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『どこへ出しても恥かしい人』~生まれた頃から途方に暮れている。~

『どこへ出しても恥かしい人』を出町座で観ました。とても独特なドキュメンタリー映画でした…!!

この映画は友川カズキというアーティストの姿を捉えるドキュメンタリー映画です。歌手、詩人、画家、等のアーティスト活動はあの『戦場のメリークリスマス』の大島渚さんをも魅了していたそうです。自分は友川カズキさんをこの映画を知るまでご存じなかったのですが、その歌の雰囲気には三上寛を想像しました。

酒、タバコ、競輪、絵画、歌。恐らく彼にとって、何気ない生活を記録していっている映画なのですが、スクリーン中に友川カズキさんのエネルギーが四六時中たたきつけられています。彼という人間がものすごく面白い。スターリンというバンドの写真集を取りに行って、棚ぶっ倒して全部落としちゃったと平然と言うシーンとか、めちゃくちゃ笑いました。

彼を追う上で一番多いのは恐らく、アーティストの活動としてより、むしろ競輪。映画を観る前に見た公式サイト(https://hazukasiihito.shimafilms.com/)のあらすじの最後に、"そして、冒頭から競輪の予想を外し続ける友川は果たして劇中で万車券を手にすることができるのか。"と書かれていて、「え、この映画そこが気になるやつなの!?」とかなり笑いましたが、なるほどという感じです。競輪の叫び方がものすごくリアルというか、競馬にドハマリしている人のYoutubeチャンネルを登録してるんですが、叫び方が全く一緒で。この声がまためっちゃかっこいいんですね…太くて芯が通ってて…そしてその声で歌う歌にマジでしびれます…!

この映画自体、よくあるドキュメンタリー映画的な、作家が持ったメッセージを反映した作品としての着地点などが安易に存在しなく、この構造のなさは、まるきり友川カズキさんの生活そのもののように感じました。
めちゃくちゃにだべりまくる友川カズキさん、正直彼が言ってることが全然分からない!まるでずっと酩酊状態で、と思えば「酔わなければ生きられない。」といった発言がクッと刺さります。
如何にも世間が言うロクデモナイ人生に見えながら、息子も一緒に競輪をめっちゃ楽しんでいるのも印象的。彼ら家族の幸せ、生き方、とても響くもの、考えるものがありました。

(コードー)

(参考)

https://hazukasiihito.shimafilms.com/

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