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感覚統合と身体運動

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感覚・認知と姿勢・運動について そもそも感覚とは何なのか?運動とどう関連しているのか?進化の過程や比較解剖学から本質を考えます。
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※試聴版です。オリジナル版(08:17)はメンバーシップに加入すると視聴できます。

マイクロサッケード、周辺視は生物がサバイバルするための機能。生物の進化から考える視覚機能のお話。

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※試聴版です。オリジナル版(10:27)はメンバーシップに加入すると視聴できます。

報酬系回路と交感神経の活動。自律神経の活動は間違って理解されている事が多い。

アスリートのための感覚統合トレーニング

感覚とはなんだろう?

スポーツのあらゆるシーンで「感覚」と言う言葉が使われている。

「あの選手は感覚でプレーしている」とか、「感覚的に優れている」等はよく耳にする事があるし、「あの選手は勘が良い」や、「当て勘」等の言葉も実際は「勘」ではなく「感」という意味合いで使っているのではないかと思う。

 トレーナーやストレングスコーチも、「感覚の部分は分からない」とか、「選手の感覚には踏み込めない」等

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感覚と姿勢

意識されない感覚・姿勢

例えば机の上に置いてある本を手に取る時に、姿勢の調節や本を掴む手の形、肩の屈曲や外転、こうした運動のほとんどは自動的・無意識的に発生する。ウェイトトレーニングのように筋の収縮や弛緩を意図的に自覚する運動もあるが、それは負荷がかかっている個別筋に対する限定的なものである。

アームカールをする時に上腕二頭筋に意識を向ける事は容易だが、倒れないように身体を支えている脊柱起立筋

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感覚受容と身体イメージ

感覚は身体イメージを形成する

先述してきたように感覚が身体運動を決定する重要な因子である事は明らかであるが、これらは単に個別の感覚として処理されている訳ではなく、統合され自己の身体形態を認識する基盤として働き、その自己の身体形態の認識が適切な身体運動を形成する。

この「自己の身体形態の認識」をボディイメージと呼ぶ。この言葉自体は身体図式、身体表象、ボディシェーマ等様々な呼称で表される。本書では

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視覚と身体イメージ

視覚と身体イメージ

視空間認知障害が発生すると、視力が障害されていないにもかかわらず、顔や物品の認識や物品を見つける能力の障害と簡単な道具の操作や着衣の能力の障害が見られるようになる。前者は視覚で受容される対象への認知機能の低下が関わるが、後者では空間における自己の姿勢や位置などへの認知障害が関係する。

 空間の知覚では、まず一次視覚野にて運動方向や速度といった低次の、進化生物学的には原始的な

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感覚器としての筋に目を向ける

筋を鍛えるのと同じように感覚を鍛える必要がある

スポーツ動作の多くが、筋の緊張/弛緩のコントロールの上に成り立っている。にも関わらず、トレーニングのほとんど全てが「筋の緊張」を学習するものになっている。

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感覚は脳を書き換える力を持つ

脳内のマッピングを変える事に意味がある

 身体運動の変容には「ボディイメージの適切化」が必須である事はご理解いただけただろう。

「運動変容」という現象の背景には単に習慣が変わるといった表面的な事ではなく、脳内のマップが変容する事こそがその本質であると言える。

例えば、第3指を切断後62日後に体性感覚野は変化する事が知られている。具体的には3指の領域は第2,4指の領域に侵食される。体表から消え

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発達と感覚統合

言語の獲得と感覚

2歳になる頃には「語彙爆発」という現象が見られ、飛躍的に会話に使用される語彙が増える。語彙の増加は他者への働きかけをより豊富にさせ、「私」と他者という関係性をさらに鮮明化させる。

 身体活動や言語発達などにより形成されていく「私」という認識は、それまで完全に親の保護の下にいた子供達が、自分は親とは独立した存在であると気付くきっかけとなる。今までは完全に親の庇護のもと受動的に生

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