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誰かに人生を賭けられますか。映画「AIR/エア」。
公 開:2023年
監 督:ベン・アフレック
上映時間:112分
ジャンル:ドラマ
見どころ:ぐだぐだのプレゼン
![](https://assets.st-note.com/img/1685454991834-ei2QAI1yf9.png?width=1200)
交渉術というのは、社会人のみずならず、あらゆる場面で有効です。
時に駆け引きをしながら勝利条件を見つけ出し、ルールの外でやり取りをする盤外戦術なんかも駆使しながら、物事を有利に進めたりすることも必要でしょう。
映画「AIR/エア」は、「バスケットボールの神様」と呼ばれるマイケル・ジョーダンが主人公ではなく、マイケル・ジョーダンの実力を信じ、当時業界3位であったナイキの、バスケットボール部門が無くなるか存続するかを決める、伸るか反るかの大勝負が描かれています。
時代は、1984年。
当時は、アディダス、コンバースが絶大な力を誇っており、バスケットシューズことバッシュにしても、ナイキは存在感を発揮できずにいた時代です。
ですが、我々が知っているナイキのバスケットシューズ「エア・ジョーダン」。
日本においても人気が出過ぎるあまり、盗難にあったり傷害事件が起きたりと、よくも悪くも一世を風靡したものとなっています。
映画「AIR/エア」が描くのは、そんな騒動が起きる前の話になります。
マッド・デイモン演じる主人公のソニー。
彼が所属するナイキは、バスケットシューズにおいては、他社に後れをとっており、バスケ部門の撤退も視野に入っていました。
有望な選手と契約を結んで靴のブランド力を強化したいところですが、他社にまったく歯が立たない状況です。
そんな中、ソニーは自らの仕事人生をかけて、一人の男を見つけます。
当時、注目はされていたものの、バスケットの神様と呼ばれる人物になるとは、誰一人思っていなかった人物です。
そう、マイケルの母親と、主人公を除いては。
本作の見どころは何と言っても、観客の誰もがマイケル・ジョーダンを知っているのに、作中の中では、知る人ぞ知る状態ということです。
ですが、NBA にデビューする前の彼に対して、人生を賭けられるか、といわれるとなかなかそうもいかないでしょう。
ナイキという会社が大きくなる為の重要な人物であるにも関わらず、主人公のソニーはうまくことを進めることができません。
ただ、自分のつかうことのできるあらゆる手段を駆使して、マイケル・ジョーダンと契約しようと奔走するところが素晴らしいです。
映画「エア」は、決して派手な映画ではありません。
ですが、人間同士のやり取りが丁寧に描かれています。
娘と日曜にしか会えない男が毎回渡すのは、ナイキの靴であり、少なくとも父親は自分の会社の靴が娘との絆だと考えています。
また、会社が上場する前の頃の思いと、上場したことで色々なことに気を遣わなくてはいけなくなったCEO。
息子の為に最良の選択をしてあげようとする母親。
本作品は、マッド・デイモン演じる主人公の話ではあるものの、最終的には、一人の選手の母親が、その後のスポーツ選手たちの人生にも影響をあたえることになる大きな交渉が、一番熱い場面となります。
主人公たちがマイケル・ジョーダンに対してするプレゼンテーションは、正直、スタイリッシュとは程遠いものであり、華麗に契約を勝ち取る話とかでは全然ありません。
泥臭くて人間味があって、でも、誰かの為に頑張ろうとする大人たちを描き、それに応える人々を描いた良作となっています。
ちなみに、本作品は、俳優としても知られるベン・アフレックと、本作にも主演したマッド・デイモンの二人が立ち上げた制作会社アーティスト・エクイティの、第一作目の作品となっています。
そういった意味でも、ナイキがマイケル・ジョーダンという天才を見つけ出し、リスクを背負って業界を変えていく様を描いた「AIR/エア」を第一作に持ってきたのは、アーティスト・エクイティにとっても、大きな意味を持つのだと思います。
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