死のうと決めた男が海で入水自殺しようと向かって歩くけど途中で車に轢かれて死ぬ話
「__まぁ、長過ぎても読みづらいだろうし、この辺で終わっておくよ。君が帰ってこれを読んだら、あとは好きに過ごして欲しい。友人として、さよなら」
手紙を置いて僕は鞄を背負って家を出た
春の昼下がり、青い空は夢のようだった
遺した家族も居ないから一人丘の上から歩き出した
足取りはただひどく重かった
足音は鈍いくせに歩道じゃ車を待たせなかったのは、きっと、きっとそれが死にたい理由だ
何一つ上手くいかなかったこれまでを引き摺って歩いている
本当は置いて逝きたいのだが、どうにも離れない これはきっと後悔だろう
ならそいつも一緒に海に捨てよう 汚いがちっぽけだ 最期ぐらいは何かに優しくあろう
少し汗ばむ 夜にでも出ればよかったと思う
春の昼下がり、道は黒が隠されている
何かに許されたくて逃げている
とっくに追い付かれてしまうどころか
遠く見えなくなってしまった
一人の強さもない癖に「置いて行かないで」って声も出なかったのは、きっと、きっとそれも生きられないからだ
何だってよかった 何か一つ誇れるものが欲しかった
好きなことだけの人生とか、夢を叶えるとか、恋とか愛とか
まだ肩に乗った自分が泣いている 色の無いくせに不透明だ
引き摺るほど重くなった
歩いている 歩いている 歩いていた 目を閉じていた 目を開いた 遅かった 打ちつけられた
あぁ、何一つ上手くいかなかったこれまでが辺りに散らばって、醜くて仕方が無い
本当は後悔ばかりだった きっと海の目の前で立ち止まるだろうと思った これがきっと人生だろう
あぁ、何一つ上手くいかなかった!最期すらも報われなかった
もういい、全て捨てて 二度と産まれたくない
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