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◯旧作篇 『独立愚連隊』

(監督:岡本喜八 / 1959年 )
@ラピュタ阿佐ヶ谷「東宝戦争ウエスタン 愚連隊大作戦」


ひさしぶりで喜八映画です。
『鉄男』の塚本晋也さんが次のように語っていた記憶があります。

「『野火』で戦争をモチーフに映画を作ったが、
戦争を体験していない自分が作る戦争映画は『重たく』なる。
対して、戦争体験者である岡本喜八の戦争映画は、何故だか『明るい』。
想像するだに、本当の戦争を知っている者は、
どこかで戦争を明るく茶化していかないと、とても描けないのではないか」(大意)

…確か、川崎市市民ミュージアムでの『肉弾』上映+トークショーの時だったと思いますが、本作も御多分に漏れず。

佐藤允演じる「ブン屋」の、
どこか異様なものを感じさせる飄々とした明るさ。

そして「クズども」を寄せ集めた愚連隊の面々。

戦争があっても、その根っこの方で人々は息づいている。
こうでもなきゃやってらんねえよと、
どこか物悲しい明るさが、逆に切ないと言いますか。

リアルな戦争を体験した世代ならではの表現なのかもしれません。

また別に印象的なのは、
三船敏郎演じる気の狂ってしまった軍人の姿。
井伏鱒二の『遥拝隊長』を彷彿とさせます。

しかし、本当に「狂って」いるのは誰か。
状況を利用し、人々を踏みにじり、搾取するのは誰か。

遠い昔の話じゃありません。

中国人の描写は、ザ・この時代の娯楽映画です。
「アルヨ」とまではいかずとも、非常にステレオタイプ。
ゴジラシリーズでもお馴染みの沢村いき雄演じる酒売りの爺さんがいい味出してます。


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