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還暦のわしがインドに呼ばれて来たんだけど Vol.15

23日目のリシケシ

「ここでヨガを習ってるの?」
「そうよ。ハタヨガとアシュタンガヨガを習ってるわ」
UKからきたメリッサはリシケシにきて2ヶ月になるそうだ

日本人だったら確実に沈没の域だが、ここにきている
欧米人は数ヶ月はざらだ。知り合ったドイツ人は
もう数年になるという
ヨガと向き合っている人と話をすることが多いんだけど、
ほぼみんなの表情は柔らかい
(もちろん例外はいるが)

「神戸に行った事があるわ。IKIGAIを読んで感動したの」
まわりの数人もIKIGAIは素晴らしいねと言う
海外では有名な本で、内容は
日本人の幸せな人生の秘密らしい

リシケシの本屋に行くとIKIGAIという本のコーナーが
あるくらいだ
帰るまでには読んでみよう

コリア系アメリカ人、スペイン人、そしてインド人も
加わり、しばらくの間はなしをしているとヨガスクールの
白髪のインド人のおじさんが
「ご飯を食べていきなさい」
と言ってくれた

シバナンダアシュラムも宿泊は有料で
二ヶ月前に予約しなくちゃいけないけれど
食事は無料らしい
こういうところにもインドの懐の広さを感じる

シバナンダアシュラムの食事はすごくうまいぜ。
行ってみろよとインド人が言っていた
そのアシュラムには一度行ってみたがとても静かだ
インドではないみたいだ
ヨガと向き合うには最高の場所である

話はかわって
インドでは並んでいても順番を守られない
割り込まれたからといってインド人のが「割り込んでんじゃねーよ」
と言っているのを見たことはない

しかし、おれは日本の習慣を持ち込んでいるので
心がざわつく
ATM並んでいると鼻ピをしたちょっとけば目なお姉ちゃんが
なんだかんだ言いながらオレの前に並んでいるおっちゃんの
前に割り込んできた

おっちゃんは別になにも言わない
言うつもりはなかったのだが、つい聞いてしまった
「興味本意なんだけど、あなたはなぜ割り込むのですか?」

お姉ちゃんは驚いた顔をして
「私はあそこで寝て待ってたのよ!」
なにを言ってるんだこいつはという顔で見てきた
「いや、興味があったので。気を悪くしたならごめんね」
彼女はヒンドゥ語で何か言いながら立ち去った

ここはインドだ
急いでいるから順番をスキップしたんだよね
オレはまったく急いでいないので別にいいんだ
でも、心はざわつく

その後も、隙を見せると割り込まれるので三笘を
止める気持ちでブロックをしてしまう
まだ、インドを理解できていない

大丈夫だよ。なにを焦ってるの?


チャイを飲んでいると横をわんこが通りかかった
「おいで」というと
ばーーーっときて、前脚でオレの膝になんどものせながら
甘えまくってきた

そうなんだね。考えすぎてるんだよね
価値観のメガネで観ているから
価値観を捨てるのではなく理解する

「足に合っていない靴を履いた感じでしょうか」
ヨガで見かける男性が言った

朝のヨガおわりに、男性から
「日本の方ですか?」と声をかけられた

「そうです」
「いや、JAPANと書かれた服を着られてるので」
「日本の方ではないと思っていました」

捨ててもよいと持ってきたポロシャツ。背中にはJAPANの文字が
でかでかとはいっている
ニューヨークの人がアイラブNYのシャツは着ないよね

今の住まいは東京で、出身はなんと岩国市。それも自分が昔

旅をすると不思議なご縁を感じることがよくある

ネパールからインドに入って26日の日程で今日が最終日だそうだ

その方と話していて共感したのがインドの印象

インドに着いて待ち構えているのは

自分の価値観がめちゃくちゃにぶっ壊れて
驚き、苛立ち、そして思い通りにならない
ことへの憤りでいっぱいいっぱいになる

しかし、しばらくすると
混乱は外にはなく全て自分の中にあることに気がつく

いつのまにか気持ちは足に合わない靴をぬいだような心地良さ
に変わっている

彼は出版業界を退職してインドに訪れたそうだ

彼とは岩国で会いましょうと言い別れた

縁とは面白いものだ

幼稚園の絵ちょっと怖いね

なんか深く思える

ではお散歩に行ってこよう

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