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イタリアな男性

映画「ラスト・パラディーゾ」

人生でもう少し励んでおけばよかったと思うことのひとつに、語学の習得があります。生まれつきは見えすぎるくらいよかった視力がどんどん落ちて、一昨年の検診では0.7、昨年の検診では0.5、今年は0.2に。映画の字幕を追うのが日に日にしんどくなってきています。セリフを聞き取りできれば、字幕に頼らず、映画が見られるのになあ。電車やレストランで、ひたすらスマホ画面に食い入る若者に出くわすと、「その視力、将来のために残しておいたほうがいいよ」と伝えたくなります。
そんなわけで、昔は名画座でロッセリーニやフェリーニを見まくったイタリア映画を字幕を読む苦手から敬遠ししがちなのですが、この「ラスト・パラディーゾ」は、「ぐらっぱ亭の遊々素敵」というブログで推挙されているのを読んで、見ることにしました。

チッチョを演じるスカルマッチョさん

第二次世界大戦後まだ間もない、イタリア南部の小さな村。チッチョ・パラディーゾという中年男は妻子がいる身ですが、村で複数の女に節操なくちょっかいを出してきたようで、奥さんはチッチョに飽きれぎみです。今は地主のお嬢さんと密通しています。
チッチョと地主はお嬢さんのことだけでなく、賃金の労働協議においても対立しています。
お嬢さんに会いたくて、地主の家に夜這いし、納屋に連れ出すのですが、お嬢さんが自室に帰ったあとも納屋で寝込んでしまうチッチョ。労働協議で労働者として意見を激しく闘わせるいっぽう、こういうちょっと抜けているギャップが女心をくすぐるのでしょうか。
チッチョには村を出て都会に暮らす兄アントニオがいて、お嬢さんに「兄を頼って、一緒に村を出よう」と持ち掛けますが、そううまくはいきません。
チッチョとアントニオの2役をリッカルド・スカマルチョが演じていて、当作ではプロデュースと脚本も兼ねています。日本でいうと、小栗旬みたいな感じでしょうか。いや、小栗旬は脚本は書かないですかね。
このスカルマッチョさんは、とてもイタリアな伊達男の感じがする方で、ついでにといってはなんですが、「プレイヤー 浮気男のラプソディ」も鑑賞しました。こちらはチッチョよりさらにチャラ系の浮気者ですが、それでもどうしてだか憎めないキャラクターでした。そのあたりがイタリアの粋でいなせなのでしょうか。ちなみに、若い頃も、ものすごく素敵です。

「モニカ・ベルッチの恋愛マニュアル」(2007)の頃

イタリアには旅行でも出張でも行ったことがないので、イタリア語は初歩的な日常会話さえ皆目わかりません。もちろん、本場のイタリアンを食べたこともありません。でも、これから縁があればいいなと思っています。見出し画像は近所の洋食屋さんのナポリタンです。ナポリタンって、きっとイタリアにはないですよね……。

ラスト・パラディーゾ L'ultimo paradiso
2021年製作/イタリア/107分
Rocco Ricciardulli監督
Netflix