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リニューアル&リバイバル公開、いったん中止

 約束を守る、ということは、社会人としてとてもたいせつなことです。でも、社会人としては意外と約束を守ることよりも軽視されたりするんですが、誰かを守る、ということも、とてもとてもたいせつなことだと思っています。誰かを助ける、ということは、命懸け。おおげさでもなんでもなくて。運命の神様は残酷で、誰かを助けようとすると、「かわりに貴様の命を差し出せ」と言ってきたりする。これは、真剣に誰かを助けようとしたことがある人なら、同じような経験をされている筈です。それでも、助けを必要としている誰かの消えかかっている命も、自身の命も、ともに守らなくてはならない。とても難しいことです。
 
 いま、我ら『追い風ヨーソロ!』パートナーシップのメンバーのひとりが、そんな困難な状況にいます。絶えず向かい風にさらされ、そこに横風も加わり、それはいつしか嵐に変わり、そこに吞み込まれそうになりながらも、ほかの誰かを助けるために、そして自らも斃れないように、全力で両足を地面に突き立てているところです。ちなみに、安田町で子猫を拾った奴もいましたけど、その子猫は無事、元気に育っています。室戸市で猫の保護活動をされている方の力添えもあり、小さな命は助かりました。
 
 去年の公開に立ち会ってくださった皆さんには解説は不要ですが、映画『追い風ヨーソロ!』は、大心劇場で公開すること、そこに出演者も実際に存在することによって、もっとも力を発揮できる環境が整う映画です。逆にいえば、軽やかにインターネットで世界中に配信される映画とは対照的に、世界でもっとも機動力の低い映画かもしれません。ナマの舞台のように、その場に役者がいなければならないわけですから。
 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、来る6月22日からリニューアル&リバイバル版として大心劇場に凱旋する予定でしたが、これを敢行してしまうと、その仲間の命が消えかねない。空のペットボトルが入ったコンビニ袋みたいな小さな負荷でも、両手と両足、それにそれぞれの指1本ずつに荷物をぶら下げている人にとっては、そんな小さな負荷でもあっても致命傷の遠因になってしまう可能性があって。これも、同じような経験をされた方には、大いに共感してもらえる筈です。
 
 たいへん申し訳ありません。約束を破ります。6月22日から30日まで予定されていた『追い風ヨーソロ!』リニューアル&リバイバル上映、延期です。といっても延期の予定も決まっていないので、その意味では中止です。人生の機微にかかわることなので、ぼやっとした事情しか言えないことも、お詫びしなければなりません。我々も無念です。でも、誰かの命を運命の神様に差し出すことはできませんでした。ただならぬ嵐の中、次の追い風まで、いったん帆を下ろします。
 前述したように、この先の予定は、まだ決まっていません。でも、これで終わるつもりもありません。我らパートナーシップ全員が元気な顔をそろえられる日が来たら、あらためて皆さまを大心劇場でお迎えしたいと思っています。

新たに作ったチラシ。会場でお会いしたかった

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『追い風ヨーソロ!』

【出演者】
大野仁志 我妻美緒 山川竜也 八洲承子 愛海鏡馬 豆電球

【会場】
大心劇場
〒781-6427 高知県安芸郡安田町内京坊992-1
http://wwwc.pikara.ne.jp/mamedenkyu/

【あらすじ】
1889年、安田村。唐浜では通りすがったお遍路の男に看取られながら、ひとりの女が息を引きとった。そして安田川のほとりでは安田村を離れていた兄弟が偶然の再会を果たしていた。その前に父の仇だと刀をかまえる女が現れた……。

時は流れて現在、安田町。かつての安田村にいた面々と同じ顔をした者たちが集ってくる。他人の空似か、あるいは前世か。交錯する過去との因縁。時を超えて、彼らを包むように風が吹く。

全編高知・安田ロケ、上映は大心劇場による地産地消映画がここに誕生!

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