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コロナの時代の映画

ムヴィオラはワン・ビン監督やアピチャッポン監督の作品を配給したり、コンゴを舞台にした劇映画をやったり、小さなドキュメンタリーをやったりしている。周囲から「イバラの道が好きなんですか」と言われるほどで、だから難局にはかなり耐性があると思っている。
それであってもなお、今この「コロナの時代」はかつてない難局だ。
「これは戦争よ。映画は変わる」。戦争経験者の映画評論家の方はそうおっしゃった。

世の中には今「緊急事態宣言解除」の話題があふれているが、映画館が再開しても「密」をつくれるようになるのはいつなのか、第二波・第三波が来たらまた映画館は休館するのか、自粛自粛で疲れた心は映画を求めるのか、課題はやまもり。
コロナの時代の映画とは?コロナの時代の映画配給とは?

一気に新作をも配信公開する配給会社もいるが、元々が「実物大より大きく見えるスクリーンで見たい」という映画館好きなので、配信一直線には舵が切れない。
まだ答えが出ない。

けれど、まずはこの難局を生き延びるため、ムヴィオラは「仮設の映画館」「Help!The映画配給会社プロジェクト」のふたつの試みをはじめた。
新作映画をこの時期だけの仮設のオンライン映画館で公開して収益を本物の映画館と半々で分配する「仮設の映画館」。自社配給の過去のよりすぐり映画の「配給会社別見放題配信パック」を行う「Help!The映画配給会社プロジェクト」。

ミニシアター・エイド(Mini-Theater AID)基金がクラウドファンディングによって、3万人に近い人が支援を得て、3億を超える金額を集めたことは、明るい希望。きっとそれだけの人は、ミニシアター映画を残したいと思ってくれているということだろうから。

配給会社は黒子。クラウドファンディングよりも、まずは私たちの唯一の財産である映画を見てもらうことで、自分の足で立って乗り越えたい。
みなさん、ぜひ、映画を見て、応援してください。

ガルシア=マルケスの「コレラの時代の愛」で、主人公のフロレンティーノは51年9ヶ月と4日も、初恋のフェルミーナを待ち続けた。「コロナの時代の映画」はそんなには待てない。