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GODIVAの「日本は、義理チョコをやめよう。」はなにをねらっていたのか #1

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【シロウトからみた広告の世界】
広告代理店に新卒入社した、社会人1年目のシロウトが
広告をみて感じたあれこれを
真面目に、楽しく、時に生意気に綴っていくシリーズ。
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「日本は、義理チョコをやめよう。」

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2018年の2月1日にGODIVAが日経新聞に掲載したこの広告。
「よく言った」と共感する人もいれば、「余計なお世話だ」と反発する人もいて、賛否両論を巻き起こした。

義理チョコという文化について、自分はどう思っていたんだろう?楽しんでいたっけ、はたまた義務感からしぶしぶやっていたんだっけ。
そんな風に、この広告をきっかけに「義理チョコ」という文化について考え直した人もいたのではないだろうか。

わたしはといえば、中高6年間は女子校だったため義理も本命もなにもない。
前日作った大量のお菓子をタッパーに詰め込んで、
「欲しい人は早く取っていってー!!」
とあらゆる人に配りまくり、またあらゆる人からもらいまくって
年に1度の合法チートデーを楽しんでいたものだ。なんと気楽だったのだろう。

そのせいかこの広告を見ても「大変だなあ、会社に入ったら上司にあげなきゃいけないのかしら」程度の感想しか抱くことができなかった。

一方で、「GODIVAはなんのためにこの広告を打ったんだろう」という点は猛烈に気になった。
だって、チョコ買ってほしいじゃん。売れた方が嬉しいでしょ?
なんでこんなこと言っちゃうんだろう。

このときの私は、
広告の目的=商品を売ること
ととらえていた。
決して間違いではないしむしろ正解である。広告を含めあらゆるマーケティング活動の目的は、最終的に「会社の利益を上げること」なのだから。

しかし、会社の利益を上げる方法とは実に多様なのだと、
入社して約2か月の間で学んできた。

短期的には、
新商品の発売を宣伝する広告、商品の機能を説明するような広告などは、その商品を買ってもらえる可能性を上げることができる。
中期的には、
訴求したい商品に関連するイベントの開催などのPR活動は、効果はすぐに現れなくとも商品を覚えてもらうことで買ってもらえる可能性も上げることができる。
長期的には、
企業のブランディング広告や、社会的な流れを変化させるようないわゆる”意見広告”は、その会社や扱っている商品カテゴリー全体への見方をプラスにもっていくことで世の中に受け入れてもらいやすい環境を作ることができる。

きっとまだまだあるだろうし分類も不正確な部分がありそうだが、ざっとこんな認識をしている。

そして今回のGODIVAの「日本は、義理チョコをやめよう。」は
中~長期的な目線での施策であると思うのだ。

まず、「あのGODIVAが『義理チョコをやめよう』と言っている」というのは非常にインパクトがあって話題性が高い。イチローが「野球をやめよう」と呼び掛けているようなものだからである(たぶん)。メディアがこぞって取り上げるだろうし、そうすればPRとしての露出はバッチリ。GODIVAというブランドの存在感を示すことができる。
そして義理チョコというのは男と女が関わるがゆえにフェミニズム文脈でも話題にしやすく、ネット、特にツイッターとの相性が良い。議論を巻き起こし、直接この広告を目にしていない人のもとにも拡散された。
これが中期的な目線。

では長期的にはどうか。実はここの答えが自分の中ではっきりと出せずにいる。

仮説としては、
「バレンタイン=義理チョコ=めんどくさい」という、チョコレートに対するネガティブなイメージをポジティブなものへと変えるきっかけを作ることで、ポジティブな文脈でのチョコレートを訴求していきたかった
ということを考えている。

具体的に言えば、
GODIVAはいわゆる「ちょっとお高いチョコ」であるから、”自分へのご褒美”として買ってもらおう、とか
ものすごく引いた視点から考えれば、義理チョコというストレスを人々からなくすことでチョコレートに限らず「購買行動」自体を促進しよう、とか
まあ後者は無理やり感があるにしてもそういったことがねらいだったのかなあと考えている。

みなさんはどう思いましたか。

1つ疑問点があるとすれば、この広告が日経新聞に出された、ということ。
つまりターゲットは義理チョコをもらう側、会社にいるおじさんたちなのである。一応、この広告には「受け取る側が『無理しなくていいよ』と言ってあげましょう」というニュアンスのことが書かれているので、メディア選定は正しいと言えなくもないのだが・・・
女性に向けて発信する方が「GODIVAは女性の味方」感が出て共感を誘えるんじゃ?本当に男性がターゲットだったのか、はたまた何か策略があるのか。

この広告を理解するには、もう少し時間がかかりそうです。


#シロウトからみた広告の世界 #広告 #GODIVA #日本は義理チョコをやめよう #ADBOX

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