見出し画像

第14作目「MOTHER マザー」

【たかはC】

鑑賞作品
「MOTHER マザー」(2020)
監督:大森立嗣

<あらすじ>
男たちとゆきずりの関係をもち、その場しのぎで生きてきた女・秋子。シングルマザーである彼女は、息子の周平に奇妙な執着を見せる。周平に忠実であることを強いる秋子。そんな母からの歪んだ愛の形しか知らず、それに翻弄されながらも、応えようとする周平。周平の小さな世界には、こんな母親しか頼るものはなかった。やがて身内からも絶縁され、次第に社会から孤立していく中で、母と息子の間に生まれた“絆”。それは成長した周平をひとつの殺害事件へ向かわせる——。


録画していた日本アカデミー賞を観ていた。長澤まさみさんが主演女優賞に2作品でノミネートされていた。その1つがこの「MOTHER マザー」だった。作品の紹介で何シーンか放送された。その何シーンかでグッと引き込まれたので、今回鑑賞してみた。ちなみに長澤まさみさんは最優秀主演女優賞を受賞。

さて、感想ですが・・・

とにかく悲しい気持ちになった。重たい作品。映画を観るにあたって主人公に共感していくものだが、長澤まさみさんが演じる母親に共感するのが難しい。子どもへの愛を強く持っている反面、育児放棄している一面もある。そんな母親と共に寄り添う子どもへの共感も難しかった。2人にしかわからない絆が観ていてわからない。そんな答えがわからない親子なのに観ていて否定できないのだ。答えがわからないのにずっと最後まで引き込まれていく。それぐらい長澤まさみさんの演技がすごい。貫禄のある芝居に引っ張られていくのだ。この親子を演じる際、本当に答えがわからないから演じるのは相当難しいと思うのだが、その答えのわからない親子を見事に演じている。すごい。子ども役の奥平大兼君もかなり良かった。

他のキャストも全員良かった。キャスティングが素晴らしいと思う。特に印象的だったのは長澤まさみさんと夏帆さんの対比。2人が同じ画面に出ているシーンは特に引き込まれた。貫禄が引き立つという感じ。

そしてこの作品、実在した事件を元にした話なのだが、それを知らずに観ていたので「映画だから、映画だから」と途中で落ちていく気持ちをキープしながら観ていたのだが、見終わった後に実在した話と知ってかなりどん底に気持ちが落ちた。

母と息子という親子の愛。最後には悲しい事件が起こるのだが、被害にあった祖父母と、この母親も親子なんだよなぁ・・・と考えてしまった。この祖父母が娘に対してどんな愛情表現をしていれば、こんな事になっていかなかったのか?・・・そんな事を考えてみたが、答えは出なかった。

と言うことで、

「MOTHER マザー」(2020)
オススメ度
★★★★★★★★☆☆


次回予告
「シング・ストリート 未来へのうた」(2016)
監督:ジョン・カーニー