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黄昏の「失態」を愛でるためのアニメSPY×FAMILY【第1クール感想】

異論は認めるので聞いてほしい。アーニャを愛でるためにアニメ「SPY×FAMILY」を観始めたはずが、気づいたらロイドこと黄昏に心奪われてました。愛らしい登場人物にあふれるこの物語において、真に愛でるべき対象は他の誰でもなく彼なのだと、私は声を大にして言いたい。


「結婚?人並みの幸せ?そんなものへの執着は、スパイとなった日身分証とともに処分した」

物語が始まる前の黄昏の人生は、第一話で彼が語ったこの言葉が全てだと思うんですよ。例えば情報収集のために好きでもない女の彼氏を演じるとき、まず邪魔になるものは自分らしさ。だから彼は名を捨て、顔を捨て、任務に必要のないものは何もかも手放して、「自分」であるより「スパイ」であることを徹底した。


そんな彼なら「ロイド・フォージャー」の人生も完璧に演じ切る、と思いきやそんなことなくて、任務成功のためには絶対合格しないといけない娘の入学面接試験で、家族を中傷した面接官をぶん殴った挙句に捨て台詞吐いて途中退席するなんてとんでもねえことをやってのけるんです。

これって任務達成に必要のない行動、つまりは何者も演じていない「そのままの彼の感情」を表した行動であって、これまでの黄昏なら仮面の下に完璧に隠し通していたはずだった。それができなくなるくらい、自分の気持ちが強く昂ってどうしようもなかった。それほど彼は、妻と娘を傷つけられたことが許せなかった。
ということはつまり、ヨルとアーニャと3人で築いた「家族」のこと、彼自身が大切に思い始めている、ってことでいいですよね?尊すぎる…。


ヨルとアーニャの存在。自分の帰りを待つ人がいること。偽物だとしても人並みの幸せの暖かさに触れたことによって、ウエスタリス1のスパイ「黄昏」が綻んで顔を出した「彼そのもの」の感情や行動を愛おしむ。それこそがSPY×FAMILYの至高の楽しみ方の1つだと、私は思うのです。




ちなみにここまで語ったことを、天下のofficial髭男dism様はたった3行の歌詞で表しています。

仮初めまみれの日常だけど
ここに僕が居て あなたが居る
この真実だけでもう 胃がもたれてゆく
ミックスナッツ

天才かよ。これ以上にアニメSPY×FAMILYの世界を表す言葉はもう見つからない自信がある。
たとえ仮初めの家族だとしても、その存在からにじみ出るささやかな幸せで胃もたれを起こしちゃうくらい、幸せ慣れしていない黄昏さん。オペレーション梟<ストリクス>の成功も願っていますが、それ以上にこの先も彼にたくさんの幸せが降り続けますようにと、テレビの前で祈りを捧げずにはいられません。

第2クールの放送も楽しみです。


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