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【レポート #33】長野県・長野市長選挙レポート(2021 10.31)


 県都・長野市のトップを決める市長選。 2期8年務めた現職が引退し新人同士の争いとなりましたが、抜群の知名度を誇る金メダリストと前回のリベンジを誓う候補による事実上の一騎打ちとなりました。 県下最大の都市の舵取りを一体誰が担うのか。 当選の見込みが薄いながらも自らの訴えを伝えるために立候補した3名も合わせて、レポートします。


◆概要

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(長野市役所)

・面積:834.81km²(長野県 第2位) 長野県の北信地方に位置する市で、 須坂市、中野市、千曲市、上田市、大町市、東筑摩郡筑北村、麻績村、生坂村、上水内郡信濃町、飯綱町、小川村、北安曇郡白馬村、小谷村、上高井郡小布施町、新潟県妙高市と隣接。 長野県の県庁所在地だが県庁の場所が標高371.3mで、日本の都道府県の中で最も高い場所に建っている

・人口:371,997人(長野県 第1位)※2021年10月1日現在 長野県で2つだけの中核市(もうひとつは松本市)

・廃藩置県後に当時の松本市を含む筑摩県の一部が長野県に編入されて以来、長野市と松本市は “犬猿の仲” と言われ、実際に県庁移動運動(長野市→松本市)や分県運動が過去に9度も起きており1948年には県議会議決にまで至ったこともある。 その対立の歴史からサッカーのAC長野パルセイロ松本山雅FC戦は「信州ダービー」と言われJFL時代2009年の対戦は「クラシコ」というドキュメンタリー映画にまでなった

・2005年に上水内郡豊野町、戸隠村、鬼無里(きなさ)村、更級郡大岡村を、2010年に上水内郡信州新町、中条村を編入

・市中心部及びその周辺は「善光寺平」と呼ばれる盆地に位置し、県内の主要都市の中では諏訪市と並んで真冬日が多い

・市の中心に建つ善光寺は642年に現在の飯田市から移動してきたもの。 飯田市には現在も「元善光寺」が建ち、その両方お詣りしなければ「片詣り」とされている

・戸隠神社の周りには蕎麦屋の名店が並ぶ。 余談ですが私が長野に来て初めてざるそばを食べたのが善光寺前の蕎麦屋でした

・1998年に主催都市として第18回冬季オリンピック長野大会及び第7回冬季パラリンピック長野大会を開催、ジャンプ団体やスピードスケート、モーグルなどの競技で日本中が湧いたが、一方で競技施設の建設費用や施設維持費用の借金返済、同オリンピック招致委員会の会計帳簿が焼却処分されたなどの問題も発生した

・2019年の台風19号災害では市内を流れる千曲川の堤防が決壊し市内長沼地区で全半壊含めて4,000棟を超える被害が発生。 地区が水浸しになった空中映像や新幹線が水に浸かった映像は記憶に新しいところです


◆立候補者

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百合 ゆり恵 (58) 新 元 保育士
土屋 隆一郎 (60) 新 元 日本青年会議所会頭
荻原 健司  (51) 新 キング・オブ・スキー
北村 篤   (45) 新 自営業
中澤 義明  (76) 新 行政書士

 まずここでは告示日前に立候補を表明していた3名を先に御紹介します。

百合 ゆり恵(ゆりえ ゆりえ)候補

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 百合候補は長野市出身、戸板女子短大卒業後に保育士や銀行員などの職歴が有り、政治へは2009年の長野市議選以来のアプローチとなります。 兵庫県西宮市の政治団体「市民生活を守る会」から推薦を受けており「子どもから高齢者まで安心して過ごせる長野市に」と訴えています。

土屋 龍一郎(つちや りゅういちろう)候補

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 土屋候補は長野市出身で成蹊大学卒業後、株式会社エムウェーブ(「長野オリンピック記念アリーナ」の通称。 スピードスケート会場として建設され現在もスピードスケートの公式大会や各種イベントで利用されているホールを管理する第三セクターの会社)社長など多くの会社の役員や日本青年会議所(JC)の会頭(全国JCのトップ)など数多くの役職を歴任。 長野市長選は前回に続いての挑戦となり、「変えていこう!新しい長野市へ。」を掲げ市政の転換を訴えています。

◆前回(2017年)の選挙結果
[当]加藤 久雄  (74) 現 69,778 票 ※自民、民進、公明推薦
[落]土屋 隆一郎 (56) 新 52,812 票
※投票率:39.29%

荻原 健司(おぎわら けんじ)候補

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 荻原候補は群馬県出身で早稲田卒業→長野市の建設会社「北野建設」のスキー部所属の間に長野オリンピックを含む4度のオリンピックに出場しノルディックスキー複合団体2連覇を始め、世界選手権優勝、ワールドカップ3連覇など数多くの偉業を成し遂げ「キング・オブ・スキー」と呼ばれました。 一方2004年から自民党から立候補し参院議員を1期6年務めるなど政治経験も有り、2015年からは県教育委員や県スポーツ協会理事を務めていました。「守る 育てる 輝く」を旗印に市政の「アップデート」を訴えます。


◆POINT① 2期8年務めた現職市長が引退

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(毎日新聞より引用)

 長野市の建設会社、本久の社長を経て2013年から2期8年市長を務めた加藤久雄市長 (79)が今季限りで引退を表明。 高齢が要因のひとつだと推察されますが毎日自宅からジョギングで出勤し役所内でも階段を使うなど大変元気な様子でまだまだ続けられそうな雰囲気ですが、長期政権をよしとせずスパっと辞めるあたりは素晴らしい御判断だと思います。
 在任中は民間出身のキャリアを生かし市役所のサービス向上に努めたり、赤字が問題となっていたボブスレーリュージュ用のオリンピック施設「スパイラル」の市による管理を断念するなど行政コストの削減を行ってきて “実務派市長” という評判でしたが、なんといっても加藤市長最大の功績は、長野市に「元気玉」を贈り続けてくれたことでしょう。

 ・・・え? 何を突然つまらないジョークを言ってんだって思われました? これがホントなのですよ。 ウソだと思うなら次の動画を見て下さいな。

加藤市長の「元気玉」とは一体何なのか? 事実上の一騎打ちとなった両候補の訴えるものと選挙活動に加え、残りの3候補は一体何者なのか? そして勝敗を分けたものは一体何なのかをレポートしています。 もし宜しければ御購読いただきたく存じます。
  ※とにもかくにも、「元気玉」は見てほしい!!

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