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羊皮紙工房コレクション特別展示会報告レポ

6/7(金)〜6/9(日)の3日間、東京・高田馬場で開催しました「羊皮紙工房コレクション特別展示会 in 芳林堂書店高田馬場店」無事終了しましたという報告レポートです。
過去2回もしれっと開催はしていたんですが、なんせ某流行り病で(悪い意味で)盛り上がっていた時期だったので、過去開催していたことをご存じない方が大半でした(そりゃそうよね)。できなかった展示と各種体験を半ばリベンジも兼ねた展示会になったことは確かです。

企画が具体的に進み始めたのは今年にすぐの時期でして、会場となった芳林堂書店高田馬場店のご担当者様とすり合わせを色々やっていました。前回までのご担当の方が異動で別書店に行ってしまったので、今回のご担当の方にはえらくご迷惑とご足労をおかけしました(スミマセン)。

今回の展示会の配布用フライヤー。半ば勝手に作りました(てへぺろ)

「羊皮紙工房コレクション」と銘打っているので、基本的には主役n羊皮紙工房さんの好きにするがよい(意訳)という感じでした。開催2ヶ月ぐらい前(4月頃)に展示一覧の概要資料が届いたんですが、

140ページ超えのPDFの資料データキタコレ(滝汗)

あくまでも候補ということで出して頂いたんですが、蓋を開ければ90%ぐらいの作品はそのまま展示されたんじゃないかと思います。

こちらは羊皮紙工房さん作成の展示会概要のWEB告知画像。さすが所有者だけあって分かりやすく書いて頂き大感謝でございました(てかチラシスキルあるやんと感服)。

今回の展示会で主軸に置いたのが「歴史の記録をご自身で体験する」というポイント。日本国内ではただでさえ中世ヨーロッパ関連の展示会が少なく、たまーに写本にまつわる展示会を行うものの、その貴重性もあってガラスケースの上から見るということしかできないのが実情でして(仕方ないんですけど)、どーしても関連書籍や論文などの書き物読み物資料に頼ってしまうもんなんですね。

羊皮紙の薄さや動物の種別の特徴、どのような媒体に向いているものなのかを知るには、実際に触って頂くのが一番てっとり早いですし、理解しやすいんです。「羊皮紙は貴重」という概念を、ここでは少し端っこに置いていて欲しいという願いもございました。
つらつら書いてもなんなので、以下お写真で展示会の様子をご覧頂ければ。


展示会の様子(最終日)。とにかくひっきりなしの賑わいぶりで、スタッフ陣3名(自分含む)はパンひとかじり程度で凌ぎました。とはいえ、お忙しい中足をお運び頂いただけでも大感謝です。
中世ヨーロッパの装飾写本に必要な顔料や染料の材料一覧。中世の世界がいかに鮮やかに描かれていたのかがお分かりいただければ。
羊皮紙は現在でもイスラム教では必須アイテムなので、こういった豪華な本にも使われています。厳しい仕様指示もあるのがポイントで、流石戒律に厳しいだけあります。
古代エリア。羊の腸(ガット弦)を使った亀の竪琴やパピルスなどを展示。羊皮紙工房さんは一時期古代ギリシアやローマにどハマりしてたことがあって、ノリで作った兜とかあるんですがお披露目できる機会があってよかったです(白目)。
中世ヨーロッパの楽譜「ネウマ譜」。とにかく大きなサイズものもあるんですが、これは大人数で1枚の楽譜を読みながら歌うというスタイルだからというのがあります。当時も貴重品でしたからね。
個人的に羊皮紙工房さんにご相談(とお願い)した「ろうそくの光で彩色写本を見る」体験コーナー。黒い箱の中にキャンドル型のLEDライトとまじっこ写本を置いて、どう見えるか?というもの。金の輝きが大変美しく、幻想的な感じに見えました。たくさんの方にご覧頂き個人的にも大満足(作らせておきながらいうのもアレですが)。
会場は「本屋さん」なので、ちゃんと関連書籍も物販エリアに置かせて頂きました。終わった頃には在庫が半分以下だったような(ご購入感謝)
体験コーナー「顕微鏡で写本を見る」。電子顕微鏡でめっちゃ拡大した写本の細かさを見て頂きました。職人の技としかいいようがなく。というよりこの機械一式ドコでゲットしたんでしょう?(いまさら)
「重たかったら最初は持ってこなかったけどせっかくなので」と、最終日に追加で持ってこられたゴシック写本(1600年代)。毎回そうなんですが、羊皮紙工房さんは開催期間中、ノリで追加持参することが多いんで、確実に全部ご覧になりたい方は最終日がおススメかと思います(見られなかった方ほんとスミマセン…)。


当展示会専属の貴族書店員さん(書店員は本物)。過去2回の展示会もご担当頂いたので、その豊富な知識と経験の多さから急遽出張でいらして頂きました。今後も展示会やるとしたら必要不可欠な存在です(って羊皮紙工房さんがゆーてた)。
記念撮影エリアで置かれていた小道具。といっても、これも中世ヨーロッパの彩色写本にまつわるレプリカなので、あまり他のところでは見られないものかと思います。「貴婦人と一角獣」のタペストリーは個人的にも大好きです。重いですけど。
展示期間中のうち、2日間は開場前の時間を使って羊皮紙工房さん解説によるギャラリートークを開催しました。いずれも満席で、ご参加頂いた方のお顔が終始キラキラしていたのをよく覚えています。

そんなこんなで3日間の開催でしたが、大きな破損やトラブルもなく、無事に終わることができました。ご来場者数は前回(コロナ禍開催)時の4倍以上の方にお越し頂き、本当に企画運営してよかったと実感しております。大半がSNSをご覧になってお越しいただいたようなので、そのあたりの効果も大きかったのかなと思います。

この展示会で最大のポイントは「展示作品の大半を直接触って頂けること」。彩色写本も、あえてむき出しにした状態で展示し、実際の紙の硬さや彩色部分の細かさを直接見て頂きました。
大方のご来場者の方は驚いて(ビビッて)たんですが、そりゃそうですよねー、と。ただ、よーくよく考えてみれば、数百年前の人々が実際に生活をするにあたってふつーに扱っていたものでもあったので、当時の生活感の跡も合わせて見て頂きたかったという狙いもあります。

「ちょっと水の跡があったり、破れがあったり、補修跡があったり。完璧な美しさではないかもしれませんが、当時の人々の触れた形跡をぜひ見て頂きたかったんです」。
羊皮紙工房さんの一番の思いでもあります。


で、「今後の開催について」めっちゃくちゃ聞かれましたので、こちらでまとめてご説明させて頂きます。

まず、今回のような規模が大きめの展示会は来年以降もできれば開催したい希望はあります。会場をご提供頂いた芳林堂書店さんのご都合や貸主の羊皮紙工房さんの気力体力次第なんですが(ホント)、これだけ反響が高かったので、また企画はしていきたいと思います。芳林堂書店さん側のご意見としては「年1回ペースでぜひ!」とのことでしたので、とりあえず会場問題はクリアできそうです(笑)。

開催地は今後も「関東圏内(東京都内)」の設定になる可能性が極めて高いです。他地方での開催を希望されるご意見も一部頂いているんですが、バンバン触れられるのは羊皮紙工房さんご自身が立ち会っている場合に限ります。
たまに別の博物館や美術館などに作品をお貸しすることはあるんですが、「お触り不可+ガラスケース必須」の条件を出しています(破損されると困るから)。

また、お触り自由とはいえ、はたから見ると貴重品に変わりはないので、運搬などの諸問題も発生してしまいます。宅配便で送れないものばかりですので…。

あと「オンラインで会場の様子をライブ配信してほしい」というご意見も頂いたんですが、そもそもこの展示会は「直接五感で体験して頂くことを主体としている」ので、ぜひ直接お越し頂いて触ったり見て頂いたりして欲しいという羊皮紙工房さんご自身の思いがございますので、スミマセン。

日本では奥深く興味がある方は多い一方で、なかなか見られる機会が少ない羊皮紙の世界。またそう遠くないうちに開催できればこれ幸甚でございます。

以上、ここまでご一読頂き誠にありがとうございました(^-^)。


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