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力を抜いて楽しむ映画「ザ・ロストシティ」

公  開:2022年
監  督: アーロン・ニー、アダム・ニー
上映時間:121分
ジャンル:ロマンティックコメディ/アドベンチャー

有名実力俳優にも関わらず、仕事を選ばないでB級映画にもでてくれる俳優というのは、本当に凄いな、と思います。

映画「ザ・ロストシティ」がB級かどうかは別として、本作品が、気軽に見れる作品であることは間違いありません。

難しいことは考えなくてもかまいません。

映画「インディアナ・ジョーンズ」のような冒険映画が好きだったり、適度なロマンスや、コメディ感が欲しいという人であれば、2時間すっきり楽しめる

そんな作品があることもまた、映画の楽しみだといえるでしょう。

しかも、それが、デコレーション山盛りであれば、もう、言うことなしです。

映画「ザ・ロストシティ」は、とにかく俳優が豪華です。

アカデミー賞女優であるサンドラ・ブロックをはじめ、ハリー・ポッターシリーズでお馴染みダニエル・ラドクリフや、ブラット・ピットまででてくるあたりで、この映画はただものじゃない、と感じること間違いなしです。

物語も勿論大事ですが、俳優に力があればあるほど、物語の説得力は否が応でもあがってしまうものです。

物語としては、自分としては不満ながら、売り上げがあるロマンス小説を書いて生活している小説家が、自分の作品の表紙として抜擢されたことで人気を得た俳優と、事件に巻き込まれながら愛情を深めていく、ロマンティックコメディとなっています。

冒頭で、インディ・ジョーンズが好きな人は、ということを書きましたが、本作品は、そんな冒険映画のパロディ的なカットから始まり、ロマンティックコメディとして一貫して面白く作られています。

感動とか、人生訓とか、大冒険とか、そういうものを求めると肩透かしを食らうかもしれませんが、とにかく、笑って楽しい作品です。

前半の掴みは、ブラット・ピットの大活躍。

とにかくカッコよくて強くて、惚れてまやろー、と思った瞬間がたまりません。

そのあとは、情けなくて面白い。

本作品は、面倒なことを考えないように調整されているところもポイントです。

それが顕著に表れているのは、主人公たちが、身を守る為にバイクの人間に襲われながらも反撃するシーンです。

とある作戦が成功して敵を撃退するのですが、風が強かったものね、事故だよね、となんか勝ったはずなのに大喜びにはなりません

90年代の戦闘バリバリの映画とかでしたら、血しぶきをだしまくりながら敵を倒して、ガッツポーズみたいなものが平然とあったはずですが、本作品は、そんな時代の感覚とずれたことはしません。

しょうがないけれど、まぁ、大丈夫かな、と。

本当は、明らかにダメなのですが、気を遣っているのです。

何が言いたいかというと、いくら敵だからといって相手は人間です。

家族もいれば友人もいる。そんな血の通っている人間を、敵だから、自衛だからといって、安易に殺してしまうことは、現代社会において避けなければならないわけです。

特に主人公たちは、ロマンス作家と俳優という設定なので、そんな二人が人の命を奪うなんていうことはあってはならないことですし、日常に戻ってこそ彼らの人生は輝くはずなのに、そこに大きな影をつくってしまうことになりかねません。

彼らがきちんと日常に戻り、よかったね、となるためには、彼らが罪を背負うようなことをするわけにはいかないのです。
たとえ、正当防衛だとしても。

敵は敵で、「これ以上はやめましょうよ」と悪役であるダニエル・ラドクリフ演じる男に言います。

勝利したけれど、沢山、敵をあの世に送っています、というのでは、ロマンティックコメディのラストとしては、ちょっと許されないでしょう。

そういう点でも「ザ・ロストシティ」は、変な気遣いをすることなく、その意外性に驚いたり、どこかの作品でも似たようなものがありそうなエピソードや状況をコメディとして楽しむことができるようになっています。

すごくありがちなエピソードがかなり緩く薄められているように感じるかもしれませんが、カルピスを原液で飲むより、薄めたほうが飲みやすい、という現実を踏まえると、肩の抜けた本作品の面白さにも気づいてもらえるのではないでしょうか。

なんだこれは、という肩の抜けた面白さを是非体感してもらいたいところです。

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