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『AKIRA』を鑑賞した。

こんにちは。チア部京都支部の白木です。初登場です、笑。

さて、みなさん以下のアニメーションはご存知でしょうか?

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 様々なアニメでオマージュとして使われているため、同じようなものをみたことある!という方も多いと思います。
 そう、今回私が紹介する『AKIRA』という作品は様々な漫画・アニメ・映画に影響を与えた作品であります。原作は漫画であり、作者は大友克洋氏です。原作者・大友克洋氏自らが監督・脚本をつとめた、今回紹介するこの映画が公開されたのは今から32年前の1988年です。私たちにとっては少し昔の作品だと感じられるかもしれませんが、現代の日本に重なる部分もあり、色あせることのない名作です。

大友克洋作品との出会い

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 私は父の影響で『AKIRA』という作品を知りました。父は原作の漫画を全巻そろえるほど、この作品のファンで、映画も何度もみたと、よく私に言っていました。なぜか今は3巻しか家にないのですが…(借りパクされたみたいです。笑)
 そんなに父が好きというこの映画を1度見てみようと思い、家にあったDVDで鑑賞しました。初めてみたときに「なんだこの世界観…絵もきれいですごく面白いじゃないか…!!!」と感じ、原作も読んでみたくなったので部活の後輩に3巻以外を借りて、読みました。笑

舞台は2019年の東京都

バイク

 1988年7月、東京に爆弾が投下され第3次世界大戦が勃発。そしてそれから31年…新たに構築された東京、その名も「ネオ東京」が作品の舞台となっています。
 毎日のように反政府勢力が暴動を起こし、人々の欲望の掃きだめとなった東京を正すべく、国家軍隊の敷島大佐をはじめとしたアーミーが研究開発している軍事機密・「絶対のエネルギー」=アキラ、なのです。
 健康優良不良少年、金田が率いるバイク集団はある晩、ヒトとは別の生物のような見た目をした、一人の少年と遭遇します。同じバイク集団に所属する鉄雄はその少年との間に起きた事故がきっかけで、エネルギーが覚醒し、アーミーに実験体として連れ去られるが…といったストーリーになっています。
 

サイエンス(ノン)フィクション…???

 先ほども述べたように、公開された当時ではまだ未来であった2019年の東京都が舞台となっています。

オリンピック

 作中にはこんなシーンが出てきます。第3次世界大戦から復興をとげ、かつての東京が取り戻されつつある2020年にオリンピックが開催されようとしていたのです。建設途中のスタジアムに掲げられているこの看板、よくみると「中止だ中止」の文字…。現実世界でも2020年に東京オリンピックの開催が予定されていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により延期になりました。
 なんだか作品のフィクションの部分が、現実世界とリンクしており、オリンピックの延期が決まったときは、胸がザワザワしました。

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 科学の力によって生み出された、アキラ…。アーミーに連れ去られた鉄雄もまた国家の実験体として利用され、強大なエネルギーを持ち、人間の手では制御ができなくなるという結論に至ります。科学は人々の生活を確実に豊かにし、進化させていくものでありますが、使い方を間違えると取り返しのつかないことになるのです。この作品でも退廃してしまった東京を元通りにしたいという人間のエゴが、都市崩壊へと導いてしまったのですね…。
 強大なエネルギーを手に入れた鉄雄が、傲慢な態度をとっても、金田の「鉄雄を助ける」という姿勢は変わらないという部分が印象的でした。最後に鉄雄が助けを求めるのも、長い時間を共にした友達の金田であったことに私は切なさを感じました。

背景と音

 ストーリーも今までにない斬新なものなのですが、それに加えて背景と音もこの映画の魅力と私は感じています。
 東京都を実際に訪れてみて私が思ったのは、京都にはない高いビルがたくさん立ち並んでいることでした。(田舎者ですね、笑)。冒頭のシーンでは私が感じたような東京の街並みが現れ、ネオンがキラキラと光る、栄えた街であることを印象付けられました。架空都市ネオ東京がどんなものなのかを想像しやすくしているのが、この線密な背景画であると私は思いました。都市がだんだんと崩壊していくシーンであったり、鉄雄の中で覚醒したエネルギーが制御不能になっていくシーンの描きこみ様は本当に美しいと思いました。
 もう一つ特徴的なのは音であると思います。近未来的なサウンドと聞くと、テクノサウンドを思い浮かべるのですが、この作品で使われているのは、竹の生音や人声なのです。近未来的な内容の作品に不思議とマッチする、音楽…良いです。
 またこの作品ではプレスコという手法が用いられています。プレスコとはセリフを絵コンテをもとに先行して収録し、この音声に合わせてアニメーションを描くという制作手法です。現在期間限定配信されている動画、発売記念特番『AKIRA SOUND MAKING 2019』でこの手法のことを知り、再鑑賞したのですが、今までに知らなかったプレスコという手法が使われているのだ…と少し新鮮な気分でみることができました。

2020年4月24日に4Kリマスターver.が発売されます。↑上記リンクで、発売記念特番『AKIRA SOUND MAKING 2019』もみることができます!
(4Kリマスターの『AKIRA』が現在東宝系劇場のIMAXで公開中でみに行きたかったのですが…お家で我慢しています。泣。)

おまけ

大友克洋氏には『AKIRA』以外にも多くの作品が存在します。新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が多い、私みたいな人がたくさんいると思うので、他のおすすめ作品を紹介したいと思います。

・『老人Z』(1991)
 日本の高齢化社会を題材にしたSFアニメーション映画。看護学校に通う晴子は、ボランティアでおじいちゃんを介護しています。全自動AI介護ロボ「Z-001号機」の実験台となってしまったおじいちゃんを、晴子たちが助けるというストーリーです。
 この作品では科学の力を過信した人間の過ちが、コメディタッチで描かれていました。約30年前の映画ですが、現代の日本が直面している高齢化社会、老人の介護に焦点が当てられており、大友克洋氏の先見性に感服しました。

・『童夢』
 団地で起こる連続不審殺人事件…。超能力を持った少女と、同じく超能力を持った老人が団地でエスパーバトルを繰り広げるといった漫画です。
 団地という平凡な空間を舞台に、エスパーという超現象が発生するという部分に、とても魅かれました。繰り広げられるエスパーバトルシーンは、超線密に団地などが描かれており、「凄まじい」と思いました。


ご精読ありがとうございました。
私はひそかに大友克洋氏は未来人ではないか…なんて思ったりしてます。笑






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