違いすらも肯定してくれるもの両方あってよかったな。私にとって好きなものたちは別に現実と向き合ったり戦ったりする力をくれたりする訳ではなく、あくまでも現実逃避にしかならないのだが、その存在が心臓に根を張って生を支えている。本当にハッピーだよ。ありがとう。これ書いてる今はシラフです。さようなら。

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