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ロイドは攫われた「アーニャ」を助けたわけじゃない【アニメSPY×FAMILY第1話感想】

2022年春の神アニメ「SPY×FAMILY」第1話にて、ひょんなことから敵に連れ去られたアーニャを助けるべく、ロイドは自らの危険を顧みず敵地に乗り込んだ。
初見のときは頭からっぽでこのシーンを観ていたので「アーニャのこと心配したんだなーロイドも優しいとこあるなー」なんて思っていましたが、よくよく考えたらそうじゃなくない?と思い始めてきたので、ちょっと頭の整理をさせてください。




「子どもが泣かない世界、それを作りたくて俺はスパイになったんだ」

無事アーニャを助け出したロイドは、泣きわめく彼女を抱えながら心の中でこう語っている。そんな理想を掲げておきながら、子どもを危険に巻き込んで泣かせた自分を許せないとでも言うように。

この時のロイドなら、攫われたのがアーニャではなく他の子だったとしても、身を挺して助けに行ったんじゃないかなって思うんです。彼を動かしたのは、アーニャが心配だとか守りたいとか、そんなやさしい気持ちじゃなかった。彼はただ、スパイとして生きる自分の信念を貫き通したかっただけ。そのために、自分のせいで危険な目に遭った「子ども」を助けただけ。自分の任務に「子ども」を利用しないと決めただけ。





と、ここまでかっこいいロイドの独り舞台を繰り広げておきながら、結局彼はアーニャを連れてふたりの家に帰ることになるんですけど。

それほどたやすく決意が覆ったのは、「置いてかれたらアーニャ涙出る」なんて震える声で言われたからかもしれないし、4回も里子に出されては孤児院に戻されたアーニャの過去を慮ったからかもしれないし。それは彼にしかわからないけれど、アーニャを連れて帰った理由はこれに尽きると思うんです。

アーニャの気持ちを考えたら、置いていくなんてできなかった。

これは目の前にいる、他の誰でもない「アーニャ」に向けられた感情。これこそロイドという仮面の隙間から覗いた、彼自身の優しさなんだろうなと思います。いや、そうであってほしい(願望)。


ちなみにこの件以降、ロイドの様子がおかしくなる描写が頻繁に描かれます。気が抜けて体に力が入らなくなったり、アーニャ(他人)の前で眠ってしまったり。これってロイドの中で何かが変わった証拠なのかなって。その「何か」はまだ名前をつけられるほど確かなものではないけれど、少なくとも「任務が終わったら孤児院に返すだけの関係」から一歩、いや半歩はふたりの距離が縮んでいるはず、と私は勝手に信じています。






それにしても、第1話ラストのお昼寝するロイドに抱き着くアーニャのシーン、微笑ましすぎて神々しいまでありますね。ロイドの無防備な寝顔とアーニャの笑顔だけでも暴力的なかわいさですが、それまでBGMになっていた星野源の歌声がぐっと前に出てくることにより、とどめを刺されます。

「ふざけた生活はつづくさ」

うん、永遠に続いてくれ。

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