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フィギュアスケートを見るということ/2020/12/26

日付が変わらないうちに書き始めたのに、気付いたら力尽きていた…………。

全日本フィギュアスケート選手権、男子シングルが終わりましたね。

いま、頭に浮かぶのは宇野昌磨さんの演技。楽しそうな姿。風を受けて、音に乗って、この全日本で滑ることを心底楽しんでいるように見えた。そんな昌磨さんを見て、自然と涙がこみ上げてきた。

それはもちろん、彼の過去を思って、ということもあるけれど、何よりも、フィギュアスケートの素晴らしさに触れたから。画面越しではあるけれど、あの瞬間を共有できてよかったと心から思う。そんな、宝物みたいな演技だった。

昨年の全日本でも同じ『Dancing On My Own』で本当に素晴らしい演技を、ガッツポーズを見せてくれたけれど、今年はそれ以上に胸を打たれた。

きらきらと光る夜空のように、どこか寂しいけれど、あたたかく包み込んでくれるようなプログラム。いまの昌磨さんが纏う柔らかい雰囲気と、重みのあるスケートによく合っている。

SP『Great Spirit』とのコントラストも最高なんだよね。叶うなら、もっともっと見たいです。


そして、同じくスケートを楽しむ姿が印象的だったのは、同門の島田高志郎くん。

4回転サルコーが綺麗に決まり、ミスも最低限に抑えた、でも、その内容以上に、点数以上に素晴らしい演技だったと私は思っている。
 
高志郎くんを好きになったときのことは明確に覚えている。初めてJGPSを見た、2015-16シーズン。

高志郎くんは、当時わずか13歳にして、いつだってリンクを自分のステージにしてしまう、そんな表現者だった。環境の変化があっても、それだけはずっと変わらない。

そして、そんな彼の持ち味とステファン・ランビエールコーチのもとで磨いてきた優美な身のこなし、そして音楽性が見事に噛み合ったのが『パガニーニの主題による狂詩曲』だと思う。

原点と今が交わり、濃厚なハーモニーを奏でる。音楽に、命が吹き込まれる。これは最高傑作だと確信した。震えが止まらなかった。ステファン先生も、「ベストパフォーマンス」だと涙を流していたらしい。美しいな。日本だけではもったいない、世界に届いてほしい演技だった。

あと、私はやっぱり島田高志郎さんのことが人間として好きなんだなということを改めて実感した試合でもあった。受け答えが以前にも増して聡明で、清々しくて。尊敬しています。フルネーム呼びしたくなるくらいには尊敬しています。


続いての滑走が三宅星南くんというのも感慨深かったな。SPの『ロミオとジュリエット』が星南くん史上最高では、と思うほどの素晴らしい演技で、その分、FSは見ているだけのこちらまで緊張した。

今まではどうしてもFSでミスが出てしまうことが多かったけれど、今回は凄く落ち着いて、最後までしっかりと見せてくれた。強かった。

私が星南くんや高志郎くんを初めて生で見たのは、2015年の全日本ジュニア。初めて一人で見に行ったということもあって、すごく思い出深い試合。

あのとき出場していた選手の半数以上が今年の全日本選手権にも出場している。女子もアイスダンスも。凄いな……。年月の重み……。みんなそれぞれの場所で頑張って、またここに集まって、花を咲かせている。


最後はもちろん、この人を語らずには終われない。
羽生結弦さんの、圧倒的なFS。あまりにも凄すぎて何も言葉がでない。興奮よりも畏怖が勝る。

この感覚、2015-16シーズン、『バラード第一番』と『SEIMEI』という最強のプログラムを引っ提げてNHK杯とGPFで4度のノーミス、他を寄せ付けず無双していたあの頃を彷彿とさせた。

書いていて気がついたけれど、どうやら私はこのシーズンへの思い入れが強いらしい。フィギュアスケートを結構本格的に見始めたシーズンだからかな。

今回のFSは当時よりずっと難易度が上がっているけど、それでもまだ全然MAXの構成ではないの怖すぎる。これが「羽生結弦」ですよ。 


本人も言っていた通り、昨シーズンはずっとずっと戦っているのに、勝てなくて、苦しくて、でも、今回の全日本は、何か憑き物が落ちたように感じた。

きっと、今は今の、去年には去年の、5年前には5年前の苦しみがあって、それでも羽生結弦が「羽生結弦」として全日本という特別な場所でスケートをしてくれている、それが何よりも嬉しい。

平昌五輪以降、いつか終わりがくるということを意識せざるを得ないでいる。今も変わらない。でも、羽生結弦は変わらずに、いや、より強く、より美しくなって、そこにいてくれる。

夢みたいだよ。今から陳腐な表現を用います。夢なら、どうか醒めないで。


演技後のインタビュー、会見でのコメントも、あまりにも「羽生結弦」だった。色んなことを考えて、色んなことに配慮して、「羽生結弦」として生きる覚悟を背負った上で、どこまでもまっすぐな言葉を紡ぐ。

時々、羽生さんに「羽生結弦」を期待してしまう、そうやって羽生さんを苦しめているのは我々なのではないか、と思ってしまうことがある。

でも、私は、羽生さんが、羽生さん自身が、「まだまだ頑張ります」と言った、その決断を尊重したい。これからもずっと。


長い間勘違いしていたのだけれど、フィギュアスケートを見たからといって元気が出る訳ではない。むしろ精神を消耗する。全日本なんて特に。見た後は使い物にならなくなる。私だけか?

勝手に肩入れして、勝手に応援して、勝手に感情移入して、勝手に心動いて、勝手に感謝して。気持ちなんてわかるはずもないくせに。

そんなの全部現実逃避だ。いくら感銘を受けたからって、すぐさま目の前の現実を見つめ直すことなんてできない。私はね。

でも、この情動の蓄積は確実に根を張り、私の地盤を支えている。全ての行動の元となる価値観を作っている。

まあ、これはフィギュアスケートを見ること全般の話。

羽生結弦さんにはもっとわかりやすく単純に、直接的に人生を変えられている。ここには書けないけど。


Q.考えすぎでは?
A.よく言われます!!!!!!!


考えすぎだけど見てるときは全然何も考えていない。後からだらだら思い出して考えているだけ。

最近は「考えない」ことも大切にしたいなと思っているので、リアルタイムで見ていたときありのまま思ったことの殴り書きも貼っておきます。せっかくなので。

このせっかくというのは、一年後とかに見返して楽しむためという意味です。


無修正なので色々と間違っているかもしれない。すみません。

<RD>

1.平山姫里有さん/立野在さん
初見。きりあ様が強く美しくかっこよくてすばらしいです……。あるくんも動きが洗練されていて華があり、ふたりの存在感がよく釣り合っていると思う

2.深瀬理香子さん/張睿中オリバーさん
夢のようにドラマチックなララランド。気がつくとりかこさまの笑顔に釘付けになっているので気張って足元を見る必要がある。えいちゅうくんは背中がお美しいですね。

3.矢島榛乃さん/池田喜充さん
あっあっあっこのふたり組んでたの!?!?!?(情弱)男性が特に楽しそうに演じていたのが印象的でした。

4.小松原美里さん/小松原尊さん
最高!!!フィギュアスケートにおいて長身は必ずしも武器になるわけではないと思うんだけど、この二人は強力な武器にしている。フィーバー!!!

5.村元哉中さん/髙橋大輔さん
凄い…………。あらゆる意味でドキドキした。NHK杯からの進化がすごい。N杯のときは「ちゃんとアイスダンスカップルになってる!」と思ったし、それは十分に凄いことだったんだけど、そんなの大前提はとっくに飛び越えて二人の世界観を詰めてきた。前半の引き込みっぷりが最高でドキドキし、大輔さんのダンサーっぷりにドキドキし、パターンダンスにドキドキし、リフトにドキドキし、かなちゃんの頑張りにドキドキした。ツイズルはそんなにドキドキせずに見られたな。FDも楽しみすぎるけどどうか無理はせずできる範囲でがんばってほしい。この二人のパフォーマンスを見ることができるのいまだに信じられないくらい幸せすぎてな、泣きそうなんだよ……。

<男子FS>

1.國方勇樹さん
痛そうな転倒の後も冷静に音ハメ2A+1Eu+3Sを決めていた。王道な構成のロクサーヌ……と思いきや、ラストのステップはあえてメロディーではなくリズムに合わせた振り付けなのがおもしろい。

2.小林建斗さん
SP最終グループで滑るだけの実力を感じさせる完成度の高いプログラム、カーブの多様さ、ジャンプの音ハメ、スケールの大きいスケートがパイレーツオブカリビアンにぴったり。ラストイヤーだけどもっと見ていたいなって。

3.木科雄登さん
目の覚めるような3A+3T、そこから抜けが続いてしまったけど3Loは裏切らない。やっぱりステップが素晴らしい、ツイズル→何かしらのターン(見直さないとわからん!)→逆回転ツイズル→ニースライドのとことか!ChSqも好きです、雄登くんはクラシックとかタンゴとか伝統的な音楽?がよく似合う

4.大島光翔さん
ChSq始まったとたん水を得た魚のように踊りまくるの好き。ジュニアプロなのにChSqが凝っててえらい!キメキメな訳ではないけどプログラム通してきっちり音を取っていてすごい。

5.長谷川一輝さん
ゆったりとした腕の使い方が美しい。身のこなしもスケーティングもスムーズで、見ていてとっても心地のよいスケート。

6.小林諒真さん
緊張を感じた反面、ひとつひとつ大事に丁寧に滑っていたのを感じた。競技って難しいね……。

7.中村俊介さん
耽美でちょっぴり闇を感じる月光。これはですね、初めて見ましたが、ドストライクでございます。ゾクゾクする瞬間がいっぱいある。完成形が見てみたい。

8.森口澄士さん
すげえ衣装!!!ジャンプが高く安定感もあって技術力の高さを感じた。ChSqの入りスピードあっていいね~~と思ったらちょっとバランス崩しかけた~~けど耐えたのでおっけ~~

9.中野紘輔さん
4Tきれいに降りてガッツポーズ!続くジャンプも流れのなかで跳んでいた。これはいい演技と思ったら最後だけ惜しかった~~~難しいねほんと。SPに続いてフィギュアスケートで表現するのが難しそうな曲だった。

10.須本光希さん
須本くんのスケーティングすっっっごいな……。全然力入れてるように見えないのに、あっという間にトップスピードになる。一蹴りですぅーっと伸びていく。簡単にできることではないと思うので、大切にしてほしい(?)

11.本田ルーカス剛史さん
お疲れ様ですという気持ち。バランスがよくてものすごく器用な選手だな。イーグルの後の指先の振り付けにときめきました。今風に言うとキュンです。

12.三浦佳生さん
すっげええええええ!!!!!!超絶ファイター佳生くんとラストサムライ合いすぎている!!!!!!

ここでアルコールを投入。

13.本田太一さん
全てに意志を感じる演技だった。最後までこの特別な空間を味わい尽くすような。胸を打たれました。

14.日野龍樹さん
どこか影のある繊細な音楽と龍樹さんの持つ雰囲気が非常によく合っている。フィリップグラス×フィギュアスケートかなり好きかもしれないです。

15.櫛田一樹さん
力みなく軽やかかつしっかりカーブを使うスケート、イーグルからの音ハメ3Lo+1Eu+2Sよき

16.島田高志郎さん
凄すぎて震えが止まらない 島田高志郎さんの演技が大好きです 全世界に見てほしい

17.三宅星南さん
よくがんばった!!!!!!!!!!もう胸が熱くて熱すぎてさっきから奥歯がガタガタ言っている

18.友野一希さん
ChSqより前はちょっと友野くん比よいパフォーマンスではなかったかなという気がした、ジャンプがはまらなかったせいか緊張か、まあ普段のパフォーマンスが300%なので220%になった感じなのですが……。でもChSqは圧倒的だった。見るたびに凄くなっている。凄まじい気迫とスピード。お師匠に続くChSq満点ハンターになってくれ。

19.山本草太さん
山本草太さんは言わずと知れた意志爆強男なわけですが、ドラゴンはその強さが生きるプログラムだと思う。きょうは彼の日ではなかったがその強さは感じたよ。

20.佐藤駿さん
強い……強かった。綻びはあれど飲まれはしなかった。あと普通にスケートが上手いので毎回びっくりしてしまう。

21.田中刑事さん
すごくよかった!!!!!!!!!攻めの姿勢、なるほど、田中刑事さん加速度的に魅力的になっているし何十回でも言うけど手が好き指が好きいつのまにこんなステップ強者に???好き

22.宇野昌磨さん
よかった、本当によかった、最高に楽しそうな表情で、風が吹いて、夜の、冷たいけれど、包み込むような風が、今の昌磨さんに怖いものなんてない、本当によかった、見ることができて、この瞬間に立ち会うことができてよかったと思う演技

23.鍵山優真さん
ちょっと情緒の崩壊を納められないまま見てしまった。でもそれだけ安心して見れる。今日も強くて上手かった……(すみません、呆然としています)

24.羽生結弦さん







(※あまりの凄さに何一つ言葉が出てこず、文字を打つ余裕もありませんでした)

羽生さんのFSは時間をかけてじっくりと咀嚼する必要がある。SPについてはたくさん語りたいことがあるのでまた近いうちに。それでは。

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