見出し画像

前日談でも同じ役者。映画「エスター ファーストキル」

公  開:2023年
監  督:ウィリアム・ブレント・ベル
上映時間:99分
ジャンル:ホラー/スリラー
見どころ:大人の女性になろうとする瞬間


どこか寂しげな殺人鬼メ~

殺人鬼の前日談ものといえば、「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士の「レッド・ドラゴン」が有名でしょうか。

映画「エスター」は、家族として迎え入れた孤児が、何かがおかしい、という点からじわじわとサイコな面が判明していくホラー作品となっていました。

問題行動を起こす少女は果たして、悪魔のような存在なのか何なのか。

2009年の公開された作品ですが、どんでん返しの内容と共にかなり面白く見ることのできる作品となっています。

「エスター ファーストキル」は、そんな作品の前日談にあたりますが、子供が殺人鬼という設定において、問題が一つあります。

それは、役者も年齢を重ねてしまうということです。

9歳の孤児が問題行動を起こす作品の、前日談となった場合に、一作目公開から10年近く経過している時点で、役者がその状況に合わないはずなのです。

役者は変わらず

役者は重要です。ハンニバルシリーズにおいて、ハンニバル・レクター博士がアンソニー・ホプキンズではなかったら、また別の印象になってしまっていたことでしょう。

それと同じで、子役が大人になってしまうところではありますが、2009年に公開されたときと同じ女優であるイザベル・ファーマンが主演というところが、なかなかに憎いところです。

CG的な工夫もあるそうですが、クランクインしたときには23歳というイザベル・ファーマンが、10歳の子供を演じる凄さも含めて、見どころのある作品ではあります。

ジャンルは変わる

前作「エスター」が、サイコスリラー全開でしたが、今回の主人公は、エスターこと、リーナになる為、同じジャンルではあるものの、ちょっと趣がかわってきます。

エストニアにある精神病を抜け出し、その後の彼女の方向性を決める、別人になって人生をやり直すという方法で、現状を打開しようとします。

殺人鬼に感情移入できるのか、という点もあって、もやもやする人もいるかもしれませんが、ここまできたら、どうやって家族にばれないで主人公が基盤をつくりだそうとするのか、というところのほうが気になってくるから不思議です。

物事の良し悪しは別として、行方不明になった子供のふりをうまくできるのか、というところにハラハラしてしまいます。

前作の補完

前日談ということもありますが、エスターという人物が、どのようにして、一作目のキャラクターになっていったのか、もともとどういう性質をもっていたのかということを補完するような、エピソードも入っています。

寄生した先の、ご主人に恋をしてしまうというところも前作通りですし、ブラックライトをつかって浮き上がる絵が、ここで学んだ、ということもわかる内容となっていまして、前作ファンも十分に楽しめるところです。

前作を超える面白さか、といわれると、前作とは方向性が異なる作品になっている、という点で一概にはいえないところです。

我々の生きている現実においても、行方不明者というのはものすごい数いるはずです。

本作を見ていると、数年間行方不明になっていた家族が戻ってくるわけですが、いくら子供の頃に行方不明になったとはいえ、さすがに、違和感を感じなさすぎじゃないだろうかと思ったりします。

違和感を感じてしまった人は、是非、メーメーの別記事である

「search/サーチ」であるとか、超有名作品である「母なる証明」なんかをみていただいて、人間という存在の罪深さを知るのもいいかもしれません。

決して完璧な存在になりきっていない、エスターという存在の儚さも含めて描かれる「エスター ファーストキル」。

物語の後半は、ホラーというよりは、アクションものになって、「ザ・メニュー」の後半のアニャ・テイラー=ジョイ状態の戦いっぷりになっていきます。

前作を見たことのある人は、さくっと見てみるといいかもしれません。

以上、前日談でも同じ役者。映画「エスター ファーストキル」、でした!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?