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高村京子 長野県議の辞職について


 長野県議の高村京子氏が24日、公務の移動中に横断歩道を渡っていた人をはねる人身事故を起こし、事故処理中に免許証を警察官に提示した際、免許が失効してと指摘されるという事態が発生。 高村氏と日本共産党長野県議団は25日に記者会見し謝罪。 その時に表明したとおり、26日付で辞職しました。

 事故は誰しも起こしうるコトであり、事故処理も適切に行なっていたようなのでそれについては書きません。 記者会見⇒辞職の速やかな処理も適切だったと思います。 今はとにかく骨折の重傷を負った方の回復を祈るばかりです。
 と、いうワケでココでは、高村氏の略歴と今回の件が及ぼす影響について考えてみたいな、と。


◆高村 京子(たかむら きょうこ)氏

(2023年 長野県議選のポスター)

 HPによると、1954年千曲市生まれ。 長野赤十字高等看護学院卒業後、看護師として県内外の病院に勤務。 1999年の県議選に立候補するも敗れ、2002年に「上田市・小県郡選挙区」で行われた県議補選に共産党公認で立候補し初当選。 以降連続当選で7期目に入ったトコロでした。

 それにしても何故「免許失効」という失態を犯してしまったのか。 免許更新はハガキが来るので気づく、ハズですが見落とすコトも有り得る話で(勿論、ダメな話ですが)、そうなれば自身が免許証を見て自覚しなければなりません。 ただ、そこに期限把握を難しくさせてる “罠” が有ると私は感じています。 高村氏を庇う意図ではないというコトを大前提で、以下を読んでいただけると。


◆「元号表記」というトラップ(仮説)

 運転免許証の有効期限は2019年(令和元年)5月5日「西暦併記」へと改正されるまでは「元号表記」のみでした。

愛知県警察HP より引用)

 翻って高村氏の免許失効が昨年3月、つまり2023年(令和5年)。 もし高村氏の運転免許が「有効期限5年」だと仮定した場合、最後に更新したのが2019年(令和元年)3月となり、その頃は免許証の有効期限表記が「元号」のみです。 元号が令和に変わったのが2019年の5月ですから、高村氏が免許を更新したのは「平成31年」の3月。 故に高村氏の免許証には、

「平成35年3月まで有効」

 と書かれていたため期限の把握が難しかったのではないかと推測できます。
 ただし、何度も書きますが、それを以て高村氏を擁護するつもりは一切なく、ポスト見てハガキ見つければ気づいただろ? って話でしかないのですが、あくまで “可能性” として書かせていただきました。

 そして次に疑問だと感じているのは、企業社員管理の在り方。 今回だと「企業」は日本共産党県議団であり、「社員」が高村氏に当てはまります。


◆日本共産党県議団のガバナンスを問う

 コチラに書かれている通り、一定の車両を有する企業は「安全運転管理者」を選任し、運転者の管理が義務付けられています。 勿論、党の団体(会派)は企業ではないので「安全運転管理者」を選ぶする必要は有りませんが、今回の事故が「視察のための移動中」という「公務」内で起きた事故であり、車両を用いた移動を認めているのならば運転免許証任意保険証毎年提出させるコトは必須ではないでしょうか。
 これらの管理は民間企業は当然ながら、公務員もやっているコトでしょうし、それをしていれば免許証の失効を10か月にも渡って見過ごす事態は起こさなかったハズです。 政治家に過度なガバナンスを求めるつもりは有りませんが、企業がやっているレベルの管理は最低限行うべきでしょう。

 では次に、高村氏辞職が党や県政に及ぼす影響を考えてみます。


◆「6人」と「5人」の違い

長野県議会HP より引用)

 記事を書くにあたり長野県議会の議員名簿を見たら「副団長」だった高村氏の名前が早速消えていました。 当然ながら、仕事が早い。

 昨年4月の県議選にて共産党は改選前の5議席から6議席に増やしました。 県議会における会派結成要件は「5議席以上」のため高村氏が辞職しても会派は維持できます。 1議席増やしたコトが悪いカタチで活きてしまいましたが、実は会派こそ維持できるものの、代表質問をする権利と委員会の構成を決める会議に参加できる権利を得る要件が「6議席以上」とのコトで、共産党県議団は今回の件で、せっかく得た代表質問の権利を1年足らずで失ってしまいました。 6議席という条件が厳しすぎるとは感じますが、いずれにせよ共産党県議団にとって、そして県政にとって大きな損失です。

 長野県知事、阿部守一氏は現在4期目。 民主党系の支援を受けて初当選したのですが2選以降は自民系も相乗りしてきた結果、現在の長野県議会は「オール与党化」に近い状態で、その中で唯一の反対勢力である共産党県議団の存在は大きな意義が有り、やっとこさ代表質問できる段階まで来たのに失ってしまうとは・・・
 なお、補選は「上田市・小県郡選挙区」で2人以上欠員が発生しない限りは次回の知事選、つまり2026年8月までそのままだそうです。 何故そういうコトになるのかよく分かりませんが、知事選と同時なら欠員期間が今後2年半続き、補選後わずか8か月で県議選の本選が行われるというコトになり、有権者の投票による意思を蔑ろにしていると思わずにはいられません。

 そして、その「補選」ですが、行われる理由が理由なので共産党の議席回復は難しいでしょうし、「選挙」という観点からしても高村氏の辞職は共産党にとって痛すぎる事態なのです。


◆高村氏は共産党最強の候補者

 高村氏が属する「上田市・小県郡選挙区」は、いわゆる “羽田王国” の総本山「千曲会」の事務所が有る選挙区です。 そんな選挙区で行われた2002年の補選で初当選した高村氏は、翌2003年の本選(定数3)で2位当選。 以降、定数が「4」に増えた2007年は1位、公明党が候補を立て始めた2011年は4位、2015年は無投票で、あの千曲会が推す候補が落選した2019年でも2位当選。

 2023年も公明候補に次ぐ安定の2位当選で議席を守り続けてきました。
 他の共産党県議を見ると、

 「長野市・上水内郡選挙区」(定数11)選出の和田明子氏が8位、山口典久氏が11位で当選。

 「松本市・東筑摩郡選挙区」(定数7)選出の両角友成氏が5位

  「佐久市・北佐久郡選挙区」(定数4)選出の藤岡義英氏が4位で、代表の毛利栄子氏(岡谷市・下諏訪町選挙区 定数2)が無投票当選となっています。
 こうやって並べてみると、確実に議席を獲れそうなのは高村氏がいた「上田市・小県郡選挙区」だけのように見えます。 「長野市・上水内郡選挙区」は2人当選していますが2人とも順位は下の方で、共産党票が減る中で2人出馬にこだわると2人とも落選する危険性が有ります。 それは実際に他の地方選挙でも起きているコトです。
 「佐久市・北佐久郡選挙区」の藤岡氏は自民2人目の候補と大接戦の末つかんだ4位ですし、長野県議を輩出していない「日本維新の会」が今後勢力を伸ばしてきた際は、昨年4月で維新候補が惜しくも次点となった「松本市・東筑摩郡選挙区」は勿論、定数2と少ない毛利代表の「岡谷市・下諏訪町選挙区」でも危なくなる恐れが有ります。 よって、定数が「4」と多く、あの千曲会が支援する候補が敗れた際も議席を守った高村氏が、共産党県議団の中で最強の候補だったのです。 その議席を失うというのは大きすぎる・・・ 次回の本選(2026年)で議席を回復するのは、よほどの頑張りが無いと難しそうですし、次の候補を探すとなると現在上田市議会に4人の共産議員がいて、その中に40代の方がいますが直近の選挙では20位(定数30)と決して強い候補では有りません。 さぁ、ただでさえ全国各地で退潮傾向が続く日本共産党が今後長野県内で巻き返せるのか、注目していきます。


 それにしても、やはり交通事故というものは怖いですね。 今回の高村氏が「免許失効」という事故以前の問題だとはいえ、やはり全てを失いかねません。 お互い、安全運転(と免許の期限確認)を心がけていきましょうね。 明日は我が身、です。



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