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それは胸糞か、それとも狂気か。『ハングマンズ・ノット』

この記事をご覧の皆さん。
新型肺炎の影響で、自宅での時間が増えている方が多くいらっしゃるのではと思います。
世間はコロナコロナばっかりで、正直疲れちゃいますね。
しかも家に籠ってても、やることって大抵同じですし、マンネリ化もしてくるのではと思います。

そこで!

僕から、マンネリ化を脱却できる(かも)とっておきの映画をご紹介いたします。
名前言ってませんでしたね。チア部京都支部りっとです。


作品について

今回紹介するのは、阪元裕吾監督の『ハングマンズ・ノット』です。
2017年制作の、バイオレンス映画です。
あらすじとしては、Filmarks曰く、
「サイコパスVSヤンキー!抗争勃発!コミュ障大学生、柴田さん。暴力を発散し続けるクレイジーヤンキー、影山兄弟。出会ってはいけない2組が出会ってしまった時、無関係な人間を巻き込んだ殺し合い抗争劇が始まる。」
となっているのですが、この文以上の破壊力を本編は持っています。
映画本編には、レイプシーンや出血等過激な表現が含まれておりますので、鑑賞の際は注意してくださいね。
さて、お勧めしといてあれなんですが、所謂ミニシアターで上映されるような、見る人を選ぶ映画かもしれません。
ただ、この映画を見たあと、「普通」ってなんだ!?って思うはずです。
しかもこの映画を撮ったのが当時学生の頃みたいなんですよね。
いい意味で頭ぶっ飛んでるとしか言いようがないですね・・・

感想

そもそもこの映画知ったきっかけが、学校の先生でして、お勧めされてNetflixにあるならと、スマホにDLして通学中にで電車に揺られながら見始めた訳です。
冒頭は、某有名動画サイトの生配信の画面を、受け手側が見ている視点で始まります。
典型的なカップル生主で、コメントはお察しの通りのコメントが流れてくるよくありがちな展開。
そこにインターホンの音が鳴り、暴漢侵入!
女性は暴漢の餌食となり、男性は理不尽な理由から襲われるというのを、定点カメラで描いていきます。
誰しも見たことのある風景から、レイプと暴力という非日常というのを、一気に羅列していく。
ここだけで十分ファーストインパクト完璧!なのですが、少し前の文章を読んでいただきたいのです。

・・・そう、通学中電車に揺られながら見ていた僕は焦りました。

僕の頭の中は、「今誰かにスマホを覗かれると、社会的に死ぬ!マジで嫌悪の目線で見られる!」
幸い、見ていた当時は通勤ピークからやや外れた時間のため、バレることはありませんでしたが(多分)、もし自宅で見ようと思った方がいらっしゃれば、お子様とか奥様とか、そういった方々にバレない様に鑑賞されることをお勧めします。
この先にもレイプシーンはでてきますし、はっきり言って報われるキャラクターなんて一人もいません。

恐らく、だからこの映画は胸糞だと言われるのだと思いますが、僕としてはここでキャラクター自身にのめり込まず、客観的に見てほしいのです。
よく見ると、各キャラクターの個性が強すぎて、普通の概念が全くないんですよね。
というのも、先ほどまでの暴漢側が、あらすじ部分のヤンキーサイド。
もう片側のコミュ障大学生がチョーヤバいのです。
外見からあふれ出る不気味さ、所々に感じる違和感はやがて、後半の展開を一気に加速させていきます。
個人的にこのコミュ障大学生の最後のカットが最高に狂っててインパクトに残るはず。

そして、この映画を見終わってから、よく考えたらコミュ障大学生みたいな奴ってそこらへんにうじゃうじゃいるんですよね。
これはある人気アーティストがラジオで言っていた言葉ですが、
「変態って、自分変態ですって顔して歩いてない。普通に溶け込んで生活してる。」
そう、コミュ障大学生はきっとどこかに存在していて、このハングマンズ・ノット自体も、きっとどこかで起きている。
それは本編中のワンカットで描くレイプシーンや、見たことある風景、何より非日常が日常に溶け込んでいる。
そこがキーになっているのではないかと思います。

マンネリ化した日々を打ち壊すのは、こういった非日常な映画だと思います。
スッキリするかは人それぞれですが、見て損はないB級バイオレンス映画です。
カナザワ映画祭2017、期待の新人監督でグランプリを受賞した本作是非ご覧くださいな。

Netflixにて配信中です。

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