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イケてないJKだった私に刺さる青春邦画『アルプススタンドのはしの方』

映画好きのみなさん、いかがお過ごしでしょうか!
私はといえば、自粛期間中に行けなかった反動でしょっちゅう映画館に足を運んでいます。シネコンで昔の名作いっぱいやってるので本当に楽しいです。破産しそうです。一方ミニシアターでは、毎週新作が封切られており、以前の活気が戻りつつあるように思います。今日は、ウチらのミニシアター・元町映画館のラインナップからどうしても見て欲しい1本をご紹介します!

タイトルは『アルプススタンドのはしのほう』⚾️
「あ〜みんな言ってるやつだ〜も〜知ってるよ〜」って思った方、すみません。
この映画、本当に素敵なのでみんな話したくなるんです。私もなんです。
ここでは、私が「すごい!!」と思ったポイントを3つに分けてご紹介したいと思います。よかったら読んでください!

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<まずはあらすじ>
高校野球の応援に来ているがルールも知らない2人の演劇部員・安田と田宮。そこに遅れてやってきた元野球部・藤野。そしてぽつんと一人、帰宅部の成績優秀女子・宮下。安田と田宮は、訳あってお互い妙に気を遣っている。宮下は、吹奏楽部部長に成績で学年一位の座を明け渡してしまったばかりだ。時折やって来てはひたすら応援で声を出せという英語教師の厚木先生に3人が辟易としている。やがて、それぞれの想いを抱えたまま、格上チーム相手で戦況不利な野球の試合が終盤に1点を争うスリリングな展開へと突入してゆくが…。(「FIlmarks」より)


すごいポイント① 監督がエロVシネの名手。

本作を監督した城定秀夫さんは、ピンク映画の大ベテラン監督です。
ピンク映画に親しみのない人には聞き慣れないお名前かもしれませんが、その世界ではかなり有名で、どれくらい有名かというと今泉力哉監督の新作『街の上で』に「城定秀夫の城定です」って自己紹介するセリフがあるくらいです。すご!!?
ピンク映画はエロが大事なのでストーリーに重きを置かないのが常なのですが、城定監督の作品は、凝ったストーリー、魅力溢れるキャラクター、ウィットに富んだ演出が特徴的で、成人男性以外にも客層を広げています。
何を隠そう、私(女子大生)も城定監督の作品でピンク映画沼に落ちた一人なのです。なので、本作も「ええ〜城定監督の青春モノ?」と懐疑的に観てみました。普段の城定作品とのギャップに動揺しましたが、もう、最高でした。

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すごいポイント② 原作が高校演劇の傑作。

高校生の青春映画、といえば漫画原作のキラキラ映画ですよね。恋模様や友情を輝かしく描いた作品も素敵ですが、私は高校時代、普通にガリ勉だったのでキラキラ成分控えめの作品に親近感が湧きます。
この映画は高校演劇が原作で、作者は県立高校(しかも東播磨高校!近い!)の国語教師です。彼らを最も近いところから見ている人だからこそ描けた、等身大の高校生と自然な輝き。キラキラ青春モノに苦手意識がある人でも、そういう人は特に!楽しめる作品なんです。(原作があまりにも素晴らしいので今までで一番謙虚に作った、と城定監督がおっしゃってたのが印象的です笑)
この演劇は非常に高く評価され、全国大会で最優秀賞を受賞し、昨年プロによるリメイク版の舞台も行われました。映画でも、登場人物が少なかったり場面切り替えがあまりなかったりと、舞台原作の特徴を随所から感じることができます。

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すごいポイント③ 大人のための応援劇。

この作品のキーワードは「しょうがない」。
恋・友情・部活・勉強…頑張ること盛りだくさんな高校生活のなかで、どれか一つを頑張る人もいれば、全部頑張る人もいる。そこから逃げてしまう人も。頑張ってもどうにもならないことだってあります。そこで使える魔法の言葉「しょうがない」。登場人物たちは、「しょうがない」で問題をやり過ごそうとしますが、アルプススタンドのはしの方で、高校野球を見ているうちに、少しずつ心が動き始めます。
いろんな理不尽や才能の限界を知って、諦めることを学んだ大人の皆さんにこそ刺さるものがあるはずです。

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長々と書き連ねてきましたが、すごいポイントは他にもたくさんあります。
Filmarksでも満足度1位を獲得した箔付きの作品、ぜひご自身の目で見てみてください…!!

元町映画館
〜7/31 17:20
8/1~8/7 13:00
☆学割(500円)対象!

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