POLICE in 2117 3-13
3-13、新素材の正体
ボックスに乗り込んですぐ、ラボから連絡が入った。
「フォン、梶原」
「はい。どうしました?」
「ラボから連絡が入った。おまえも付き合え」
地下2階のラボへと赴く。
「クロードさん。新素材の概要がわかりました」
「そうか。なんだったんだ?」
「これがなかなかの優れものなんですよ」
検査官が新素材を束にしたものを見せた。
「これですけど、何色に見えます?」
「黒だな」
梶原も頷いた。
「でも本当の色は透明なんです。これは光の吸収性が非常に高いんです」
「それで黒く見えるってわけか」
「そうなんです。驚異的な吸収性能です」
「つまりレーザー銃が当たっても大丈夫ってことなんだな。それでレプノイドに着させてた」
「レプノイドはレーザーには弱いですからね」
「人間も最強だと失神してしまいますけどこれなら大丈夫ってことですよね」
「それがですね、この素材は脆いんですよ。単体では切れやすいですし、人間の体温に長くあてておくと変質してしまうんです。ですからレプノイドの体温を下げて着用させたんだと思います」
「35℃程度で変質してしまうのか?」
「はい。そのあたりがリミットです。もう少し耐久温度を上げられれば有効性は計り知れません」
「この素材についての論文は出てないのか?」
「はい。調べましたがありませんでした」
「そうか、ありがとう。かなり貴重な情報だよ」
「はい」
検査官が嬉しそうだ。
「カジ、どう思う?」
「はい。この新素材を開発した人物は主犯か、もしくは主犯に近い人物だと推測します」
「どうしてそう思う?」
「この新素材は簡単に開発できるものではないと思います。そしてこれは犯人グループのレプノイドのほとんどが着用しています。そのような指示ができるというのはグループ内でそれなりの地位のある人物ということになります」
「いい線だ。おまえとポリスははっきり言って一つの部署を任されてもいいくらいだと思うよ」
「ありがとうございます。嬉しいです」
「これは意外と早く犯人にたどり着くかもしれんぞ。もう一度病院に行く」
「はい」
チェントリーノホスピタルのフロントで女性医師を呼んでもらった。そして警察官であることを示して言った。
「こちらの病院で検査機器の導入を担当している方は?」
「どちらの機器かによります」
「フラッシュなんだけど」
そこへ吉野医師が現れた。
「先生、何度もすみません。あのフラッシュの機械の導入はどなたが?」
「それは理事長じゃないかしら」
「それから理事会の承認が必要です」フロントの女性が言った。
「あのフラッシュの仕入先が知りたいんですよ。誰に聞いたらわかります?」
「それは経理が手っ取り早いわね」
「そうですね。先生、話を通していただけませんか」
「いいわよ。ちょっと待ってて」
女性医師がどこかとフォンで話している。
「わかったわ。付いてきて」
エレベータで地下1階に下りてそこから廊下を奥に進み右に曲がると経理課が見えてきた。
「ここ、私はちょうどこの上で仕事してるのよ」吉野医師は人差し指を立ててそう言うと経理課の方に振り向いて言った。
「吉野だけどあやちゃん呼んで」
「はい。あやーお客さんだよ」
奥から若いかわいい女性がやってきた。「あや」って付く名前の子はかわいい子が多いんだ、と考えた自分を笑えた。
「あやちゃん、こちらは警察の方。フラッシュの機械をどこから買ったか教えてあげて」
「フラッシュですね、あれは理事長決済でここでは担当してないんです。個人的な繋がりでいち早く導入されたんですよ」
「それなら理事長に会わなきゃならない。今日はいらっしゃるかな?」
「さあ、私にはそれはわかりかねます」
「だよね」
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