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ゆ虐とかいうトンデモ界隈


 ゆっくり虐待、通称ゆ虐。このだだっ広いネットの中に存在する一つの大問題ジャンルにして、「検索してはいけない言葉」レベル3(検索の際は慎重な判断が必要)に認定されている、世に出してはいけない界隈である。

 非常に簡単にゆ虐について説明をすると、東方projectの二次創作である「ゆっくり」という饅頭たちに、人に対してやったら猟奇殺人になるようなことをする界隈である。

「ゆ虐」の成立

東方→ゆっくりへ

 いまや常識となったが、「ゆっくり」とは「東方project」のキャラクターを生首にしたものである。(言葉にすると恐ろしい…)
 東方のキャラが「ゆっくり」として認知されるようになった経緯は、まあこんなところまでたどり着く皆さんならおそらく知っているだろう。

 とある日の2ch。突如投稿された霊夢と魔理沙のaaが拡散され、2008年頃にはネットでも高い知名度を誇るようになった。
 2008年ごろには人工音声ソフト「SofTalk」や「棒読みちゃん」などを使ってニコニコ動画に動画を投稿するものが現れる。また、2016年ごろには某たくっち氏の人気が絶頂期を迎え、ゆっくりの知名度は大きく向上した。

言っておくが
ゆっくり実況を始めたのはたくっちではなくつるぎさんという人である。
お忘れなきよう。
つるぎさんのチャンネル→つるぎチャンネル - YouTube

全盛期のたくっちの人気はヒカキンに迫るものだった

虐待ジャンルの変遷

 ゆっくり実況・茶番などに比べると非常に小さい界隈だったが、「虐待」という界隈は確かに存在したらしい。
 2ch発祥のキャラクター(モナーややる夫)をいたぶる「AA虐待」というものがすべての祖であるらしい。(確証はない)
 ここで画像を張るとBANされそうなのでまとめのリンクを張っておく。
AA虐待・虐殺総合スレッドinAA長編 - アブ板 Wiki* (wikiwiki.jp)
 少しづつ2chが廃れてくると、このサディストたちは琴葉茜(らしきもの)を標的にして虐待を開始した。らしきもの、と言っているのはこの琴葉茜がゆっくりらしき姿になっているからである。ちなみにこれはセ虐というそう。

こんなかんじらしい

 これとほぼ同時期に始まったのが皆さんお待ちかねのゆ虐である。
ゆ虐の長い?歴史はゆっくり霊夢が「饅頭顔」と言われたことに端を発す。
今でもたまに「私たちは饅頭ですよw」とゆっくりに言わせるゆっくり実況者はいるだろう。
 さて、最初のうちは東方projectの二次創作マスコットの一つとして扱われていたゆっくりだったが、少しづつ扱いが雑になってくる。だんだんとキュートアグレッション(かわいくていじってしまう)要素が入ってきたのだ。
 しかしこの頃は、元ネタとなった東方projectにおける妖精の「死んでもその辺で復活する」という概念が残っていて、「ギャグキャラだから多少酷い目に会ってもすぐケロっとしている」という、現在のゆ虐のゆっくりと違った目で見られていた。

が・・・

 2000年代末ごろ、東方ss作家の小山田氏という人が「東方シリーズ版(現在は閉鎖)」の「東方キャラをいじめるスレ」という、東方キャラにリョナ行為を行うちょっと危なめなスレにある作品を公開した。
 その名も「ゆっくり加工場」
 ちょっとゆ虐に触れたことがある人なら知っているであろう、
ゆっくりを生きた饅頭として扱い、食用の為に無理やり繁殖させては加工し出荷する
 
というありふれたストーリーの先駆けとなってしまった。
 その後、このスレではゆっくりを言葉をしゃべる饅頭として扱い、調理という名の虐待を加えていくというssが量産された。しかし当時はゆっくりはただの善良な饅頭であったため、ゆっくりにとって都合の悪い設定が加えられていく。
例を挙げると、
・畑荒らしや人家への侵入占拠をする
・ゆっくりは赤ん坊を産み増える野生動物
       などである。

 その後増えすぎたゆ虐はその後、2chやpixivに乱入するも原住民の抵抗を受け、独自の文化圏(?)を気づいていくことになる。
 00年代末~から10年代初頭にかけて、
ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー - atwiki(アットウィキ)
      ゆっくり!ゆんやーの森 (livedoor.jp) が登場。
 ゆ虐界ではその名を知らない者はいない、キリライターあき氏もこのころに活動を始め、10年代初頭にはゆ虐は最盛期を迎える。

ゆ虐の衰退

 さて、そこまでの繁栄を誇ったゆ虐だが、早くも2010年代中盤から衰退期に入る。理由はあまりはっきりしておらずわざわざ話されることも少ないが、作者の私見では2つあるのではないかと考える。

①大手サイトの活動休止

 2013年ごろ、4000本近いゆ虐ssを抱えるふたば系ゆっくりwikiが突如活動を休止した。それに並ぶ巨大サイトであったゆんやーの森も更新頻度が大きく減少し、2014年にはキリライターあき氏も失踪した。
 多くの拠点を失ったゆ虐界隈だが、まさかほかの界隈にこんなゲテモノを垂れ流すわけにはいかない。youtube、twitterはおろか、ニコ動ですら 「身内でやれ!」という声が飛んでくるような特急呪物界隈である。
 
ゆっくり虐待は少しづつ衰退を続けていった。

②「ゆっくり○○」の繁栄

 2016年ごろ、たくっちを中心にゆっくり実況が世の中に広く認知されるようになった。正直ここにたどり着いた皆様方に説明はいらないと思うが、ゆっくり実況とは東方キャラを生首にした、「ゆっくり」を使って実況をするジャンルである。
 そして2018~2019年ごろには勢いの衰えたたくっちらに代わり、てきとう太郎氏や主チャンネルらが「ゆっくり茶番」で人気を獲得する。とても面白いのでぜひ見てみてほしい。(宣伝)


時事ネタをもとにした茶番で
一世を風靡したてきとう太郎さん


 さらに2020年、コロナ禍に入ると「ゆっくり解説」の時代が始まる。身の回りの興味はあってもわざわざ知らないことをゆっくりが雑談も交えて紹介するゆっくり解説は、ゆっくり茶番を大きく超えるブームを巻き起こした。


ゆっくり解説の祖、最強のメラさん
黒歴史上人物シリーズが有名

 このようにゆっくりが親しみやすいキャラクターとして扱われる中で、ゆっくりを潰したり燃やしたりアレしたりするゆ虐が支持されるわけがない。      といっても2016年ごろには叩く人もいないほど衰退していたが。

ゆ虐の復活?

 2020年代、元号も令和に変わって長い時間が経ち、柚葉のゆっくり商標登録騒動によってゆっくりのガイドラインなどもある程度決まった。もうゆ虐なんておかしなコンテンツが復活することはない…そう思われていた、が。
 2022年夏、とあるキャラクターが立ち絵となり、人工音声の配布を開始した。その名は、ずんだもん。東北復興のために作られた東北ずん子プロジェクトの1キャラクターであり、ずんだ餅の妖精である。


僕はずんだもんなのだ!

 

「ずん虐」誕生


 
さてさてこのずんだもんには不幸属性(ドジみたいなもの)があり、最初期はキュートアグレッション(かわいくていじってしまう)作品が多く作られた。そして、それを「ずん虐」と呼んだのである。
 あれ?いつか来た道…
 察しの通り、ずん虐は少しづつゆ虐に近づいていく。
 
2022年秋ごろには、ゆ虐の世界観そっくりの動画が大量に作られるようになった。ずんだもん大量発生によって作られた加工所だったり、家に勝手に入り込んだりするといった設定である。
 その暴力は主に原型(立ち絵になる前)の妖精ずんだもんに向けられた。
 

加工所やないかい!

 ゆ虐界隈に属していた人が作ったとしか思えないような動画も散見されるようになっていき、ずんだもんはまるで知能の足りない枝豆かのような評価がつけられようとしていた。
 

もう展開がゆ虐

 

公式ブチギレ


・・・と思われたのもつかの間、ずんだもん公式が声明を出す。

Q : 使ってはいけないのはどんなケース?​​

A : イメージが悪くなるもの、公序良俗に反するもの、政治、宗教が関係するものです​​

軽いパロディなどは問題ありません。

風俗や公序良俗に反するもの、虐待をする/される、凶悪な殺人鬼になるなどキャラクターイメージを著しく悪化させるものに関してはNGです。
 

イラスト使用のQ&Aより引用

 これは…はっきりずん虐を禁止してますね…
 何はともあれ、youtubeから虐待は追放され、たぶん平和は戻った。
 まあ今でも某暇空氏が公式を左翼呼ばわりしたり韓国非難のため使われたりしてるけどもう止められないんだろう
 

これからのゆ虐はどうなるのか

 ずんだもん界隈からも追い出されてしまったゆ虐界隈だが、まだその勢いは衰えていないようだ。pixiv百科事典では一日に10万回近く閲覧されており、pixiv百科事典の閲覧数のみで判断するのであれば、その勢いはひぐらしの倍以上(ひぐらしはだいたい1日に5万回ほど)、チェンソーマンの3分の1ほどだ。
 大流行!というほどではないが、しぶとく生き残っているのは否定できない。さらに今年6月にはゆ虐系漫画家、キリライターあき氏が復活。
 どうやらこの変態ジャンルはまだまだ、ゆっくりがある限り永遠に続いていきそうだ。

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