タイタニック号見学の潜水艇事故

自己責任という言葉があるが物事はそう単純ではない。今回のような深海の探索、ジャングルの探検、雪山でのスポーツ、紛争地帯での報道取材など危険なことをする人は後をたたない。危険なことをする際に、“万一事故があっても救出は必要ありません”という一筆があれば、冒険家の責任は逃れられるのか? そうではない。

今回は出港前に参加者は何枚もの書類に署名していたようだ。これは事故にあった人の家族がツアー主催者を訴えないようにするものだろう。しかし、軍や警察の費用は誰が払うのだ。政府が依頼した民間業者の費用は政府が負担したままになるのか。事故、事件の種類によるが人命が危ないと分かればあらゆる手段を講じて人命を救おうとするのが人間である。
“自己責任だから無視する”とはならない。今回も米国、カナダ、フランスなどの政府が動き探索に力を尽くした。この費用は誰が負担するのだろうか?

自己責任を認識していれば何をやっても良いというものではない。自己責任と言いながら実際には国や自治体の公的機関の手を煩わせることになるのだ。身勝手な行動は慎んでもらいたいものである。