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オシドリ親子のその後と注目の水鳥

5月半ば頃の記事で、家のテラスから見える小川にオシドリが現れ、雛が誕生したお話をしました。

雛はその後、あっという間に大きくなり、今ではおチビちゃんとは呼べないくらいまで成長しました。相変わらずチョロチョロとまだ慣れない動きはしておりますが、遠くから見れば、あまりママオシドリと変わらないくらいの大きさなのです。

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2階の窓から鳥たちを発見すると、テラスに降りてパンを投げます。すると、鳥たちは待っていました、とばかりにパクッとパンに食らい付きます。パンをあげているのは我が家だけではなく、川沿いの別の家からもパンが飛んできます。水鳥たちにとって、この辺りは暮らしやすいだろうな、と勝手に思っております。

さて、先月オシドリが小さな雛を連れて現れた頃、一生懸命巣作りを始めた水鳥がいました。黒い体に赤いくちばし、そして黄色い足。鳩くらいの大きさで、マガモやオシドリと比べると一回り小ぶりです。そう、この鳥を私は勝手に「くあちゃん」と呼び、昨年からずっと注目しているのです。

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「くあちゃん」の本当の名前は、「バン」と言います。クイナの仲間で、池沼、河川、湿地などに生息しており、日本にもいるそうです。昨年6月の終わり頃、愛猫を失って悲しい思いをしていた私は、窓から川を見ていると、うちの目の前の川辺で、黒い水鳥が行ったり来たりしている姿を目撃しました。初めは、ただ泳いで散歩しているのかな、くらいに思っていたのですが、よく見てみると、何やら小さな枝や草を加えて向こう岸まで泳いでいき、奥でその枝や草を受け取っているもう1羽の鳥がいるようだったのです。可愛いな、なんだろう、とただ思っていましたが、夫が一言、「巣の中で卵を温めているんじゃない?」と。そうだったのです、それから少しして、雛の姿が見えたのです。初めて雛の姿を確認したときは、それはもう、とても嬉しくて、感動して、顔がほころんでしまいました。目の前で水鳥の生命が誕生したのですから。

少し経った頃、雛たちが川に降りている姿を発見しました。慌ててテラスに出てみました。ママくあちゃんと一緒に3羽のチビくあちゃんが泳いでいました。そして、相変わらず、パパくあちゃんは泳いで行っては戻ってきて、せっせと餌を運んでチビくあちゃんに食べさせていたのです。バンは、オスとメスの色が同じなので、実際どちらがママでどちらがパパなのかは定かではないのですが。

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それから毎日毎日私はくあちゃんファミリーを観察しておりました。今回のオシドリの雛のように、くあちゃんの雛もやはりすぐに大きくなりました。3羽とも元気に育っていったのです。夏の間は5羽のくあちゃんファミリーの姿が見られました。しかし、それから季節は移り変わり、冬になると、姿を見掛ける日も少なくなっていきました。大きくなって、もうどこかへ行ってしまったのかな、と寂しく思っていると、またひょっこり1羽、2羽と姿を見せてくれていたのです。

そして、先月また2羽のくあちゃんが巣作りを始めたところでした。このくあちゃんは、昨年のチビくあちゃんなのか、あるいは全く違うくあちゃんなのか、さすがに見分けはつきません。

しかし、2羽のくあちゃんが巣作りを始めたすぐ後から、ロンドンは雨が続き、川の水も増水してしまいました。くあちゃんの巣は大丈夫だろうか、もう卵は産んでいたのだろうか、卵は無事だろうか、と心配な日々。6月に入ってまたようやく暖かくなって晴れの日が続くと、再びくあちゃん、巣を作り始めたようです。よかった、無事だった。きっとまだ卵は産んでいないのだと思います。

週末、千葉県で巨大鳥が捕獲されたというニュースを見ました。大きさこそ違うけれど、黒い体毛に目の周りが赤、くあちゃんを思い起こさせました。ペットショップから1年半前に逃げ出した、南アフリカに生息する絶滅危惧種の鳥ということで、大変驚きました。

私がこうやって毎日のように水鳥を観察していても、私が飼っているわけではありません。水鳥たちは自然の中で生きているのです。そんな水鳥たちが、何を思って、何を求めて生活しているのか、私たちが知ることはできません。雨で川の水が増水しても、ただ見守ることしかできません。でも、それが自然で生きる動物なのだな、と思っています。

実は、前回オシドリの雛をご紹介した際、3羽いたのですが、ある時から1羽しか姿が見えなくなりました。他の2羽はどうしたのでしょうか。いち早く巣立って、立派に生きている、と思いたいですが、きっと違うのですよね。それが、自然界なのですよね。

ところで、なぜ私が「くあちゃん」と命名したかお分かりですか? ろにかいくちばし、ということで、くあちゃんなのです。はい、私名前つけるの得意ではありません…

今年もくあちゃんの新しい家族が誕生してくれることを、今は心から願うばかりです。


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