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キサラギ

総合:★★★★☆
 ┝構成 :★★★★★
 ┝演出 :★★★★★
 ┝映像 :★★★☆☆
 ┝音楽 :★★★☆☆
 └独創性:★★★★☆


ー基本情報ー
監督:佐藤祐市
出演者:小栗旬・ユースケ・サンタマリア
    小出恵介・塚地武雅・香川照之
製作年:2007年

★おすすめポイント★
①高レベルな密室会話劇
②少ない登場人物だから感じとれる無駄のなさ
③日本芸能界の豪華メンツ

▼あらすじ

売れないグラビアアイドル如月ミキが自殺して1年、彼女のファンサイトの常連である5人の男が追悼会に集まる。家元(小栗旬)、オダ・ユージ(ユースケ・サンタマリア)、スネーク(小出恵介)ら5人は、思い出話で大いに盛り上がるはずだったが、「彼女は殺された」という言葉を引き金に、事態は思わぬ展開を見せ始め……。
(Yahoo!映画より)

▼構成

ファンだけの追悼会。グッズを見せ合って楽しい場になるはずだったが、オダ・ユージの発言で状況は一変。楽しい雰囲気がなくなり、ハラハラする謎解きに展開に発展。そして一人ずつの正体が明らかになる。

▼演出

本作では基本的に登場人物は劇中の部屋から移動せず、すべて会話と少しの回想シーンだけで成り立っているようなものだ。そして回想シーンがあると言ってもチープな感じがする。ただキャラのストップモーションだけだ。製作費はそこまでかけてないだろうと思わせるが、会話劇に力を注いでいる。楽しいオフ会から徐々にシリアス場面に展開していくのはワクワクさせてくれる。キャラの正体がどんどん明かされていく瞬間は見所だ。とくに一番感銘受けたのは、前半はほとんど退出していた塚地武雅が入ってくるタイミングだ。彼がいない間、ユースケ・サンタマリアが香川照之に問い詰めて、そこに小出恵介が追い打ちかけて、そして小栗旬がなだめようとするなど、結構忙しい状況が続いていた。ひと段落ついた瞬間に塚地武雅から衝撃のカミングアウト。決して観客を飽きさせない演出に感動を覚えた。

▼キャラ

主演の小栗旬は熱狂的な如月ミキのファンだが、ほかの4人は如月ミキとは親しい関係。それぞれのキャラが確立されて見応えたっぷり。彼ら以外の登場人物はほぼいないので類いまれな没入感を味わえる。しかも演じている人は普段から映画やドラマで大活躍している演者でなおさらだ。

▼その他

本作の脚本家は古沢良太。彼は「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズ、「探偵はBARにいる」シリーズ、そして「コンフィデンスマンJP」シリーズの脚本を手掛けている。所謂、超売れっ子な脚本家だ。ドラマでは「相棒」シリーズ、「リーガル・ハイ」シリーズという名作に携わっていて、日本の映画、ドラマ界には決して欠かせない存在。決して退屈にはさせないだろう。
素晴らしい会話劇で没入感を味わえた本作だが、エンドロールはそこまで好きになれない。アイドル文化のある日本だからああいったエンディングなのかと残念に思った部分だ。

▼この作品が好きな人へのおすすめ作品

・ヘイトフル・エイト(原題:The Hateful Eight)(2015)
・エグザム(原題:Exam)(2010)
・9人の翻訳家 囚われたベストセラー (原題:Les traducteurs)(2019)

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