早慶文系はコスパが良いのか
過去記事で東大はコスパが悪いと論じた。
この記事内では専門職でなければ東大を卒業したところで早慶文系と同じ枠で民間就職を争わなければならないことについても触れた。
となると、逆に早慶文系はコスパが良いのではないのかという話になってくる。
確かに東大と比較すると良いとは言えるだろうが、ただ早慶文系に入学すればその後の人生もハッピーとは限らない。
今回は、早慶文系に焦点を当ててコスパや早慶文系が向いていないタイプについて論じていく。
早慶文系に入る方法とそのコストについて
東大でも推薦入試は導入されたものの、割合としては一般入試が圧倒的に高い。
それに対して、早慶文系の場合は様々なコースがある。
まず内部進学があり、有名なのは慶応幼稚舎ではあるが、中学からや高校からなど様々な段階で附属校に入ることができ、その後大学にそのまま進学していく。
学業が全然ダメなケースとか、あるいは早稲田高校(厳密に言うと附属校ではなく系属校だが)のように東大志向が高いところも一部あるがほとんどの学生はそのまま大学に入試なしで進んでいく。
中には慶應ニューヨークのように明らかに入学が簡単なのに慶應大学に入れるバグのようなルートもある。
また、推薦入試の枠も東大と違って広く、指定校推薦やAO入試などがある。
もちろん、一般入試もあるが、得意な試験形式に応じて柔軟に出願することができるというのも早慶の魅力である。
東大だとまず2次試験の科目が多く、文系理系とおおまかにしか分かれていない。
文系:英語・数学・国語・社会2科目
理系:英語・数学・国語・理科2科目
このようになっており、基本的には全科目を勉強することが求められる。
これが早慶になると、文系だと数学が要らないことが多いし(「私文」とネットでバカにされている主な原因はここだろう)、理工系でも理科が1科目で良かったりする。
理系を受けるのに国語は要求されないが、理系なのに二次試験に国語を課してくる東大のほうが全国的に見ればむしろ異常である。
また、同じ文系の中でも学部により特色があるのも東大とは異なっており、例えば早稲田の国際教養学部だと英語1本の入試である。
このように、一般入試ですら早慶だと自分の適性に応じて入りやすいところを選ぶことができる。
それに加えて内部進学や推薦入試まで含めると早慶に入るための戦略は様々な方法が取れる。
余談だが、早慶やMARCHを狙うのに中学受験からというのは正直コスパが悪い。
日能研などの偏差値表を見れば明らかだが、早慶附属はいわゆる御三家に準じるレベルの難易度であり、中高時代に順調に伸びれば東大や都市部の国公立医学部にだって入れるため、わざわざ早慶で利確しておく意味が薄い。
MARCH附属だと明大明治のコスパが著しく悪く、この中学校に入れるレベルの子は高校受験すれば普通にしてて早慶附属に入れるであろう。
さて話を戻すが、適性を見極めて戦略を練れば東大と比較して早慶文系は格段に入りやすい。
東大の滑り止めとして早慶も受けるとなるとトータルでの負担は重たく、東大ボーダーラインレベルの学力の受験生だと片手間の対策だと普通に早慶に落ちうる。
片手間で受験して早慶に合格する層は東大に入れるからそもそもとして早慶を受ける意味が薄い。
早慶の魅力的なところは、高校受験で附属校に入って利確するとか、推薦向きであれば推薦を狙うとか、英語一本槍で国際教養学部に突撃するとか、自分の強みを活かしやすいところである。
東大の場合はほぼ全科目を勉強する必要があり、各科目の配点にも偏りが少ないため、上手いことハックして合格する方法が推薦に限られており、その推薦の枠自体も非常に狭い。
現役でサクッと東大に入れれば良いが、実際は浪人してしまったり、現役で入れたとしても高校時代に頑張り過ぎて燃え尽きてしまうケースも少なくはない。
特に燃え尽きてしまうケースは最悪であり、もし立ち直ることができないと、就活でMARCH卒にも劣後する可能性もあり得るのが民間就職の恐ろしさである。
燃え尽きリスクや浪人により時間を無駄にするリスクを考えると、最初から早慶文系を狙い、その分空いたリソースをガクチカや資格取得に費やせば良い層も多いだろう。
余裕を持って現役で東大に入れるレベルの受験生はそう多くないはずで、下位30%以下の点数で入学した学生はもう1回入試を受けたら高確率で落ちるはずである。
戦略的に東大を狙わないという選択肢が十分魅力的なことをご理解いただけただろうか。
早慶文系も下位層の就活結果は芳しくない
早慶文系の場合は、卒業後に官僚や研究者になる人もいないわけではないが、ほとんどは民間就職をしていくため、民間就職で上手くいくかどうかに絞って話を進めていく。
民間就職において早慶文系は東大と同じ土俵になると考える人は筆者以外にもいるだろうが、それはあくまで学歴フィルターを突破できるというだけの話である。
実際に高収入の会社に入れるかどうかは学歴以外にも何かしらのものを持たなければならないのは早慶文系も東大も一緒であり、学歴以外何もない下位層の学生を無意識レベルで無視しがちなことを自戒しなければならない。
就活難易度は2024年現在のものを想定して話をしていくが、まずツイッターでネタにされがちなアクセンチュアやみずほ銀行だって早慶や東大の下位層は普通に落とされる。
三菱商事よりは明らかに入るのが簡単だが、学歴だけでどうにかなるレベルの会社ではない。
まともな会社から内定が貰えずに塾講師のバイトなどで食いつなぐ学生も中にはいるだろう。
人はついつい都合の良い部分をピックアップしがちであり、開成中学に合格したら東大に入れるかのように勘違いする人は多いが、実際の開成卒のボリュームゾーンは早慶レベルである。
就活において総合商社や外銀などトップばかりに目が行って「深海魚」の存在は透明化されてしまうのだ。
となると、早慶文系からエリサラを目指すというコースはコスパが良いように見えて実際にはそうではない場合もある。
学歴というラベルを手に入れることだけを考えるなら早慶文系は労力に対して得られるものが多くコスパが良いが、就活でそのラベルを活かしていわゆるエリサラになってさらにその先まで上手く行って初めて成功したと言えよう。
そもそも就活や有名企業での出世競争が苦手なタイプだと早慶文系→エリサラというルートを歩もうとしても失敗してしまう。
仮に就活の短期間は誤魔化しが効いて会社に潜り込めたとしても、社内での競争は5年10年と続いていくのだから、そこまで出口戦略を考慮しなければなるまい。
早慶文系がコスパ良いタイプと良くないタイプ
ここから早慶文系を目指すべきタイプとそうじゃないタイプについて論じていこう。
まず身も蓋もないが、見た目が良かったり陽キャだと就活が強いし、その後の出世競争でも強い。
公立中学校での内申点稼ぎが得意なタイプはエリサラ適性が高い。
また、会社ごとのカラーに合うかどうかという問題もある。
例えばサイバーエージェントに見た目が冴えない陰キャを無理やり放り込んでもすぐに適応障害なり鬱病なりを発症してメンタルクリニックのお世話になることだろう。
コンサルで働くとなると、パワハラ耐性のあるADHDが有利である。
それぞれの業界カラーについては各々がマッチするものを調べてもらうとして、どうやったってエリサラが向かないタイプの人もいる。
一見高収入でも1年2年で辞めてしまっては生涯年収はかなり低くなるし、かといって無理やり働き続けると心身を壊してしまうリスクがある。
そういうタイプの学生はそもそも早慶文系以外の選択肢を選んだほうが良い。
例えば医学部だったり、理工系に進んでメーカーなどに入社したりなどである。
文系であっても資格職に進むというコースも有って、専門職の場合はコミュ力が低めでも比較的苦労しにくい。
東大生ですらボリュームゾーンの入社先は楽天だったりするわけだから、文系就活が苦手なタイプが無理にやる必要はない。
一般論として、早慶文系のコスパが良いというのは否定しないが、それはあくまでエリサラ適性がある者にとって東大生と同等の待遇が得られるというだけの話である。
就職だけではなくさらにその先の出世競争まで考えると、社会不適合者は長い目で見れば医学部のほうが圧倒的におすすめである。
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