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Age Well Japan Day1セッション報告 | 次世代シニアに必要な場をつくる

9月30日〜10月1日の2日間にわたり開催したAge Well Japan 2022 Day1の各セッションについて、もっと詳しくお伝えして参ります。

本noteは、株式会社オースタンス代表取締役社長の菊川諒人氏、BABA lab(合同会社ババラボ)代表の桑原静氏、株式会社チャッカバン代表取締役社長の平井直人氏に加えて、ファシリテーターとして、株式会社KiNG代表取締役社長のKiNG氏が参加した、"次世代シニアに必要な場をつくる"がテーマの、パネルディスカッションについてです。

シニア向けのコミュニティビジネスに興味がある企業の方は、特に必見です!

Age Well Japanの全貌について知りたい方はこちら↓

目次
(1)シニア世代コミュニティのきっかけ(事業開始経緯)
(2)シニア世代コミュニティの現在地と壁
(3)シニア世代コミュニティにかける夢
(4)まとめ

株式会社オースタンス代表取締役社長 菊川諒人氏

菊川諒人氏プロフィール

慶應義塾大学経済学部卒業後、新卒で株式会社リクルートに入社。組織DX化や通販や金融領域の事業開発を担当。2015年、株式会社オースタンスを創業し、代表取締役社に就任。「シニアモンスターズ」、「おとな公演」のプロデュースや、日本最大の中高年コミュニティサービス「趣味人倶楽部」の運営を行う。法人や自治体向けに、シニアDX戦略の立案と実行を支援し、「エイジングエネルギー溢れる社会」の実現に取り組む。

BABA lab(合同会社ババラボ)代表 桑原静氏

桑原静氏プロフィール

20代は、企業のWEBコミュニティサイトの企画。30代は、リアルのコミュニティの企画、NPOの事業化支援。シニアのコミュニティや働き方に興味があり、「長生きするのも悪くない」と誰しもが思える社会に必要な仕組みやサービスをつくる『BABA lab(ばばらぼ)』事業を2011年にスタート。100歳まではたらける職場「BABA labさいたま工房」や毎年1000人が通うシニアの学びの場などを運営。

株式会社チャッカバン代表取締役社長 平井直人氏

平井直人氏プロフィール

都内の不動産会社所属。 社内起業として「誰もが主人公となれる人生100年時代の着火場」というコンセプトのシェア書斎サロン「オトナ塾grand」「Kashiwa grand」を経営。 住んでる町の中で、どなたでも、いくつになっても、人との繋がりが生まれれば、年を取ることがいいね!と思える、思われる世の中に変えることができると信じて、日々、いろんなイベントを店内で企画・推進中。 全国でショッピングセンターの開発、運営をしてきた中で、定年層向けの居場所がどこのショッピングセンターにも存在しないことに疑問と不満を感じ、起業に至る。

株式会社KiNG代表取締役社長 KiNG氏

KiNG氏プロフィール

NON ZERO SUM (非ゼロ和)をコンセプトに生み出した、WEARABLE SCULPTURE,ART (身につけられる彫刻、芸術) の定義の基にFASHIONとARTを融合させた作品を国内外で発表。また、自由研究家、社会彫刻家として、企業や行政と協業。Magnet collective (YouTube メディア) を主催し、77歳のファッション評論家 ”平川武治” をフューチャー。仏師である父のプロデュースも開始。

実際にシニア向けのコミュニティ運営をされている起業家の方々にお越し頂き、「コミュニティ」という言葉の持つ曖昧性の考え方、また、オンラインとリアルそれぞれのコミュニティ運営の難しさや可能性についてお話頂きました。

(1)シニア世代コミュニティのきっかけ(事業開始経緯)

オンライン・オフラインと形は違えど、シニア世代向けのコミュニティを運営している3名の起業家の方々に、なぜ今の事業を始めたのかを聞いてみました。

菊川氏「"好き"という感情は、愛と意思によって構成されています。好き所謂幸せは、身近な人を幸せにする事です。ダンスが好きだった私は、世界大会で2位になった事もある友人をまず幸せにしたいと考え、事業を立ち上げました。その事業を見て喜んでいる父母の姿を見て、次は父母を幸せに、祖父の死を受け、誰かを失うという辛い感情を解消したい気持ちから、今の事業をスタートさせました。」

桑原氏「私は、今の事業を始める前には、NPO事業を支援する為、地方各地を飛び回っていました。その中で、地方では第一次産業が盛んで、シニアの方々が現役で仕事に従事している姿を目の当たりにしました。一方地元埼玉に帰ると、シニアの方々が、自分のやりたい事をできる環境がない事に気付き、そのような場所を創出しようと今の事業を立ち上げました。」

平井氏「子供の頃は、高校生や大人を見て、自分もこうなりたいとイメージ出来ていたはずです。しかし、大人になった今では、自分の20年後30年後、どんな姿になっているのか想像できる人は少ないです。その原因は、シニアになる事に憧れや喜びを感じる事ができる環境が少ない事にあります。歳を取る事をポジティブに捉えられる環境を創出したい、それが事業を始めた理由です。」

(2)シニア世代コミュニティの現在地と壁

3名それぞれの事業の現在地と課題について、ディスカッションして頂きました。

菊川氏「コロナ影響でオンライン開催のイベントが増えましたが、シニア世代の方はいきなりオンラインイベントに参加する事は、非常に難しかったです。それ故、一歩ハードルを下げて、デジタル教室の様なイベントを開催し、イベント参加への入り口を創出してあげる事が必要だと感じています。」

KING氏「入り口は大事ですよね。私の父もドコモショップに通い続けています。今では、スマホの使い方を教わって出来る様になる事よりも、若い世代の方とお話できるのが楽しいみたいです。誰しもある種のコミュニティを求めているのだなと思っています。」

桑原氏「多くの人は、コミュニティや人との繋がりを求めいるのは事実ですが、一部の人はそういったコミュニティに属したがらないのも事実です。シニア=団塊の世代のイメージが強いですが、その下の新世代の方々は、オタク世代の始まりで、コミュニティ嫌いな方が多いです。また数年の差で、世代毎のニーズは極端に変わるので、若者同様シニア世代の方のニーズを捉えるのは難しくなっています。」

菊川氏「シニアを"シニア”として、一括りにしはいけないと私は思います。ライフイベントやフレイル、コミュニケーションの仕方によって、価値観は大きく変わるからです。それを捉える事を我々は最優先に考えなければならないのです。」

KING氏「私自身も、非言語分野での芸術家として、世代毎の空気感やニュアンスを理解する事が、非常に重要だと考えています。」

平井氏「世代毎の空気感で言うと、私の会社のお客様は大企業出身の方が多く、その様な方々は、地域コミュニティに属する事を嫌がる人達も多いんです。我々としてはどの様にキャッチアップしていくか毎日考えており、シニアのマーケティングの難しさを痛感しています。一方で、夫婦間で見ると、夫に家にずっと居られるのは嫌だから、どこかのコミュニティに属して欲しいと考える女性も多く、ギャップが生まれているのも事実です。」

桑原氏「そうですね、バリキャリ女性も地元や地域において帰る場所がない状態になっています。一般的なシニアの方々の多くは、自分はこれから何をして生きていこうかという将来に不安を感じているのです。」

平井氏「しかもその年齢は年々低くなっています。実際50代の方々も、これからどうやって生きていこうか、不安に感じています。」

菊川氏「我々も50代へのアプローチをしていかなければならないと考えています。人生70年時代から人生100年時代に変わり、定年退職後、企業という居場所を失った人々のコミュニティを創出しなければならないのです。」

KiNG氏「その様な状態を解決するには、自分のアイデンティティを常に伝える事が必要なのでは?と感じます。」

平井氏・桑原氏「しかし大企業に勤めていた人達は、個性を無くしてまで、会社員としての人格を作らなければならなかったんです。だからこそ、個性やアイデンティティを見つけ出せる人は少ないのが現状です。」

菊川氏「そんな中で一番大事になってくるのは、自己効力感だと感じています。他人ができるなら、自分もできる!この様な感情をコミュニティを通じて創出していく事がこの課題を解決していく事に繋がるのだと思います。」

シニア世代の方々のニーズをきちんと把握する為には、細かいターゲット設定をした上で、世代毎の大まかなニーズを分析する事が必要です。
そして、自分のできる事を発信できる、アウトプットできる環境、コミュニティを創出する事が必要なのです。

(3)シニア世代コミュニティにかける夢

本セッションの最後に、シニア世代コミュニティを運営する3名の起業家に、それぞれが持つコミュニティにかける夢を語って貰いました。

菊川氏「年齢が進むに連れて、アウトプットする場所が失われていく。コミュニテイの役割は、この指止まれのこの指を沢山増やしてあげる事。これもやりたい、あれもやりたいという人が増える事で、自然と交流が生まれ、自分を発信する機会が増える。全員がやりたい事が出来るように、そのバイアスやハードルを下げてあげ、背中を押してあげられる、コミュニティ作りをしていきたいと思います。」

桑原様「シニアの中でもあまり外出しないタイプの方が、どんなニーズを持っているのかのデータや分析は、まだまだ市場全体としても不十分です。シニア世代のコミュニティ運営を行う身として、自主的に訪問、インタビューを行い、調査研究を進め、更なるサービス向上に活かせたらなと考えています。」

平井氏「スープストックトーキョーは、働く女性の食生活を助け、日々の暮らしに寄り添ってきました。私もシニア版、スープストック事業を始め、シニアの方の食生活ないしはライフスタイルを支えていき、シニアの方をチャッカさせたいと思います。」

(4) まとめ

年齢を重ねるに連れ、自分のやりたい事を見つけ、行動するのは難しくなっていきます。コミュニティはそんなシニアの方の背中を押し、発信する場所として重要です。
シニア世代のニーズ把握や分析は、他の属性と比べて難しいですが、今回登壇して下さった3名をはじめとして、コミュニティの可能性を信じ、サービス強化に努めていきます。

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