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場面緘黙症の治療とは

【場面緘黙症】という言葉がメディアでも取り上げられるようになり、認知度が昔に比べて上がってきたなぁと感じます。

しかし「では具体的な治療って何?」と聞かれると、私自身即答できない状況でした。

結論から言うと、日本では場面緘黙症の治療は確立していないようです。

現在Instagramにて、場面緘黙症当事者の方やそのご家族の方と繋がらせていただいています。多くの方が悩んでおられる現状を鑑みても

【やはり治療法は確立していないし、そもそも場面緘黙症を専門とする機関が少ないんだな】と思わされます。


そこで、自分の勉強も兼ねて【場面緘黙症の治療】について学ぶことにしました。

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場面緘黙症の治療において重要な視点が三つあります。

それは【情緒の安定】【行動の変化】【人とのコミュニケーション欲求】です。

【情緒の安定】をはかるには、子どもの不安を軽減し自己評価が高まるように働きかける必要があります。
その働きかけの治療介入例として
・遊戯療法
・箱庭療法
・カウンセリング
・薬物療法
等があります。

しかし【情緒の安定】をはかるだけでは、固定化された緘黙行動を捨てることができない場合が多いのです。新しい体験をさせ、【行動の変化】を促す事が必要です。


【行動の変化】をはかるには、コミュニケーション体験を増やし、社会的場面での自信をつける必要があります。
その働きかけの例として
・行動療法的アプローチ(正の強化と脱感作法、刺激フェイディング法、シェイピング法、スモールステップを組む方法等)
・小グループ活動

等の治療介入があります。

また【情緒の安定】が図れたとしても、【人とのコミュニケーション欲求】がなければ、新しい体験をして緘黙という行動を変えていくことはできません。

情緒の安定=緘黙症状の改善 ではないのです。
【コミュニケーション欲求】を原動力に一歩踏み出して[何かしらの行動]を起こさねば、状況は一生変わらないですよね。

人への関心が薄く【人とのコミュニケーション欲求】が小さい子供の場合はまずそれを育てていく必要があります。

また緘黙が長く続いたためにその欲求が弱まっている場合は回復させねばなりません。

新しい体験がしにくい状態の時でも【人とのコミュニケーション欲求】が失われないように人とのつながりを保つことが大切です。


つまり、
遊戯療法、箱庭療法、カウンセリング等といった治療により不安を軽減し、自己評価を高め【情緒の安定】をはかる

人とのコミュニケーション欲求を育む、回復させる

行動療法的アプローチ、小グループ活動といった取り組み等を通じコミュニケーション体験を増やし、社会的場面での自信をつける

発話

といった流れが治療や取り組みの大筋になるようです。

ここまでの文章は以下の本を読み、特に重要だと感じた部分をほぼ引用させていただいてます。(つまり私の知識ではありません)

《参考、引用文献:場面緘黙Q&A かんもくネット著》

この流れを本で学んだ際、
『なるほど!これは皆さんに伝えなければ!凄く大切なことが言語化されている!』と興奮したのを覚えています。

そこから『では箱庭療法とは何だろう。遊戯療法とは?』と次々にクエスチョンが飛びました。

しかし、勘違いして欲しくないのですが
[上記の流れに沿わねば場面緘黙は治らないのか?]ということです。

結論から言うと、私はこの治療や取り組みを一切しておりませんが自力で克服できました。

しかし緘黙期間にかなり心的ダメージを負い、小学生時代は辛い思い出ばかりです。思い出したくもありません。

克服の過程でも傷つき、ズタボロになりました。自己肯定感は低いまま、二次障害に悩まされながら成長しました。

この治療・介入を早期に受けることができれば、私の様な子供を減らせるのではないかなと考えます。

私は一般的な人達がよく言う

「あー小学校の時は楽しかったなー!何も考えてなかったー!戻りたいなー!」

という言葉が羨ましかったのです。私はその時代が人生で1番辛かったし、二度と戻りたくない期間なので。

そう思う子供が1人でも減りますように。

症状や思考が固定化してしまう前に、理想としては小学校低学年時に何かしらの介入ができればいいのかなと考えます。


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以下メモです。(上記文献を読んでいる際に書き留めておきたいと思った箇所)

・スモールステップの取り組み
小さい子供に有効である。小学校中学年以上になると、取り組みを大人が提案しても、その提案に乗らない子供が多い。治療の主導権を持たせることが必要である。取り組みの目標は、「不安を軽減する」「自己評価を高める」「社会的交流の機会を増やし、社会的場面での自信をつける」であり、子供に話させる事が目標ではない。

・遊戯療法
言語表現が苦手な緘黙児にとって、遊戯療法や箱庭療法はとても有効な方法です。現実への適応を進め、行動を変化させていくためには、こころのエネルギーがあること、情緒の安定が必要です。トラウマ体験やつらい体験をしてきた子供は、まずは心理的回復が望まれる。人とコミュニケーションしたいという意欲を育むことが大切です。

小学校中学年になると、長い期間にわたって強化されてきた行動を変化させることが難しくなってきている。また取り組みを行うエネルギーが不足している場合もある。
遊戯療法や箱庭療法は心のエネルギーを作り出すことを助ける。

子どもは生活の中では表現することを許されないような感情を、プレイルームでは遊びを通して表出します。
プレイルームという安心できる枠の中で、遊びを通して攻撃的感情が表現され、セラピストに受け止められれば、子どもはそんな感情を生活の中で押さえ込む必要がなくなります。また自分の中で起きた感情を自分で取り扱い、現実でも許される表現ができるようになることは、、子供にとって大きな自信となります

ありがとうございます!