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半狂乱で庭に穴を掘っていた所を保護された男Nの証言

 僕を早く開放してくれ。大事な友が冷たい腐った泥の下でずっと、僕に掘り返されるのを待っているんだ。迎えに行くんだ。約束したんだ。土砂降り?全身が泥と血まみれ?スコップが折れている?関係ない、急いでくれ、夢で見たんだ、この世界で覚えているのは僕だけなんだ。僕が忘れれば誰も彼を知らない世界が来る。ああ恐ろしい、僕の記憶がはっきりしているうちに放してくれ、放せ!ぁあ!君たちに邪魔されなければな、僕は歴史に残る大発見をしていたんだぞ! 
 きょとんとしてるな。教えてやる、この島に伝わる歌があるだろう。歌詞は喪失してしまったがな、あれはかつて島にいた「海賊」の歌だ。え、海賊なんていない?まだ信じてくれないのかい、僕がこれまで「発見」してきた遺物があっただろう! そうだ、1つ目を発掘したのは僕が少年の頃だ。歌を聴いたのも、友に会ったのもあの時だ、初めは子供の遊びだったのだ。

「ふしぎ発見団!総員3名!」
【続く】

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