3. 不妊治療ができず夫を責める

夫にフーナーテストを断られ、クリニックに怒られ、不妊治療を続けることができなくなりました。そしてだんだん夫を責めるように。

夫を責める

私も既に高齢出産の年齢だったが、夫はさらに年上。結婚前、真剣に子供について話し合ったことはなかったが、当然欲しいという気持ちは持っていたと思う。

フーナーテストさえも拒否ということは、子供なんていらない、と言っているに等しいではないかと夫を責めた。若ければ、自然にできちゃったね!もあり得るだろう。私は夫に、子供は諦めろと言われたんだ、と思いつめた。

その日から、だったらなんで結婚したんだろう、と繰り返し考えた。私も決して子供を産むために結婚したわけではなかったが、子供を作らないのであれば結婚した意味がないと飛躍した思いに苛まれていった。初めて離婚の二文字が脳裏にちらつくようになった。

夜、ベッドに入ると自然と涙が溢れてきた。夫に気づかれないように音を立てずに静かに泣いた。明け方まで眠れないことも多くなった。気づかれないように泣いておきながら、本当に全く気付かない夫に対し、責める気持ちが激しくなっていった。

なんとか前を向こうとするも失敗

もともと私は自分の気持ちをストレートに相手に伝えるのが苦手である。そうしなければならない場面では、例えば手紙を書いたりしてしのいできた。面と向かって言葉にしようとすると、感情的になり意図とは違うことを言ってしまったり、逆に何も言えなかったりした。

子供が欲しい件は、それまでの人生のどんな問題よりも感情が先に立った。他人の些細な一言を信じられないほど気に病んだ。相手に悪意はないと頭ではわかっていても、感情の波は抑えられなかった。

今回ばかりは、面と向かって話すのが苦手、などと言っている場合ではない。時間は容赦なく流れ、一瞬一瞬年を取っていく。心が乱れようが、傷つこうが、泣きじゃくろうが、今すぐに夫と話をしなければならない。焦りは一層私を追い詰めた。

夫に子供が欲しいから一緒に不妊治療をしてほしい、と冷静に伝え、説得しようと努力した。しかし、結局すぐに感情的になってしまった。

だったらもっと若い人と結婚すればよかったのに!

そう喧嘩腰で言い放ち、それ以上話もできないほど気まずい空気になってお互いこの手の会話を避けることも少なくなかった。

どちらかと言えば被害者は夫

少し時間が経った今思うのは、決して夫は私に子供を諦めろ、と言ったわけではなかった。不妊治療、しかもいきなり体外受精をしてまで子を持つべきか、しっかり考える時間が必要だったのかもしれない。夫婦で落ち着いて、そのことについて話し合いたかったのかもしれない。2人で生きていくのもいいじゃないかと考えてくれていたのかもしれない。ただその時の私は、見えない何かにコントロールされているかのようで、全くそのような考えに及ばなかった。普段の自分を完全に失ってしまっていた。

正直、結婚前は私もそこまで子供にこだわってはいなかったし、結婚したのも、親を安心させたい、親に花嫁姿を見せたいというのが1番の理由だった。きっと夫にとっては結婚後私が豹変したかのように映っていただろう。いや、実際豹変した。

この時の私は、まるで自分が被害者であるかのように思い、それを信じて疑わなかった。しかし、もしどちらかが被害者なのであれば、それは夫だったのかもしれない。

続く

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